政治主導とは

  明日(27日)投開票の大阪府知事選、大阪市長選は、今後の日本の針路にとって重要な選挙になると思います。橋下徹前大阪府知事率いる「大阪維新の会」と、市長選では共産党まで含めた既存政党との対決という構図で、橋下氏の「独裁」に対して、賛否両論が巻き起こっていますが、まさにここが重要なポイントなのです。
  細かくは触れませんが、「民主主義(デモクラシー)」の反対の意味を持つ単語は、「独裁」ではありません。このことを知らないで、政治に関して偉そうに語る資格はありません。身を引くべきです。知らなかった人がほとんどだと思いますが、政治に対して真剣に向き合いたい人はぜひ、これを機に覚えておいてください。
  民主主義と対立する概念を示す言葉は、「神聖(神権)政治(テオクラシー)」です。神聖政治にもいろいろな形態がありますし、この言葉の解釈をめぐっては、意見が分かれる部分もありますが、人間の意思を超えた、神の意向に従って行う政治のこととしておきます。対して、民主主義はdemos(大衆、広い意味で人間)が行う政治のことです。
  人間が行う政治が、歴史の中で、試行錯誤していくうちに、民主的に(投票によって)選出された、代議士に全権を委ね、政治を任せるというシステムが「民主主義」として確立しました。だから、「民主主義」と「独裁」とは決して、喧嘩する概念ではないんですよね。
  今回のダブル選挙で、心の底から情けないと思うし、怒りが込み上げて仕方がないのは、既存政党がこの「民主主義」を否定する行動をとっていることです。自分たち自身が民主主義のルールにのっとって選ばれた政治家であるにもかかわらず、なぜ、自分たちの権限を抑制あるいは無にしてしまう行動をとるのか。不可解です。
  なぜ、府庁や市役所のお役人のことを気遣わないといけないんでしょうかね? 有権者から全権をゆだねられているわけなのですから、役人を使い倒して、政策を実現するのが本来の民主主義のあり方ではないんでしょうかね?
  民主党も、自民党も、共産党も、自分たちが国民や市民に選ばれて権力を行使することを期待されているにもかかわらず、役人のご機嫌取りをして、なあなあのうちに、テキトーに政治を行うことしか考えていないということがはっきりしました。
  今回、公明党は自主投票のようで、やや逃げ腰な感じはしますが、従来の官僚政治のしがらみを考えると、百八十度舵を切るというのは難しいでしょうから、まあ、それなりに評価できるでしょう。
  町村役場の職員から、国の中央省庁の官僚に至るまで、役人が自分たちの都合のように政治を行い、利権を肥大化させてきたのが、日本のこれまでの姿だったのではないでしょうか。そして、そこに巧妙につけ入ったのがほかならぬ米国で、官僚をコントロールすることで、日本に対する支配権を完全に確立してしまいました。
  だから、国民のために国の予算を使おうとしても、いちいち米国様のお許しを得ないと、できないような情けない状況に陥ってしまったのです。官僚も自分たちを評価し、人事にまで介入してくるのは米国様なものだから、一生懸命、歓心を買おうと、米国に国益を差し出そうとする。
  米国が国家破綻して、西太平洋から出て行ったとしても、目ざとい中国に官僚機構が利用されることでしょう。卑しい韓国、朝鮮人も虎視眈々と利権あさりをねらっています。
  これ以上の売国を許さないためにも、政治を政治家の手に取り戻し、官僚の影響を排除して、より民意が反映されやすい仕組みにしなければならないのではないかと思います。
  それと重要なのは地方分権ですね。中央官庁の役人には、地方の事情なんてとても分かりませんよ。神様ではないのです。だから、地方のことは地方が決めればよい。
  お金と権力を地方にゆだねることで、よりきめ細かく、行き届いた行政が可能になるでしょうし、透明性が高まるので、国民の知らないところで、米国に貢いでいたなんていうことも、少しはチェックが働くようになるでしょう。だから、大阪都構想とか、関西広域連合の機能拡大というのは、とても重要ですね。
  正直、橋下徹という人物は、胡散臭いところがあるし、出自ではなく政治思想とか誰の影響を受けているのかという意味で、素性が分からず、危険な部分もあると思います。環太平洋パートナーシップ協定にも前向きだし、個別の政策では支持できない点もあります。
  でも、政治主導と地方分権という大枠では、私は彼を支持します。今必要なのはまさに「独裁」だし、それが官僚政治を脱却し、真の意味で民主主義を確立するためにも大切なことなのです。
  橋下氏に対する週刊誌でのバッシングは明らかに異常だし、ついに本性を現したということでしょう。要は「政治主導」「地方分権」は、“彼ら”にとっては、とても都合が悪いことなのです。その一点だけとっても、私なんかは橋下氏を支持する十分な根拠になると思いますけどね。
  2009年、民主党はまさにこの「政治主導」と、「地方分権改革は一丁目一番地」として、マニフェストに大きく掲げ、政権交代を実現しました。ところが、わずか2年で官僚機構や米国の罠にはまり、この体たらくとなってしまいました。
  誰のための政治なのか、もう一度、考える上でも、今回の大阪のダブル選挙はとても大切なのです。私は東京都民で、部外者なので、所詮はたわごとにすぎないのですが、大阪の人にはぜひ熟慮の上、投票所に足を運んでほしいと願います。橋下さんに入れるにしても、平松さんに入れるにしても、重要な一票になることは間違いありません。