冷徹に

  来年の金融市場のことを考えると、どうしても憂鬱になってしまいます。普通の常識を持った人なら、欧州の金融問題が行き着くところまで行き、最終的には米国に燃え広がり、欧米の駄目人間たちが寄生虫と共に死滅すると考えるのが普通で、さっさとそうなってほしいものですが、最近の欧州情勢、イランをめぐる動きなどを見る限り、「悪あがき」を続ける可能性があります。
  そもそも欧州が攻撃を受けるようになったのは2009年秋のドバイショックに端を発し、それから約半年後の2010年5月のギリシャ・ショックで、財政問題に対して本格的に注目が集まるようになりました。
  背景には、米国が自分たちより弱い立場にある欧州を叩くことで、世界の関心を自らの巨額債務問題からそらし、資金を誘導することで、株高、通貨高を維持することにあります。また、ギリシャをはじめ、各国の国債を空売りすることで、不当な利益を得た輩もいることでしょう。
  ただ、欧州全体としては、米国のように巨額な貿易赤字を抱えているわけではなく、問題となっているそれぞれの国が発行した国債も、ほとんどは域内で消化され、持ち合いの状態のようになっているので、ユーロ導入で暴利を得たドイツが相応の負担に応じれば、この問題は終わると考えて過言ではありません。
  もちろん、米国に勝るとも劣らず、金融ばくちや不動産転がしに興じた揚げ句こういう問題が起きたわけで、問題が収束するからといって、何事もなかったかのように過ごせるかと言えばそうではないでしょう。日本のバブル崩壊と同様、不良債権の処理で今後10年、20年と苦しむはずです。
  また、このところ欧州問題をめぐっては、「財政規律の強化」や「金融機関に対する規制」のようなことも、さかんに言われますが、要は、一部の人たちが、財政や金融、経済を管理しやすい体制に持っていきたいという思惑もあるのでしょう。フランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相のおバカコンビが、米国に操られて新しい秩序を構築する方向へ突き進んでいます。
  最終的には米国の金融問題に対して、欧州の金融資産が投入されることになるのでしょう。現在の欧州問題をめぐる一連の動きは、その布石となるものと考えられます。
  でもどう考えても、米国がやらかした金融崩壊は、欧州の金融資産や、今後、日本から搾り取ろうとするカネで、まかなえる規模ではありません。リーマン・ショックの時は、金融機関の倒産に備えた保険であるCDSが問題になり、結局、各金融機関の話し合いにより、取引をちゃらにすることで、ショックを軽減しましたが、さまざまな金融商品に組み込まれたサブプライム・ローンは、どうにもならず、無理なローンを組んだ人たちもカネを返すつもりはないでしょうから、いずれ償還を迎えた債券類が破裂することになります。
  さらに金融危機に対処するために、刷り散らかされたドルをどうするか? どうにも手を付けられず、どうにかする気もないんでしょうけれどもね。究極的には米国債の購入者が借金を踏み倒されることになります。表面上は中国が最大保有国ということになるのでしょうが、国の特別会計で買わされていたり、民間金融機関や投資信託なんかに組み込まれた分を含めると、圧倒的に日本が買い支えているでしょうから、とんでもない目に遭わされることになります。すでに円高という形で表面化していますが。
  まあ、米国としても、国が滅ぶのを放置するわけにはいかないし、中国がかなりしたたかで、一筋縄ではいかない国であることが分かってきましたから、覇権を維持するためになりふりかまわず何でもやってくるでしょうね。
  と言ってもできることは限られているし、中国や日本と比べてカネを稼ぐ能力で極めて劣っているので、破れかぶれでイランを攻撃することぐらいしか思い付かないでしょう。米国というパトロンを失えば、イスラム諸国からたたきのめされ、地球上から消滅する恐れがあるイスラエルの利害とも一致します。
  イラン攻撃に対して気を付けなければならないのは、予想もつかない大混乱が起きる可能性があるということです。おそらく株もドルも乱高下することでしょうね。
  ただ、何とかイランに戦争を仕掛けて油田を奪い、当座の危機はしのげても、問題の根本的な解決にはつながらず、早晩、破綻することは目に見えていますが。
  だから、基本的には経済の実態が示す方向に進み、株、ドル、ユーロが大暴落すれば、万々歳なのですが、ここへ来て、生存本能を発揮し、無駄な抵抗を始めたので、新たな状況に対応しなければなりません。来年は、スムーズに事が進めばいいのですが、面倒な一年になりそうです。
  そうなればそうなったで、それに合わせて行動すればいいだけの話で、そこは冷徹に考えればいいと思います。とは言っても、経済の法則に明らかに反した動きになるでしょうから、常にリスクと隣り合わせで、釈然としない思いを抱えながら、金融市場と付き合わなければならないのですが・・・。