ラーメン道 煮干しの進化系 新宿編3

  これといって用もなかったのですが、ぶらりと新宿まで出たついでに、ラーメン店をちょっとのぞいてきました。久しぶりに煮干し系のお店を紹介したいと思います。西新宿の「特級中華そば 凪」です。


  凪は煮干しラーメン好きの間では知る人ぞ知るなのですが、ゴールデン街にある特濃煮干しスープの「凪」の系列店に当たります。
  ゴールデン街にあるお店の方は、私は何回か行ったことがありますが、これでもかというくらい煮干しを味わうことができます。あえて荒っぽさを強調しているので、人によっては好き嫌いが分かれるでしょうね。煮干しの持つ苦みや酸味を隠すことなく、大胆に押し出したスープが売りです。

 
  西新宿のお店を訪れるのは今回が初めてです。かねてご案内の通り、西新宿は新興店が次々と開店する、新しいフロンティアですが、「麺屋武蔵」や「味噌屋八郎商店」「らーめん二郎」「蒙古タンメン中本」なんかが集まる小滝橋通りから、西へ数百メートル離れた、高層ビル街のすぐそばにあります。近くには予備校や専門学校、大学などもあり、若い人が集まりやすい立地です。
  お昼過ぎに行くと、店の入り口に人がいたので入店待ちかと思ったら、50代くらいの夫婦2人連れが入り口の券売機で食券を買っていて、その2人は台湾? 香港? あるいは中国? の人らしく、店員に説明をしてもらいながらだったので、メニューを選ぶのに時間がかかっているようでした。
  開店して間もないと思うのですが、店内は居酒屋のようなたたずまいで、とても味わいのある内装でした。カウンター席が12席。奥の席が4席ほど空いていたので一番奥に座りました。夫婦以外は、20代、30代の男性客でした。


  「特級中華そば」が定番らしいのですが、より濃厚な「味玉特級銀河」(900円)を選びました。ゴールデン街の凪の味を知っているので、その味を予想していたのですが、思っていたのとは違う味でした。
  煮干しの味は抑え気味なのですが、ラーメンの上澄みの方を濃い煮干しの層が覆い、それがとてもクリーミーでまろやかな味で、初めての味でした。豚骨ラーメンの煮干しバージョンという感じでしょうか。煮干しを強調しつつも、うまくまとめられていました。進化系ですね。
  麺も、まさに豚骨ラーメンに使われるようなタイプのものでした。やや固めにゆでてあって、スープとの相性は抜群でした。またちょっと変わったタイプの煮干しですね。煮干しの濃い部分と薄い部分があって、緩急がついた感じで、食べやすかったです。
  味玉は半熟タイプのものでした。私は、荻窪「丸福」の煮玉子ような、おでんの玉子のような固ゆでがすきなのですが、このラーメンは麺が固ゆでなので半熟の方が合っているような気がしました。
  強烈な煮干しを期待すると、やや肩透かしかもしれません。ただ、あまり煮干しを食べたことのない人にはかなり濃いと思います。私は5分もたたないうちに完食し、席を立ちましたが、先の夫婦はなかなか箸が進まないようでした。ガイドブックか何かを参考にしたのでしょうかね? 海外の人が日本に来ていきなり煮干しラーメンを食べるのはきついかもしれません。


  あちこちで煮干しラーメンを食べてきましたが、十人十色というか、それぞれ個性があり、面白いですね。凪西新宿店もまったく新しい味を知ることができ貴重な体験になりました。