勝負どころ

  ギャンブルは弱いし、普段金融市場にかかわっているので、あまり必要以上に運を使うようなことはしたくはないのですが、今年に入ってから何回か、麻雀をやる機会がありました。いずれも大勝したのですが、たまにやると、学ぶことが多いですね。
  正直、最初は乗り気じゃなく、どうしても人数がいないということで、しぶしぶ参戦したものの、終わってみればほぼ一人勝ちの状態で、ハコテンになりかけても、驚異的な粘りで息を吹き返して、半荘ベースですべて勝ち越し。逆に周りの人たちを白けさせてしまいました。
  後講釈にすぎないのですが、麻雀の極意は、「運気の流れを読む」ということですね。いくらこちらの手がよくても、自分よりツイている人がいれば太刀打ちできません。たとえ、こちらが役満をテンパっていていも、安い手であっても先にあがった奴が勝ちなのです。当たり前のことですが重要なことです。
  かつての自分もそうですが、弱い奴に限って、「国士無双でアガリ損ねた」とか「ほぼ数暗刻出来上がっていた」みたいなことをやたらと未練がましく言いますが、アガレなければ、ゼロに等しいのです。ましてや放銃した場合は、マイナスです。
  しけた配牌でも、早くアガれば、安くても勝ちは勝ちだし、大きな手をつくり上げつつある奴の運気や、連続でアガっている奴の流れを断ち切り、自分に運気を呼び寄せるきっかけになることが往々にしてあります。麻雀とは、まさに他人の気を乱し、吸い取り、自分に集めるゲームですね。
  一番難しいのは、勝負どころの見極めです。そこそこいい手であっても、周りがどこまで攻めているかによって、そこから進展させるか、それとも、とても及びそうにないなら、勝負から降り、せめて放銃しないようにするか、捨て牌や表情だけでは読み切れず、しかも、運に乗っている人は、多少手が悪くても、いい牌をすぐにそろえてくるので、勘を働かせないと難しいですね。
  ただ、2、3局もやっていると、うっすらと誰に運があるかは、大体想像がつくので、少なくとも運のある人をフォローし、気を付けていれば、ほぼ間違いはありません。その一方で、次に誰が流れを呼び寄せるかも注意しなければならないのですが。
  最も気を付けなければならないのは、自分自身が運に乗っている時ですね。欲張ってアガリ損ねたり、逆にもう一手たたみかければ、完全に決着がついてしまうのに、結局しょぼい手でアガってしまい、自らの失策で他人に運や流れを譲り渡しかねません。アリの一穴というか、自分に回っている運をうまく活用できなければ、そこからほころびが出て、そこを突かれると簡単に負けてしまいます。
  他人がテンパっている時に、追っかけでリーチをかけるかも、重要な勝負どころですね。これこそまさに「運試し」です。勝ち抜けることができれば、一気に運や流れを引き寄せられるし、負けた時のダメージも大きいです。そこは麻雀の究極の醍醐味です。
  勝ち抜ける自信がなければ、ヤミで待つこともできます。手を変えたり、最悪、勝負を降りてもいいわけで、この辺もうまい下手が分かれるところです。
  勢いに乗っている時は畳み掛けなければならないし、分が悪いときは、逃げるが勝ち、あるいは負けても損を最小にするように早々と勝負を降りるのが得策です。
  入ってくる運気を最大にし、出ていく運気を最小にする。そこが麻雀のツボなのかなぁ、と勝手に思い込んでいます。麻雀にかかわらず、ほかのギャンブルや勝負事もそうだし、トレードも同じですよね。何事も勝負どころを外さないことが大切です。