ゆく年くる年





  何となく2012年が激動の年だと思っていたし、世間の認識もそうでしょうから、そもそも2011年に対してはあまり特別な思い入れはありませんでした。金融恐慌直前ではあっても、そんなことには気付かない人が大多数で、「米国経済の復活」を信じて、買い目線の人が多く、時には相場はイケイケの雰囲気になるのかなぁ、なんて予想していました。
  全然予想とは違う一年でしたね。金融恐慌後に、振り返って考えるとのっぺらとした一年だったのかもしれませんが、東日本大震災があったので、楽観一色のムードは消え去ったし、金融恐慌にしても早々と欧州で火の手が上がったので、震災後の大暴落の後、7月に一瞬、日経平均が1万円台を回復する局面はあったものの、警戒心に満ちあふれた一年となりました。
  ただその割には、震災直後を除いては、目の覚めるような暴落局面もあまりなく、1万円からほぼ一本調子で8000円台前半まで下げたわけですが、ところどころでしつこく買いが入るので、ぐずぐずとした下げ方だったように感じます。もちろん感じ方は人それぞれなのですが。
  一昨年あたりから、日経先物を捨て、FX(ドル・円)にシフトし、今年6月に再び先物界に戻り、このブログの更新も再開したのですが、復帰してよかったですね。
  以前はドル・円はボラティリティーがあったのですが、今では先物の方がいいときもあるというのもありますし、為替と株価は似たような動きをすることもありますが、やはり、それぞれ別々の価格形成の仕方があるので、金融市場の動向を考える上で、2正面作戦をとることは、非常に勉強になります。
  6月に再開した時点で、8万円弱だった証券口座の残高も、今では40万円を超え、正直、下落局面でショートでもっと取れていたという不満はありますが、復帰当初は、値動きの勝手がつかめず、恐る恐るエントリーしていたことを考えると、そこそこのパフォーマンスではなかったかと、自画自賛しています。
  ここまで、うまくやってこられた方だとは思いますが、これから先を考えると憂鬱ですね。金融市場全体で、徐々にボラティリティーが低下していますが、このところさらにボラティリティーが低下しており、もはや煮ても焼いても食えないような状況になっています。
  これは3年くらい前に予想していたことではありますが、あらためてこの現実に直面すると、いたたまれない気持ちになります。トレーダーは値が動いて、それに乗って利益を得てなんぼの世界です。日中の値幅が40円とか50円とかになると、10円取るのも命懸けになってしまいます。
  リーマン・ショック直後は出来高は減ったものの、値動きはダイナミックでした。それはそれで、エントリーのしづらさがあって大変なのですが、注意深く観察すると、チャンスもありました。あの頃は、午後8時までしか取引が行われず、イチかバチかのオーバーナイトでしたが、大幅ギャップアップで一夜にして1000円幅を稼いだこともありました。
  来年、もし、金融恐慌が起きると、一時的に激しい値動きになるでしょうが、市場参加者の活力が相当落ちているでしょうから、すぐに値動きの乏しい展開になる恐れがありますね。そうなったらなったで、相場から距離を置くよりほかはありませんが、やはり、やりきれなさは残るでしょう。
  それよりも、世界情勢を気にしなければなりません。仮に事が起きるにしても、何も起きないにしても、自分なりにシミュレーションをして、心の準備はできているつもりですが、いざ大きな動きに直面すると、のみ込まれてしまうでしょうね。精神的にやられてしまうでしょう。
  それに、今まで仕事でもトレードでも何とかうまくやってきましたが、これまでの延長上でやっていけるかどうかは未知数です。恵まれた場所から、いきなり寒空の下に放り出されるということもあり得るかもしれません。
  来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、もう来年は目前に迫っています。鬼もさすがに許してくれるでしょう。
  金融恐慌後、自由な経済活動が保障され、これまで通り個人が自由にマーケットにアクセスできればいいですが、果たしてどうなることか。心配の種は尽きませんが、とりあえず、なるようになるのを見届けることにしましょう。