掉尾の一振

  このところ毎年、リーマン・ショックのあった2008年でさえも、年末にかけてラリーがあり、ちょっとしたご祝儀相場の分け前にあずかれたのですが、今年はさっぱりでしたね。米国市場のはしゃぎぶりと比較すると、「何なんだ一体」というくらい、ひどいありさまです。




  これも今後、想定される金融恐慌の予兆と考えていいのではないでしょうか。マーケットコメントに出てくるアナリストやなんかは、さかんに「掉尾の一振」だの「年末ラリー」だのと、期待をあおるようなことを言い立て、私自身も期待したのですが、彼らはどう見ているんでしょうかね。
  予想が外れたことで、ほっかむりしてしまうのか、それとも、相場の“異変”ととらえるのか。まあ、「日本株の出遅れ」とか「外国人の日本株離れ」という、自虐的な総括をするんでしょうけどね。
  このところ何度か指摘していますが、いよいよ、さまざまな矛盾を覆い隠せないところまで来ているのではないかなと思っています。
  米国人は株価に敏感に反応するので、リーマン・ショック以降、2度にわたる金融緩和でドルを刷り、株価を買い支えています。そしていよいよ弾が尽きたとなると、今度は欧州にちょっかいをかけ、金融緩和をさせることでカネを捻出し、それを米国株に投入させるということをやっています。
  まともな感覚を持っている人なら、米国に対して、きちんと怒りをぶつけるし、小手先の操作ではなく、経済を抜本的に立て直すよう諫言するところですが、不幸にして、そういう人はいなくなりました。
  IMFのストロスカーン前専務理事は、比較的バランス感覚に優れた人だと目されており、フランスのサルコジ大統領のライバルでしたが、ハレンチ事件をでっち上げられ、失脚してしまいました。
  ドイツのバカ女もそうですし、わが国のドジョウ男もそうですが、米国の言いなりに動くような人しか一国のリーダーにはなれないようです。




  それにしても、マーケットから「おかしい」という声は上がらないもんでしょうかね。恩恵を受けている米国市場や、金融危機の震源地の欧州市場は仕方がないとして、日本や中国、その他勢いのある新興国なんかからは、もっと批判する声が出てもいいような気がします。
  特に中国ですよね。バブル懸念もあるにはあるんですけど、嫌がらせのように株価が低迷しています。私の知る限り、中国の要人などから株式市場についてのコメントが出ていないと思います。
  この辺を見る限りはまだまだ、中国が発展途上国であるということをうかがわせますね。米国のペースに乗せられたままです。中長期的な考え方を持っているので、意に介さないのでしょうけど。
  それにしても、今年の年末は、本当に不毛でした。来年になれば、もっともっとおかしな状況に陥るでしょうし、いずれ臨界点に達して、大暴落など激動につながっていくのでしょう。腑に落ちない部分は多々あるし、すっきりしないまま年を越すことになりますが、「これもまた相場」です。
  こんなささいなことに負けずに前を向いていかなければなりません。