先週米国株を取り巻くブル・ベア材料

3月1日

森  崇


ブル材料
1.シティ・グループ(C)
シティが米政府の普通株保有比率を最大40%まで高める案について協議しているとWSJ紙が報じた。

2.財務省、連邦預金保険公社(FDIC)などと米連邦準備制度理事会(FRB)は23日、断固として金融システムを支えるとする緊急声明を連名で発表。市場の動揺を抑えることを狙ったと見られる。金融システムの緊張状態が続く間は政府が支援する。経済成長の回復に必要な信用を銀行が供与できるよう、政府は銀行に対して十分な資本と流動性を保証するとしている。

3.フォード(F)
フォードと全米自動車労組(UAW)は、フォードの退職者を対象とした任意従業員福利厚生基金(VEBA)の契約変更で暫定合意。UAWのロン・ゲッティルフィンガー委員長が23日明らかにした。双方は2007年に締結した労使協約の一部条項変更についても15日に暫定合意。

4.リード上院院内総務(民主党)は23日、米銀の財務上の健全性は改善に向かうと述べ、国有化を協議する必要はないと語った。

5.ゴールドマン・サックス(GS)
モルガン・スタンレーのアナリストらによると、ゴールドマンの経営幹部らは23日の会合で、金融市場の傾向について比較的楽観的だったと言う。このところの株価下落は昨年末に比べ秩序立っているとの認識を示したという。また、競合他社が減ったことでゴールドマンの価格決定力が高まったと指摘。

6.ホーム・デポ(HD)
住宅関連用品小売り大手のホーム・デポが24日寄り前決算発表。2008年11月-09年1月(第4四半期)の売上高は前年同期比17%減の146億ドル、エキスポ部門閉鎖や人員削減に関連した費用5億5000万ドルを除いたベースの利益は1株当たり19セントとなった。予想は、売上高が147億ドル、同EPSは15セントだった。また、売上高が減少しても今四半期の利益率は横ばい、または若干改善する見込みだと言う。10年1月通期の利益は前年度比7%減少し1株当たり1.27ドル、売上高は同9%減との見通しを示した。ただしこれらはいずれも予想を下回っている。

ホーム・デポは先月、高価格帯の家具やインテリアを専門とするエキスポ部門の34店舗を閉鎖するとともに、総従業員の2%に相当する約7000人の削減も開始した。

7.ラムバス(RMBS)
米最高裁は半導体技術大手ラムバスによるロイヤルティー徴収の制限を求めた米連邦取引委員会(FTC)の訴えを棄却した。

8.メーシーズ(M)
百貨店大手の同社が本日寄り前決算発表。第4四半期の一部項目を除くEPSが1.06ドルと、予想(1.01ドル)を上回った。また、今期通年ベースEPS予想は40セント‐55セントになると言う。予想は52セントだった。また、増収率は6%-8%マイナスになると言う。

9.ノードストローム(JWN)
米高級百貨店チェーン、ノードストロームが23日引け後決算発表。2008年11月-09年1月(第4四半期)の1株当たり利益は31セントとなった。予想は30セントだった。減益となったものの、予想ほどは落ち込まなかった。歳末商戦期間に値引きを抑制したことなどが寄与した。同社は5日、第4四半期の売上高が前年同期比8.5%減の23億ドルだったと発表していた。更に、10年1月通期の1株当たり利益が1.10-1.40ドルになると言う。1.24ドルが見込まれていた。

10.JPモルガン・チェース(JPM)
米銀2位のJPモルガン・チェースは、23日引け後、年50億ドルのコスト削減に向けて、四半期配当を87%減額すると発表。また、2009年1-3月(第1四半期)の1株利益が、予想(34セント)とほぼ同水準になるとの見通しを示した。

11.ベアー連邦預金保険公社(FDIC)総裁がCBSの番組で、大手銀行はいずれも当面は問題ないとし、十分な資本がある。ここで国有化を余儀なくされるとすれば驚きだと発言した。

12.バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は25日、下院金融サービス委員会の公聴会で以下の通り発言。

