やっておくべきこと



  春になると、リフレッシュして何か新しいことが始まる予感がします。実際に新年度に入り、進学や就職、転勤、配属替え、独立などなど、新生活がスタートした人も少なくないと思います。
  これからエネルギーが充満する季節であり、期待で胸が躍りますが、世界情勢や金融市場に関しては、残念ながら従来の延長上で、何ら新しいことは始まりそうにないということだけは確認しておきたいと思います。
  せっかくテンションが上がりつつある時期に、腰を折るようでとても恐縮ですが、このことは厳然たる事実であり、こういうところを客観視できないようだと、前のめりになりすぎて、あまりいい結果をもたらさないでしょう。




  基本スタンスとしては、以前にも触れましたが、①乗れるところだけ乗る②わずかな利益でも勝ち逃げする-の2点ですね。大きなチャンスは2、3カ月に1回あるかどうかですから、あまり欲張らず、風向きが変わりそうなら、さっさと利食いしてしまうというのがベストだと思います。
  欧米の経済状況が悪化の一途をたどっていることに変わりはなく、ここから改善する見通しは何一つありません。そもそも、欧米人がつくった世界経済の枠組みはもはや持続不可能なところまで来ており、今までの延長上では、何も新しいものは生まれないと考えた方がいいでしょう。
  一人一人の能力を高め、経済全体を強くしていこうという発想はなく、もう一度金融ばくちをやって負けを取り戻そうとか、塩漬けになった不動産をどう処分するかというような視点でしか物を考えていないので、これが続く限り、欧米が復活するということはありえないのです。
  戦争や混乱を起こして、一時的に存在感を示すことはあるかもしれませんが、イラク戦争当時同様、錯覚にすぎず、勤勉とか地道な努力といった、真っ当な考えを捨てた欧米人に明るい未来が訪れるはずはありません。
もうそろそろ、世界全体が疲弊しつつあるので、本当に新しいことを始めたいと皆が思っているのですが、ダメ人間が主導権を手放そうとせず、もうしばらく、理不尽な状況が続くことになりそうです。




  こういう状況では、いずれ矛盾が限界点に達して、大崩壊とパニックが訪れ、乱気流に巻き込まれることは必至でしょうから、本格的な資産形成などという下手な考えは起こさない方がいいと思います。
  短期的に稼げるところで稼ぐ、そして高望みしないというのが賢明な行動でしょうね。やりにくい環境なのですが、時々は値動きが分かりやすい局面もあります。数少ないチャンスをものにするための努力が必要です。
  そのためには、分かりにくいところでは放置する。先日、「プロとしてありえない」云々のコメントをいただきましたが、値動きをリアルタイムで把握するなど不可能と思った方がいい。一般投資家でもしかしたら世界に一人くらいそういう人はいるかもしれませんが、実力なんてピンからキリまでで、ずば抜けた人はいるにはいるのでしょうが、生き残っていくには、どこまで確実性の高いトレードをできるかが分かれ道ですね。
  プロだったら相場の値動きが分かるというのは勘違いも甚だしいし、相場のことを何も分かっていないから、ああいうコメントになるのでしょう。頭悪いことはなはだしいですが。
  本当に数少なくなってしまいましたが、確実に稼げるチャンスはあります。それを根気強く待つしかありませんね。
  



  それとこれも基本認識として押さえておきたいのですが、金融市場は完全にバクチ場と化しているということです。お金という紙切れを取り合いしているにすぎません。実体経済の動きに裏打ちされた、景気循環の要素ももちろんあるのですが、その要素はどんどん薄れて行っています。
  要は「金利相場」だということです。金融緩和でお金の蛇口が緩んだり、金利低下でお金が流通しやすくなると、株価が上がるという。為替の場合はドルの価値が下がってしまうので、それに合わせて日銀が金融緩和すれば(あるいは為替介入すれば)ドルの価値が維持されるというからくりです。それさえ把握していれば、大きく振り回されることはありません。




  日経平均が9000円を超えようかというとき、「ショート仕込みましたがどうでしょうか」「何で買っているのか分かりません」という、これも“頭の悪い”コメントをいただき、厳しく切り返してしまいましたが、感覚としては間違っていないんですよ。
  人為的な政策介入を行うなどして、何らかの手を打たないと、現在のような形で金融市場を維持できないのです。放置したら奈落の底に行くしかありません。本当はショートが正解なのです。
  ただ、あの場面では、上下どっちにいってもおかしくないので、安易に一方向に賭けるというのはやってはいけないし、前後の状況から、テクニカル面も含めて、上昇期待が高まっていたので、動いた方に乗るべきです。下がる根拠もあるし、心情も理解できなくはないのですが、勝手な思い込みだけでポジションを取るのは危険です。
  「このままいくと下に落ちるぞ」と脅して政策介入を催促し、結局、2月14日の金融緩和で、決着がつきましたね。ショートがしにくい局面では、何かあると考えた方がいいでしょう。




  相場に関しては、しばらくは今のままの状況が続きそうだし、新しいことは何一つ始まりそうにありません。だから、あまりのめり込まず、肩の力を抜き、適当にお付き合いするというスタンスでいいと思います。
  今のうちやっておくべきことがあるとしたら、やはり、“有事”に備えておくべきですかね。この金利相場はいつまでも続かないでしょう。続くとしたら猛烈なインフレーションが起きることを覚悟しなければなりません。そうなると、紙のお金に対する信用は著しく低下するでしょう。
  どういう展開になるのか想像がつきませんが、いずれにせよ、紙幣のように浮ついたものでなく、資産は価値が安定するものに替えておいた方が無難です。
  数カ月に一回、相場の波に乗り、利益が出たら、ゴールドや、価値が安定した貴金属なり商品なりをコツコツと買っておく、これしかないですね。
  春になったからといって、何かを刷新したり、全く新しいことを始めるというのは難しいし、下手に動かない方がいいと思いますが、地道に次の時代に向けて準備することは大切です。