その場しのぎの原発賠償策(時事深層)

東京電力の原子力発電所事故に関する損害賠償のスキームがほぼ固まった。国と電力会社が設立する新機構が東電と損害賠償を支援する。だが、新機構方式は穴だらけで実行の難しいその場しのぎの案だ。  「結局、その場しのぎだ」  福島第1原子力発電所の事故に伴う巨額の損害賠償(補償)と、賠償による経営への懸念が広がる東京電力の処理を巡るスキームがほぼ固まった5月初め。霞が関のある官僚は、声を潜めながら処理スキームの内実をこんなふうに明かして見せた。  固まった処理策は、国と原発を持つ9電力会社が新機構を設立し、資金繰りと資本の面から東電と損害賠償を支援するというもの(下図参照)。東電の上場も維持し、国は機構への資金供給の裏づけになる交付国債を付与。