  (発言要旨)
★銀行国有化は政府が銀行を接収し、株主の権利を消滅させることと同義である。FRBはそのようなことは一切計画していない。
★厳重な監視・監督と一体化した政府の少数株保有が国有化とは異なる。
★シティについては、政府が最終的にかなりの株式を買い取る可能性があるものの、同行を規制と株主権利の行使で監視する意向だ。

13.ガイトナー米財務長官は25日、以下の通り発言。

  (発言要旨)
★政府は金融機関による与信が再び円滑に進むよう積極的に行動している。
★大統領が先週発表した住宅支援計画の実行を急いでいる。

14.オバマ米大統領は金融規制制度の抜本的な改革案をまとめるよう経済チームに指示し、議会と数週間以内に法案作成を図る考え。強い金融市場には明確なルールが必要。それは金融機関を妨げるためではなく、消費者と投資家を保護するため。

15.オバマ米大統領は24日夜の施政方針演説で、米金融システムの強化に向けて全力を尽くす姿勢を示した。

  (発言要旨)
★今までのつけを払うべき時が来た。米経済をリセッションから脱却させるためには、大胆な行動とスケールの大きな構想が必要になる。
★国民の銀行預金は安全であり、金融システムの支払い能力は確実に維持される。連邦政府は、一段と困難な情勢にあっても、国民が頼りにする大手金融機関が融資可能な十分な資金と十分な信頼を確保できるよう一丸となって取り組む。

16.米金融監督当局が今後2ヶ月かけて実施する資産査定の19の対象金融機関には、大手行や地方銀行、銀行持ち株会社に最近移行したものが含まれる。財務省は25日、資産規模が1000億ドル超の金融機関を対象とするストレステスト(健全化審査)を盛り込んだ“資本支援計画(CAP)”を発表。14の銀行持ち株会社が1000億ドル超の資産を保有している。ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレー、アメリカン・エキスプレスなども含まれる。

17.アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
①保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループは、傘下の米自動車保険部門の売却を取りやめる可能性がある。スイス最大の保険会社チューリッヒ・ファイナンシャル・サービシズは、同自動車保険部門の買収案を撤回。AIGとチューリッヒの間で価格面での合意が成立しなかった。同社は昨年10月に損害保険事業に集中する方針を発表して以来、これまでに約24億ドル相当の事業資産売却を発表している。
②AIGは、法人顧客向けの損害保険事業を米政府に譲渡する可能性があると言う。

18.カナダの大手銀行、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)とカナディアン・インぺリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)、ナショナル・バンク・オブ・カナダが26日発表した2008年11月-09年1月(第1四半期)決算は、いずれも市場予想を上回る黒字だった。リテール部門が寄与した。世界全体で金融機関の評価損と信用損失が1兆1000億ドルに膨らむ一方、カナダの銀行は規制強化と慎重な融資慣行で損失を抑えている実態が浮き彫りになった。

19.オバマ大統領は26日、予算教書を議会に提出。医療制度の抜本改革と富裕層260万人を対象とした1兆ドル近い増税を盛り込んだほか、金融支援として新たに最大7500億ドルを拠出する権限を確保することが柱となっている。今会計年度(2009年9月末終了)の歳出額は過去最大の3兆9400億ドルとなり、前年度から32%の増加となる。歳出増により、同年度の財政赤字は過去最大の1兆7500億ドルに達し、GDPに対する比率は約12%に上昇する。ただし、大統領は最初の任期(4年間)終了までに財政赤字を半減すると公約している。

20.オバマ米大統領は27日、イラク駐留戦闘部隊を2010年8月末までに撤退させると表明した。我々のイラクにおける戦闘任務は2010年8月末をもって終了すると言明。戦闘部隊の撤退後、3万5000人から5万人の米軍がイラクに残り、イラク軍の訓練や資材調達に従事。2011年12月末に全米軍がイラクから撤退する。

21.サンフランシスコ連銀のイエレン総裁は27日、以下の通り発言。

  (発言要旨)
★FOMCがインフレ抑制に努めているとの信認が、消費者によるインフレ期待の安定化につながった。
★FOMCは先週、長期的なインフレ予測値を2%と発表したが、インフレ期待を2%程度で抑える一助になるだろう。

