「高値づかみ」、武田の計算(時事深層)

武田薬品工業が約1兆1200億円でスイス製薬企業を買収。国内史上3位の海外企業買収に「高値づかみ」の声も。批判をいとわずグローバル化を進める武田経営の真価とは。  「今回の買収が我々にもたらすベネフィット(利益)について、確信と興奮に満ちている」。5月19日、スイスの製薬企業ナイコメッド買収を発表する会見の冒頭で、武田薬品工業の長谷川閑史(やすちか)社長は高揚した面持ちで宣言した。そして、会見の最後には同じ言葉を今度は英語で繰り返してみせた。 買収を発表する武田薬品工業の長谷川閑史社長  買収金額は96億ユーロ(約1兆1200億円)。日本企業による外国企業の買収としては史上3番目の規模だ。