米国の量的緩和政策を考える(宿輪先生の通貨のすべて)

 2008年9月、リーマン・ショックとその後の金融危機に対応するため米国は「量的金融緩和政策(QE:Quantitative Easing)」を実施した。さらに2010年8月からは量的金融緩和第2弾(QE II)も実行している。  3月1日、FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長は議会で証言し「自立的な回復の持続」の兆しに言及した。GDP(国内総生産)の額が危機前のピークに匹敵する水準に戻ったとも指摘した。量的金融緩和は金融危機に対する非常時対応であるが、その目的は、FRBのそもそもの目的である米国内の「物価の安定と雇用の最大化」に資するものでもある。今回はこの量的金融緩和を通貨政策、そして国債管理の視点から考察したい。