22.インターパブリック・グループ(IPG)
全米2位の広告会社同社の第4四半期利益が予想を上回った。

23.デル(DELL)
PC直販大手が26日引け後決算発表。売上高が予想を下回った。年末商戦の不振が背景。ただし利益が、コスト削減を背景に予想を上回った。

第4四半期(11 –1 月期)実績
 ○売上高… 134億3,000万ドル(コンセンサス予想は142億6,000万ドル)
 ○1株当たり利益…0.29ドル(コンセンサス予想は0.27ドル)
 ○粗利率…17.2%(前年同期は18.8%だった)


ベア材料
1.アルセロール・ミタル(MT)
①UBSが同社株の投資判断を“買い”から“中立”に引き下げた。世界の鉄鋼生産は急速に増加し過ぎたと言う。これを受け、ヌーコアなど他の鉄鋼株も安い。

②EU規制当局から、鉄筋コンクリート用の鉄鋼に関して、価格談合があったとして、同社の子会社が罰金支払いに直面していると言う。

2.ヒューマナ(HUM)
医療保険全米2位のヒューマナがネガティブ・コメント。2010年のメディケア・アドバンテージ・プログラム用暫定料金は、もし提案に変更がなければ、保険会社の保険料にも、加入者ベネフィットにも明らかにネガティブに作用するとコメントした。その他健康保険会社株も急落。UNH、AET、CVH、WLP、HSなどが急落した。

3.ジャナス・キャピタル(JNS)
投資顧問会社の信用格付けがS&Pによって引き下げられた。BB+へと、ジャンク債レベルまで下げられた。

4.ハイテク株
モルガンスタンレーが、顧客向けに、ハイテク株と素材株をアンダー・ウェイトするように推奨した。世界景気は引き続き悪化していると言う。直近の上昇レベルでは売りを推奨。単なるバリュエーションが適正だけの理由では、株は上がらないとしている。収益モメンタムが依然ネガティブだと言う。

5.ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラー
ゼネラル・モーターズとクライスラーに対し、米政府が破綻処理をしたうえで再建を目指す手法の具体的な検討に入ったとWSJ紙が報じた。両社の破綻処理には少なくとも400億ドルの費用が必要だという。オバマ政権は、米連邦破産法11条で両社を破綻処理することを選択肢として真剣に検討しており、JPモルガンなど大口債権者と協議を進めていると言う。破綻処理後に金融機関に再建資金を出資させ、それを政府が保証する形を取る。

6.アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
AIGは、米政府に追加支援を求めて交渉している。CNBCは、AIGが最大600億ドルの損失を発表する可能性があると述べた。また、同社が連邦破産法の適用申請の可能性についても検討していると伝えたが、それが実現する見込みはほとんどないと指摘。

7.アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
①米政府の公的管理下にある保険大手のAIGは、政府による救済計画を再び見直す可能性がある。同社は、政府保有の優先株の普通株への転換を求めることを発表する公算が大きい。CNBCは23日、AIGが600億ドルの赤字を発表する可能性があると報道した。

②AIGが世界50カ国以上に事業展開する生命保険部門に対して、米生保最大手メットライフと仏アクサから買収提案を受けたと言う。実現すれば、AIGの事業分割プロセスで最も大型の売却案件となりそうだ。

8.バーナンキ米連邦準備制度理事会議長は24日、上院銀行委員会で証言。

  (証言要旨)
★政府と議会、FRBの行動が金融の安定化につながれば、現在のリセッションが09年中に終わり、10年は回復の年となるだろう。
★現在下振れリスクは上振れリスクを恐らく上回っている。強い不透明感が金融当局の予測に暗影を投じている。
★現在、実施されているほかの広範にわたる財政・金融政策と相まって、これらの行動が低インフレ下で、経済成長と労働市場の緩やかな回復につながるとみている。
★米国債の購入が民間市場の金利を低下させ、機能を回復するための最善策だと判断する場合に備え、米国債購入の選択肢は維持しておきたい。政府支援住宅金融機関が発行する証券のほか、保証する住宅ローン担保証券(MBS)の買い取り、さらにターム物資産担保証券ローンファシリティー(TALF)の支援規模拡大の可能性が検討されている。

