米国株相場レポート

6月10日

森   崇

反落。ただし、引けにかけ全般戻し歩調となる。


(背景)
1.原油高を背景に、投資家の間でインフレ加速が景気回復の脅威となるとの懸念が強まった。

★10日のニューヨーク原油先物相場は続伸。米国産標準油種(WTI)7月渡しは、終値ベースで昨年11月上旬以来の高値となる、前日比1.32ドル高の1バレル=71.33ドルで取引を終えた。景気回復に伴って原油需要が伸びるとの思惑から買われた。投機的買いも入っていた。

2. 10年債入札の結果が投資家の失望を誘い、金利上昇が景気回復の脅威となるとの懸念が強まった。10年債利回りは昨年10月以来の高水準に上昇した。

(背景)
★190億ドル相当の同国債入札の不調で売りが膨らんだ。10年債の最高落札利回りは3.99%と、2008年8月以来の最高。
★ロシア中銀副総裁は米国債を売却し、国際通貨基金(IMF)債に交換する可能性があることを明らかにした。
★ブラジルのマンテガ財務相は10日、同国が国際通貨基金(IMF)の資金調達に100億ドルを拠出することを発表した。ブラジルは準備の一部をIMF債の購入に充てるという。


ダウ指数は前日比24.04ドル安の8,739.02ドル、S&P500指数は同3.28ポイン安の939.15、ナスダック指数は同7.05ポイント安の1,853.08で引けた。

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(米国株相場にとっての強材料)
1.シティグループ(C)
シティグループは10日、同社発行の優先株など計約580億ドル相当の普通株への転換を開始したと発表。このうち米政府は、保有する優先株など最大で250億ドル相当を普通株に転換。政府の持ち株比率は34%に達し、シティの筆頭株主となる。

2.米連邦準備制度理事会(FRB)が10日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、4月半ばから5月にかけて主要5地区連銀管轄地域で経済活動の縮小ペースが鈍化。ただし、ひっ迫した金融状況や、弱い雇用情勢は続いた。経済状況は弱さが継続あるいは悪化したが、12連銀のうち5連銀が下降トレンドは鈍化の兆候を示していると報告したという。

3.ホーム・デポ(HD)
住宅関連用品小売り最大手のホーム・デポは10日、2009年通期(10年1月終了)の利益見通しの上限を引き上げた。継続事業ベースの09年度利益は前年比7%減少から前年並みの見通し。5月19日に示した予測では7%減だった。売上高については、依然として前年比9%減を見込んでいる。経費削減のほか、デザイン部門を閉鎖し、幹部の2009年の基本給を凍結したことが奏功。

4.Eトレード(ETFC)
オンライン・ブローカーが、筆頭株主のシタデル・インベストメント・グループとファイナンス問題で交渉していると言う。

5.サティアム(SAY)
インドのソフトウェア大手株に強材料。J.P.モルガン・チェースが“オーバー・ウェイト”でカバレッジを開始するとともに、収益が急速に改善するだろうと言う。

6.U.S.スチール(X)
昨日のモルガン・スタンレーに続いて、今日はキーバンク・キャピタル・マーケッツが“保有”から“買い”に投資判断を引き上げた。世界景気回復の恩恵を受けていると言う。


(米国株相場にとっての弱材料)
1.5日まで1週間の住宅ローン申請指数は611.0と、前週の658.7から7.2%低下し、2月以来の低水準となった。住宅ローン金利上昇に伴い借り換えが落ち込んだ。住宅ローン30年物固定金利は平均で5.57%と、前週の5.25%から大きく上昇し、昨年11月以来の高水準に達した。

  (その他主要指数動向)
★借り換え指数…2605.7(前週2953.6)
★購入指数…270.7(前週267.7)

2.4月の貿易収支統計によると、財とサービスを合わせた貿易収支は292億ドルの赤字(前月は285億ドルの赤字)と、予想(290億ドル赤字)を上回る赤字幅だった。輸出がほぼ3年ぶりの低水準に落ち込んだことが影響した。赤字拡大は2カ月連続。輸出は2.3%減の1211億ドルと、2006年7月以来の低水準。エンジンや機械、金属の海外需要が落ちた。輸入は1.4%減の1503億ドル。石油製品や採掘機器、コンピューター関連機器、玩具の輸入減が特に目立った。原油価格が5ドルほど上昇したことを受け、原油輸入額が増加した。対中貿易赤字額(季節調整前、財のみ)は168億ドルと、前月の156億ドルから拡大した。

3.ゴールドマン・サックスのブランクフェインCEOは10日、景気回復は浅いものになるとの見方を示した。今回のリセッションは長引き、回復は底が浅い
だろうと語った。

4.欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ウェーバー独連銀総裁は10日、インフレリスクが具体的に表れる前に、予防的な利上げが必要となる場合もあると指摘。

5.リッチモンド連銀のラッカー総裁は10日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、景気回復を機に金融引き締め政策を講じる際、時機を逸する、もしくはテンポが遅すぎるといったリスクを避けなければならないと述べた。連邦公開市場委員会(FOMC)の課題はバランスシートの縮小と、景気回復時のインフレリスクを抑えるために早期に金融引き締め策を実行することだとした。同総裁は金融引き締めの時期には言及しなかった。

6.1年物の中国人民元先物(ノン・デリバラブル・フォワード、NDF)は、2週間余りで最大の値上がりとなった。国内経済が過去約10年で最悪の不況から脱却しつつあるなか、中国政府が元の上昇を再び容認するとの観測が高まった。

個別銘柄編 

投資判断変更

ヤフー(YHOO)
ソレイユが、ヤフーの投資判断を、“保有”から“買い”に引き上げた。また、株価の目標価格を、これまでの12ドルから20ドルへ上方修正した。

ファースト・ソーラー(FSLR)
ソレイユが、ファースト・ソーラーの投資判断を、“買い”から“保有”に引き下げた。

デスジャーディンスが、フリーポート・マクモランの投資判断を、“保有”から“買い”に引き上げた。

個別銘柄編

価格目標変更

サンパワー(SPWRA)
ウェドブッシュ・モルガンが、サンパワーの投資判断を、“保有”で据え置いた。また、株価の目標価格を、これまでの21ドルから25ドルへ上方修正した。

アルコア(AA)
デスジャーディンスが、アルコアの投資判断を、“買い”で据え置いた。また、株価の目標価格を、これまでの12ドルから15ドルへ上方修正した。

リサーチ・イン・モーション(RIMM)
ゴールドマン・サックスが、リサーチ・イン・モーションの投資判断を、“買い”で据え置いた。また、株価の目標価格を、これまでの85ドルから96ドルへ上方修正した。

ゴールドマン・サックス(GS)
JPモルガンが、ゴールドマン・サックスの目標価格を、これまでの120ドルから150ドルへ上方修正した。

モルガンスタンレー(MS)
JPモルガンが、モルガン・スタンレーの目標価格を、これまでの28ドルから33ドルへ上方修正した。


=以上=