テクニカル

  今は見る影もないですが、昔は先物ブログが乱立し、トレードに情熱を燃やし、テクニカル教室みたいなのを主宰する人たちがたくさんいました。
  テクニカル講座のポイントとしては、
   ①チャートの形状、トレンド・ラインなどをヒントにエントリー、エグジットのポイントを探る
   ②波動(N波、エリオット波)から値幅を割り出す(①のさらなる応用編と考えていい)
   ③①や②をベースにフィボナッチを使って下値や戻りの計算をする
   ④MACD、RSIなどオシレーターやボリンジャーバンドを使って底値、天井を決めエントリーする
   ⑤移動平均線を使ってエントリー、エグジットの参考にする。
などが主なものでしょうかね。基本的には①+②+③を中心に相場を考える一派と、④、⑤のそれぞれの一派があるという感じでしょうか。④と⑤についてはくっつく時(④+⑤で考える)もありますが、あまり親和性があるとは思えません。
  傾向としては、①+②+③を究めた連中が、④、⑤を見下すという感じでしょうかね。確かに④、⑤については、2005年から2007年くらいの上昇相場では、大手金融機関でも活用する人がいて、天井や底値がコンセンサスとなるので、そこそこ有効に機能する場面もあったかもしれませんが、基本的には根拠に乏しく、だましがほとんどで、使えないというのが一般的な見方で、私もそう思います。
  笑ったのが、昔、ボリンジャーバンドとMACDを自己流で使いこなし、そこそこ成績を挙げ、“カリスマ”といわれた人が、いまだにマネックス証券の10分足チャートとボリンジャーバンドをつかって偉そうに講釈していたこと。たまたま昨年夏ごろ、目にしましたが、最近の日中の値幅40円とか50円の局面で果たして使えるのか? 昔の利益でアドバンテージはあるのでしょうが、苦しいですよね。
  ただ、移動平均線に関しては、値幅がある時には、トレンドラインとして機能したり、5日線や25日線、75日線、200日なんかが意識され、心理的な節目になったりするので、全否定するものでもありません。
  私もテクニカルの基本は①、②、③だとは思っています。特にドル・円チャートなんかは最近までエリオット波動通りに動く場面が多かったのですが、日足チャートなんかを見る限り、最近では全く機能しませんね。レンジ相場では、テクニカルもあまりあてにならないのです。
  特に為替介入なんかが入ってからはその傾向が顕著です。NYダウなんかは、私自身はあまり細かくチャートを読み込んでいませんが、まだ、それなりの余裕資金が流入しているので、テクニカルが機能しているようですが、資金が細った日本や欧州なんかの株式市場、株価指数先物市場なんかでは役に立たないですね。
  とにかく余裕ある資金が市場に流れ込まないと、大きな動きができないのです。だから、せいぜい現状維持か、時々噴き上げても、基本的には金融恐慌に向かっているので、下に突き落とされ、じりじりと後退していくという動きしかできないですね。
  上に下に値幅があり、ダイナミックな動きをするには、やはり流入資金というエネルギーが必要です。日経平均先物に動きを期待するならば、やはり、先物市場もそうですが、基となる日経平均そのものを買い上げてくれる人が必要ですね。国債しか買わない日本や、自転車操業の欧米の現在の状況を見る限り、それは期待できませんね。
  ①+②+③一派の人たちも、今頃どうしているんでしょうかね。現在の相場の状況をどうみているのか? この人たちがめんどくさいのは、「自分こそが相場の極意を知っているんだ」みたいな、やたらといばりくさっていることです。あと、自分の値幅計算をして、次のポイントは「○○円」みたいなことを示して、自己満足に浸るわけですよ。
  所詮は、二重(三重、ソーサー型)底ですよ、N波ですよ、Y波ですよ、エリオット波動ですよ、フィボナッチですよ・・・(その他略)、それなりに勉強して、経験を積み、日々チャートを読み込めばそんなに難しい話ではありません。一生懸命努力して、場数を踏めば、大体の人は習得できます。まあただ、現在の相場付きではあまり勉強にはなりませんがね。
  これも爆笑したのは、ある①+②+③一派の人のブログですが、高い金をとって、チャートスクールを主宰しているらしいのですが(奈良だか京都だか関西地方に住んでいるらしいひきこもりの御仁)、コメント欄に道場破りみたいな人がいて、結構、精密にテクニカル分析をして、書き込んでいたのですが、主宰している人は全く根拠を示すことができず、「機密にかかわることだから」と言って、テクニカル分析の部分のコメントを消してしまった。
  金を取ってスクールを主宰しているのに、ただで全部ばらしてしまったわけですからねぇ(笑)。しかも、その主宰者の人は、あまりのレベルの高さに全然ついていけていませんでした。所詮、そんなもんでしょう。テクニカルにのっとって動いていても気づかない時はありますからね。
  基本的には、日経先物にしても、FXにしても、月足レベルでウォッチすると、そんなにテクニカル的には違和感のある形状ではないんですよね。ただ、月足なので動くのに時間がかかるし、狭い値幅で停滞されると、動きがトリッキーになり、なかなか短期、中期の視点ではポジションがとりづらいです。
  日々の売買動向や、より短いチャート(各分足)から読み解いていくしかないのですが、やりづらいですよね。しかもテクニカルだけでなく、ファンダメンタルが重要になっているので、何をきっかけに相場が動くのか、相場はどうなるのか、欧米の政治の動きなんかも頭に入れておく必要があります。
  金融市場は、それぞれの国の力を反映するものなので、テクニカルよりも、究極的にはファンダメンタルがモノを言います。欧米が原因で金融恐慌に陥るであろうことは容易に予想され、激しい動きになったら、その時はとてもテクニカルでは太刀打ちできません。テクニカルも使える場面と、そうではない場面があるということです。