9.2月の米消費者信頼感指数は25に低下(前月は37.4)し、予想(35)を大きく下回った。1967年の統計開始以来で最低値。雇用が十分にあるとする回答は4.4%と、前月の7.1%から低下。一方、現状で雇用確保が困難との回答は47.8%と、1992年以来の高水準に上昇した。

10.格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は24日、ラトビアのソブリン格付けをジャンク級で最も高い「BB+」に引き下げた。

11.全米20都市を対象にした2008年12月のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で18.5%低下(前月は18.2%低下)と、予想(18.3%)より大きな落ち込みとなった。01年の集計開始以来で最大の落ち込みを記録。調査対象となった20都市すべてで住宅価格指数が前年同月比で低下。特にフェニックスとラスベガス、サンフランシスコはそれぞれ34%、33%、31%の大幅な低下を記録した。

12.オフィス・デポ(ODP)
世界2位のオフィス用品販売チェーンが寄り前決算発表。第4四半期の一部項目を除くEPSが73セントの損失となった。予想は6セント損失だった。同社は、内部の資産売却対象を探していると言う。

13.PIMCOの共同投資責任者ビル・グロス氏が以下の通りコメント。

  (コメント要旨)
★米国と世界の金融システムに必要なのは信用創造と差し押さえ阻止であって、銀行国有化ではない。国有化するためには、米国だけでも数兆ドルが必要となる。
★1990年代のスウェーデンの国有化との違いについては、同国には1握りの銀行しかないが、米国には7500行の銀行に加え多数の米貯蓄貸付組合(S&L)や信用組合がある。

14.1月の中古住宅販売件数は年率449万戸(前月は474万戸)と、予想(479万戸)を大幅に下回り、1997年以来の低水準を記録。1月の中古住宅価格は前年同月比15%下落。中古住宅販売の45%は差し押さえ物件だった。全米4地域のうち、3地域で中古住宅販売が減少した。特に北東部では15%減少した。西部では販売数は変わらずだった。

15.アムバック(ABK)
金融保証会社(モノライン)大手アムバックが25日寄り前決算発表。2008年10-12月(第4四半期)の1株当り損失(同社が保有、発行、保証する証券の価格変動の影響を除いたベース)は6.79ドルと、予想(同1.80ドルの赤字)より大幅に悪化した。不良資産化した住宅ローン関連証券に対する引当金を積み増したことなどが響いた。アムバックは昨年、銀行とのデフォルト保証契約解除にこぎ着け、地方債に特化した保証会社を開始する方針を示した。

16.20日までの1週間の住宅ローン申請指数は743.5と、前週の875.3から15.1%低下した。金利上昇に伴い借り換えが落ち込んだ。住宅ローン30年物固定金利は平均で5.07%と、過去2番目に低い水準となった前週の4.99%から上昇。

  (その他主要指数動向)
★借り換え指数…3618.0(前週は4472.9)
★購入指数…250.5(前週は257.3)

17.欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、スペイン中銀のオルドネス総裁は25日、以下の通り発言。

  (発言要旨)
★金利を0%に引き下げるべきではないとの見方を支持している。ゼロ金利は投資ファンドなどの一部金融機関にとって安定性を脅かす問題を生み出す可能性がある。
★ECBは引き続き、金融危機への対応策として金利調整以外の従来型ではない新手の政策手段を模索している。

18.アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
米政府の公的管理下にある保険大手アメリカン・インターナショナル・グループは事業売却を通じて米政府融資600億ドルを返済する計画を立てていたが、十分に有望な買い手が見つからないとして計画を断念する可能性があると見られている。一部事業の権益を米政府に直接譲渡することなどを含め、米政府への債務圧縮に向けた新たな方法を提案しているもよう。

19.大手保険株
リンカーン・ナショナルが、1株当り配当を21セントから1セントに減配。オールステーツも同41セントから20セントに減配。

20.ドリームワークス・アニメーションSKG(DWA)
米映画制作会社ドリームワークスが24日引け後発表した2008年10-12月(第4四半期)の一部項目を除いた1株利益は46セントと、予想を26%下回った。

