一勝の重み

  今年のプロ野球は、ようやく順位が確定し、いよいよ残すはクライマックス・シリーズ(CS)、日本シリーズのみとなりました。セ・リーグは、最後の最後に中日ドラゴンズが最大10ゲーム差あった、東京ヤクルト・スワローズを花一つの差で追い抜く、最後まで目を離せないスリリングな展開。パ・リーグは福岡ソフトバンク・ホークスが独走状態でしたが、一時は最下位に低迷していた埼玉西武ライオンズが土壇場で、3位に食い込み、例年にない興味深いペナントレースとなりました。
  このブログでも、ヤクルト・ファンの視点で、主に神宮球場でのプロ野球観戦記を中心に、プロ野球をウォッチし、分析してきましたが、中日にせよ、西武にせよ、それぞれの強さについて、しかるべく評価しており、その意味で的確な見立てができていたかなと自負しています。
  勝負事は①基礎的な実力②運気は誰に味方をしているか③勢いはあるか-を見ていれば、かなりの精度で誰が勝つかという予想はできます。株式投資でどの銘柄を選ぶかや、どの通貨を買うか(ショートするか)、指数先物でどちらの方向に動くか、判断する際にも、応用することができます。
  中日は、8月下旬以降、怒涛の追い上げを見せたのですが、最後は、少し気が緩んでしまったのか、マジック1になってからが長かった。優勝が決まったのは、残り2試合を残してのところだったので、かなりきわどい価値だったということです。
  逆に言えば、ヤクルトは、中日との直接対決であと1勝していれば、優勝の目があったかもしれないのです。10月10日から13日の中日・ヤクルト4連戦で、ヤクルトが4タテを食らったことで、セ・リーグの優勝争いの帰趨が決まったわけですが、ここでヤクルトがもうひとふんばりして、せめて1試合で引き分けでもしていれば、最後までもつれた可能性があったのです。
  シーズン中は144試合を戦い、上り調子の時もあれば、下り坂の時もあるので、どうしても、流れに身を任せてしまうだけの試合も出てくると思います。それは仕方がないとしても、勝てる試合では確実に勝つ。負けてはいけないところでは踏みとどまる。そういう細かい努力の積み重ねが、優勝できるか、できないか、大きな差につながるのだと思います。
  中島、中村剛の華々しい活躍、そして、ベテラン投手、西口が奇跡の復活を見せ、一時期の絶望的な状況から這い上がった西武も同様です。勢いや運が味方した部分もありますが、元々、基礎能力は12球団でも1、2を争うポテンシャルのあるチームで、終盤、一試合一試合、丁寧に勝ちを積み重ねたのが、良い結果につながりました。
  中日、西武は投手陣も打線も、総じて恵まれているので、勝つべくして勝った側面はあります。ただ、ヤクルトやオリックスに比べると、勝ちに対する執念で上回っていましたし、ヤクルト、オリックスは実力では劣るのだから謙虚に試合に臨む必要がありましたが、雑でした。
  特に、ヤクルトはリードしている試合でも、代打、代走起用や、継投を誤り、明らかな勝ち試合を落としてしまうケースが終盤目立ちました。優勝したいという前向きな力が感じられず、それがファンにも乗り移ったのか、ホーム神宮の観客席は、「これが優勝をつかみかけているチームなのか?」と目を疑うほど、ガラガラでお寒いものでした。
  日々、トレードに携わる者として、学ぶべきところは多いのではないでしょうか。トレードの場合の勝ち負けは、単に1トレードで買ったか負けたかだけでは決まらないので、単純に野球とは比較できないのですが、絶対に負けてはいけないところで負けるとダメージは大きいですね。
  長年トレードをやっていれば、勝ちパターン、負けパターンは大体身についていると思うので、「どうやって勝ち逃げするか」に主眼を置くべきだろうと思います。
  私の場合、ロスカットが遅れるのは仕方がないと思っています。確信をもってエントリーするのですから、多少、歯を食いしばって我慢しなければならないことがあります。まあ、間違いに早めに気づけばいいのですが、なかなか、見えづらいこともあるわけで、結果として、ロスカットが遅れ、損を広げるのはしょうがないことかなぁと。
  逆に、どこで利食うかが重要なのではないかと思います。FXでぼろ儲けしている方のトレード方法を見ていると、30ティック利が乗れば確定するとか、50ティック以上は深追いしないとか、自分なりのルールを決めているケースが多いようです。
  深追いして、失敗するというケースは多いですからね。欲張って粘っても、利益を減らすということが往々にしてあります。よほど、明らかにここまで上昇、あるいは下落するという目標が見えているのでなければ、欲を捨て、吹いたところでさっさと売ってしまう方が、案外、いいような気がします。
  確定してから、さらに進んでしまうと、「もっと引っ張ればよかった」と、未練がましく思ってしまいますが、そういうところは、さばさばとした方がいいでしょうね。「利食い千人力」です。利益が乗っていたのに、いつの間にかロスカットというのは言語道断、最悪です。でも、たまにやってしまうんですけどね。
  確実に1勝を収めること。しかも、内容(そこそこの利幅)の伴った勝ちで逃げること。これを心がけたいですね。動きが読みづらく、目指すべき目標価格もいま一つよくわからないというところでは、勝手な期待で、だらだらとポジションを引っ張ってしまうことが往々にしてあります。
  でも、だらだらとやるんであれば、分かりやすいところ、見えているところで、さっさと利益確定してしまった方がいいんですよね。よく言われるようにたい焼きの尻尾と頭はくれてやればいいのです。
  これはメンタル面にも関わることなので、実行は難しいのですが、1勝、1勝をいい形で積み重ねることが、好循環につながるのではないでしょうか。