ラーメン道 完成度の高さに脱帽 葛飾区編1



  つけ麺に関心を持ったので、4月に集中して、気になるお店、メディアによく取り上げられて評判も高いお店を難店か回りました。自分の中ではある程度、ランク付けができていたつもりなのですが、まだまだ、つけ麺を語る上で知っておいた方が良い店はあるんだな、と思ったのが、今回紹介する、新小岩の「麺屋 一燈」です。
  おそらく、つけ麺通の方からすれば、「そんなの常識じゃん」というほど、超有名なお店で、私自身昨年夏ごろから、訪れてみたいと思っていたのですが、それほどつけ麺に対して情熱を抱いていなかったことや、新小岩方面はあまり足が向かなかったので、放置したままになっていました。


  最近出版されているラーメン雑誌で、この一燈はことごとく登場しますし、食べログの評価でも、4.0点超と、絶大な支持を誇ります。そんなすごい店をこれまで“無視”してきたわけですから、つけ麺に関しては、まだまだ知識が浅いなと、痛感させられます。
  一燈を訪ねたのは、5月22日。東京スカイツリー開業日で、スカイツリータウンを見学した帰りでした。ソラマチのグルメ街で、「六厘舎」の前に長蛇の列ができているのを見て、「久しぶりにつけ麺を食べたいな」と思ったのがきっかけです。
  ソラマチはどこも混んでいたので、どこで昼食をとろうか思案していて、新小岩なら錦糸町まで出れば、総武線の快速で1駅なので、そんなに遠くないので、思い立ったが吉日ということで行ってみることにしました。


  土砂降りの雨の中、午後2時すぎに店に到着。食べログの口コミから、行列を覚悟していましたが、私が着いたときには、お昼時は過ぎていて、雨も降っているせいか、並んでいませんでした。
  それでも10席ほどの店内は満席。「特製濃厚魚介つけ麺」(950円)の中盛(+50円)を選択しました。店内はサラリーマン風の人が目立ちましたが、地元の主婦と見られる人や、若い人もカップルを含めて、そこそこいました。私が入店した後に何人か、やってきて雨が降る中、店の外で待っていました。
  店内は若い男性の店員さんが3人ほど。声を出し合い、きびきびと動く姿は、新興ラーメン店にはおなじみの光景になりました。時間がたてば、客層も変わるだろうし、それに合わせてスタイルも変化するんでしょうけどね。
  券売機で食券を買う横から、そばについていた店員さんが、注文内容を厨房に伝えるんですけど、席に着いてからつけ麺が出てくるまで、ちょっと時間がかかりました。といっても10分ほどでしょうか。


  そして、待ちに待ったつけ麺が出てきたときの第一印象が、「ビジュアルがいい!」でした。つけ麺というと見た目よりも、どちらかというと中身で勝負みたいなところがあるのですが、麺にトッピングされた煮玉子、鶏と豚各2枚ずつのチャーシューがとても整然と盛りつけされていて美しく、つけ汁もちょっと上品な和食の煮物か、お吸い物のようなルックスでした。このお店は女性のファンも多いそうですが、納得です。
  いつものように最初の儀式である、まずはつけ汁の吟味。ほんの一口含んでみると、「ふーっ」と思わず、ため息が漏れてしまう味でした。この味は別格です。六厘舎のつけ麺を食べた時も、最初の一口は衝撃でしたが、私の個人的な感想では、一燈が六厘舎を上回っていると感じました。
  六厘舎をはじめ、多くのつけ麺店では豚骨魚介が主流ですが、一燈は鶏と魚介のコンビネーション。これまで豚骨魚介ばかりを食べてきたので、味付けが変わって、インパクトが大きかったというのもありますが、「濃厚」と銘打っているので独特の濃さはあるのですが、豚骨でなく鶏を前面にだしているので、すっきりと仕上がっていて、甘みに深さがあり、やわらかい味でした。
  チャーシューも、煮豚を使うお店が多いですが、素材の味を生かした、ハムのような感じで、おつまみとして単独で食べたくなるような味で、つけ汁とよく合っていました。
  さらにうれしいのが、つけ汁の中に鶏つくねが入っていて、シソ風味(柑橘類の皮も入っているのか?)と食感で楽しませてくれます。ホウレンソウも名脇役で、自家製麺の麺もほどよい太さと弾力でおいしいのですが、トッピングや具にも配慮が行き届いていて、この辺は間違いなく六厘舎を上回っているといえます。
  六厘舎との決定的な違いは、豚骨魚介か、鶏魚介かですね。ここは好みによって評価が分かれるところでしょう。私にはとても新鮮でした。おそらく一燈の店主もつけ麺を開発する際に豚骨を研究したと思うのですが、鶏を選んだところにセンスを感じさせます。麺はややもっちり感が強い、六厘舎の浅草・開花楼製の麺が好きですけどね。


  新小岩はなかなか行きづらいのですが、この味を求めて、ぜひまた再訪したいと思いましたし、つけ麺だけでなく、ラーメンも試してみたいです。近くに系列店があるらしく、ラーメン二郎のインスパイア系らしいのですが、ちょっと気になりますね。
  雨が降っていなければ、新小岩周辺をもっと散策してみたかったですね。かつて花街だったということで、ちょっと興味深いものがあります。
  今回、一燈を訪れたことで、私が考える東京のつけ麺店ランキングは、
    ①一燈(葛飾区・新小岩)
    ②六厘舎 TOKYO(中央区・東京駅八重洲口・東京ラーメンストリート)
    ③中川會(江東区・四ツ目通り)
    ④蕃茄(練馬区・大泉学園)
    ⑤麺爽 かしげ(杉並区・阿佐ヶ谷)
    ⑤麺や ポツリ(港区・浜松町)
ということにしておきたいと思います。