21.ウィン・リゾーツ(WYNN)
時価総額で米国最大のカジノ会社ウィン・リゾーツは24日引け後決算発表。08年10-12月(第4四半期)の一部項目を除いた1株利益を7セントと、予想を84%下回った。

22.先のラトビアに次いで、ウクライナの信用格付けがS&Pによって2ノッチ引き下げられた。

23.21日に終わった1週間の新規失業保険申請件数は、前週比3万6000人増の66万7000件(前週は63万1000件)と、予想(62万5000件)を大幅に上回った。82年10月以来の最高値。新規失業保険申請件数の4週移動平均(21日に終わった1週間)は63万9000件と、前週の62万件から増加。82年11月以来の高水準となった。

24.1月の米新築一戸建て住宅販売は前月比10%減の30万9000戸(12月は34万4000戸)と、予想(32万4000戸)を下回った。これは、1963年の統計開始以来の最低水準。新築住宅価格の中央値は前年同月比13.5%低下の20万1100ドルと、2003年12月以来の最低となった。新築住宅販売は前年同月比では48%減少した。住宅在庫は3.1%減少の34万2000戸(前月は35万3000戸)、販売に対する在庫比率は13.3ヶ月分と、過去最高に上昇した。

25.1月の米製造業耐久財受注額は前月比5.2%減少(前月は4.6%減少)と、予想(2.5%減)より大幅に悪化した。前月比マイナスは同統計開始以来で最長の6ヶ月連続。1月の耐久財受注額は1638億ドルと、2002年12月以来の最低。変動の大きい輸送用機器を除く受注は2.5%減。市場予想は2.2%減だった。輸送機器の受注は13.5%減。非国防資本財受注は1月に5.4%減。前月は5.8%の減少だった。

26.ゴールドマン・サックスの投資ストラテジスト、デービッド・コスティン氏が以下の通りコメント。

  (コメント要旨)
★S&P500指数は最大15%下がり、650まで下落する可能性がある。年末までには反発するだろうが、年末時点の同指数予想を940と、従来予想の1100から下方修正する。
★景気対策法案の通過と、金融安定化策をめぐる不透明感が幾分晴れた点は評価できるが、株価の継続的上昇には、住宅価格の安定と、金融機関損失に歯止めがかかることが必要で、これがまだ実現から程遠い。

27.サマーズ国家経済会議(NEC)委員長は26日、以下の通り発言。

  (発言要旨)
★米経済は1930年代以来で最も急激な下降局面にある。フランクリン・ルーズベルト以来、このような困難な経済状況を引き継いだ大統領はいない。
★米国は、経済と金融市場の弱さが相互に作用する悪循環に陥る危険性がある。
★連邦政府にとって、凍結していた信用市場の解凍を支援すること以外に選択肢はない。
★我々の経済問題は1週間や1ヶ月、あるいは1年で発生したものではないため、1週間や1ヶ月、あるいは1年では解決しない。

28.シアーズ・ホールディングス(SHLD)
米百貨店運営最大手のシアーズ・ホールディングスが26日寄り前決算発表。2008年11月-09年1月(第4四半期)の売上高は前年同期比12%減の133億ドル、オーチャード部門に関連した税引き後経費などを除いたベースでの利益は1株当たり2.94ドルとなった。予想は、売上高が138億9380万ドル、同EPSが2.69ドルだった。純利益が前年同期比で55%減少した。年末商戦が低迷したほか、傘下のオーチャード・サプライ・ハードウェア部門の評価損が響いた。同社は2005年にKマートがシアーズを買収して以来、既存店売上高が毎四半期減少している。

29.オバマ大統領の予算教書に、医療制度の拡充と富裕層への増税が盛り込まれたことから、医療保険会社株が急落。HUM、UNH、WLPなどが売られた。また、スチューデントローンなど補助金を廃止することも提唱したことから、サリー・メイ(SLM)他、大学運営会社アポログループ(APOL)、CECO、ESI、DV、COCOなども急落した。

30.2008年第4四半期(10-12月)の実質国内総生産改定値は前期比年率6.2%減少(速報値は3.8%減少)と、予想(5.4%減少)より大幅に悪化した。第3四半期は0.5%の減少。2四半期連続のマイナス成長は91年以来初めて。

