ラーメン道 幸せな一日 西荻窪編1



  吉祥寺に行く用があり、中央線の一つ手前の西荻窪の「丸福」(黄色看板)に行ってきました。7月14日に荻窪の本店の方を紹介したので、ご記憶の方もおられることでしょう。私は、丸福の玉子そばをこよなく愛しています。丸福に行くと決めた日は、前の日の晩からうれしくて眠れないぐらい、わくわくします。丸福で玉子そばを食べると、その日一日幸せな気分でいられますね。
  荻窪本店、西荻窪店、これまで何度訪れた数え切れません。100回、200回ではきかないでしょう。以前は週1回ペースで通っていました。週3回くらい食べてもいいと思っていたこともあったし、実際にそうしたこともあります。死ぬ間際に「最後に何が食べたい?」と聞かれたら迷うことなく、丸福の玉子そばをリクエストすることでしょう。
  普段、「煮干し」「煮干し」言っていますが、丸福は鶏ガラと豚骨ベースで動物系です。それでいて、スープはあっさりしてまろやかな味なのです。煮玉子は固ゆでで、味がしみ込んでいて、どのタイミングで食べるか、いつも迷ってしまいます。
  軟らかく煮たメンマは、ラーメン全体にうまく溶け込んでいて、ひき肉、チャーシューも一体感を演出している。そして、さっと湯通ししたモヤシがシャキッとしていて、絶妙のアクセントになっています。


  人それぞれ評価が異なりますが、荻窪本店が繊細で端正なつくりであるのに対し、西荻店の方はおおらかな感じで、具の盛り付け方がやや荒っぽかったり、チャーシューなんかも大ぶりだったりします。それもまたいいんですよね。
  醤油ラーメン一本勝負の本店に対し、西荻店はギョーザや味噌ラーメンなんかもあって、新機軸を打ち出しています。ギョーザは月並みでしたね。味噌ラーメンはいつかトライしたいと思うんですけど、どうしても醤油味を選んでしまいます。
  新興店は、勢いもあるし、研究熱心で、ラーメンの新境地を見せてくれますけれど、シンプルでオーソドックスなラーメンも魅力があります。新興店のラーメンは、つくりがしっかりしているので、「食事」って感じなんですけど、老舗のラーメンは、気軽さがあるんですよね。丸福のラーメンは酒を飲んだ後のシメで食べてみたいのですが、閉店時間が早いので試したことはありません。遅くまで店をやってくれたらいいのになぁといつも思うのですが、それもこの店の良さなのでしょう。




  西荻窪は、いい感じの立ち飲み屋が何軒もあり、今ひそかにブームの千円でいい気分になれる「せんベロ」を楽しめます。酒好きにはたまらない街です。
  中央線の中野~吉祥寺間は庶民的な横丁がある一方で、しゃれたカフェやレストランがあったり、落ち着いた住宅街も広がっていて、独特な雰囲気を醸し出しています。ぶらぶら歩いていると、「またこの辺に住みたいなぁ」という気持ちにさせられます。
  私にとっては、浅草とか柴又とか深川といった下町風情を強く感じるところよりも、中央線沿線の方が「これぞ東京」と感じられる場所だし、何度でも訪れたい場所なのです。