  (主要項目内訳)
★個人消費…4.3%減
★在庫投資…年率換算で199億ドル減
★企業設備投資…21%減(機器・ソフトウエアは29%減)
★純輸出の寄与度…マイナス0.5ポイント
★住宅投資…22%減

31.2月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は56.3(速報値56.2)と、予想(56.0)を若干上回った。今後6ヶ月間の先行き景況感を示す指数は50.5(速報値49.1)と、前月の57.8を下回った。現在の景況感を示す指数は65.5(速報値67.1)に低下した。今後1年間のインフレ期待値は1.9%、1月時点では2.2%だった。5年先のインフレ期待値は3.1%と前月の2.9%から上昇した。

32.ブラックストーン・グループ(BX)
投資会社ブラックストーン・グループが27日寄り前決算発表。2008年10-12月(第4四半期)のIPOに関連したコストを除いたベースの1株当たり損失は68セントとなった。40セントの損失が見込まれていた。結局8億2710万ドルの赤字だった。プライベートエクイティや不動産投資の評価損を計上したことが響いた。

33.ゴールドマン・サックスは27日、東欧諸国のソブリン債は国際通貨基金(IMF)など国際機関からの支援がなければデフォルトに陥る恐れがあると指摘した。外債コストの上昇や輸出の減少を背景に投資家は東欧諸国への投資を回避している。東欧各国の現地通貨や株式、債券相場は下落している。IMFはこれまで、ラトビアやハンガリー、セルビアやウクライナに対し計520億ドル相当を支援している。このほかブルガリアやルーマニア、リトアニア、エストニアにも救済策を講じる可能性がある。

34.シティ・グループ(C)
米政府はシティグループの普通株持ち分を引き上げる。3回目の救済。これにより既存株主の持ち分は74%低下する。可能な最大の優先株が普通株に転換された場合、既存株主の持ち分は26%に低下する。政府は保有するシティの優先株の最大250億ドル相当を普通株に転換する。民間のシティ優先株保有者が同様の転換に合意することが条件。最大額を転換した場合の政府の持ち分は36%となる。政府による救済に伴いシティは四半期配当を1株当たり1セントに引き下げていたが、この日は配当を見送ると発表。また、2008年通期決算を修正し、同年の赤字は先月発表した数字から48%増え277億ドルとなった。この日の合意の一環として、シティは取締役会を刷新し大半を新規の独立取締役で構成することにも同意。シティは昨年10月に250億ドルの公的資金注入を受け、11月にさらに200億ドルを受領。また、3010億ドルの不良資産保証料として70億ドルを優先株で政府に支払った。

35.ゼネラル・エレクトリック(GE)
ゼネラル・エレクトリック(GE)は27日、配当を68%引き下げて1株当たり10セントにすると発表した。従来の配当は同31セントだった。ただし、S&Pは、GEの格付けとアウトルックは変わらずとコメントした。

36.ゼネラル・モーターズ(GM)
ゼネラル・モーターズ(GM)は、ドイツなどの欧州各国政府から傘下オペルの運転資金として33億ユーロ(約4100億円)の支援を要請するにあたり、80年にわたり保有してきたオペルの株式を最大50%手放す見通し。オペルが独立した企業になることを明らかにした。GMは、オペルに対する支援と融資を得るために、保有株式比率を20-50%縮小する用意があるという。両社は今後も技術を共有するほか、GMはオペルが独立企業として事業運営するのを手助けするために特許権を提供する。

37.S&Pが米生命保険会社10社の格付けを引き下げた。MET、HIG、CNO、PFG、LNC、TMK、PRUなどが引き下げの対象になった。

38.AESコープ(AES)
バージニア本拠の電力会社が、2009年利益見通しを下方修正した。為替と商品価格を背景にしている。

39.オートデスク(ADSK)
エンジニアリング・デザイン会社の第1四半期決算で、利益が予想を下回った。

40.MGMミラージュ(MGM)
カジノ大手株が急落。2月24日に設定された45億ドルのシニア・リボルビング・クレジット枠から、8億4200万ドル借り入れ請求をしたと言う。同社は富裕投資家カーコリアン氏が大株主である。



=以上=