桜散りゆく



  先週から、いつの間にか始まった、“桜シリーズ”ですが、そろそろ桜散る時期になってきたので、いったんここで一区切りとしたいと思います。
  せっかく春が訪れ、これからプラスのエネルギーが本格的に充満する季節なのに、世の中、あちらこちらにマイナスの気が充満しています。金融市場なんてその最たるものですよね。落ちぶれた欧米人が延命を図るために運営しているわけですから、そんなものからまともにエネルギーを取り込めるわけがありません。というか、気を奪い取られてしまいます。
  普通に仕事をしていても、世界全体がどんよりしたムードに覆われているので、プラスの気に包まれた、幸せな人と接する機会なんて稀です。だから、対人関係にも気を使わないと、こちらまで沈んでしまいます。
  自然は本当に素直です。春が来て空気が暖まれば、生命活動が活発になります。桜の花はその象徴ですね。だから、せめて桜の生命のエネルギーにあやかって、乱れた気を整えたり、活力を受け取りましょう。
  桜に限らず、これから咲く花や、生まれたばかりの赤ちゃんは、存分に恵みを受け、命の輝きを放っています。小難しいことを考えず、心の底から新しい生命、命の息吹を祝福できることこそ、自分自身が幸せになれる第一歩でしょう。




  学生時代、年配の先生が「この歳になると満開の桜を見ることができるうれしさをしみじみと感じる。来年は果たして同じように桜を見られるか分からないから。君たちのような若い人にはまだこの感覚は理解できないだろうけど」とおっしゃっていたことを思い出します。
  まだその先生の年齢には達しないものの、最近は少しずつ、その言葉の意味が分かるようになってきました。昨年は3月に東日本大震災が起き、東京電力福島第1原発事故の収束の見通しも立たず、その中で迎えた桜のシーズンでしたが、大きな余震が続き、東海、東南海地震、首都圏直下地震を誘引し、「地震で死んでしまうのかなぁ」と思ってみたり、「放射能を浴びて長生きできないかも」と思っていただけに、何とか震災を生き延び、満開の桜を見られたことに、何か運命を感じました。
  今年は、昨年ほどの緊迫感はないものの、“人災”による大パニックが目前に控えており、自分自身のみならず、日本全体が難局を乗り切っていけるか、祈るような気持ちです。今年は何とか平穏の中で、桜のシーズンを終えつつありますが、来年の今頃は、どうなっているだろうかということを考えると、桜吹雪がとても切なく感じます。




  それにしても、今年ほど桜をよく観た年は、人生でもありませんね。とにかく、金融市場はじめ俗世間とかかわっているとろくなことがありません。
  みんなはっきりと何が起きるかということは分からないものの、うすうすと感じているんですよね。「このまま平穏に物事が進むはずはない」と。だから、世の中全体、どんよりとした空気に覆われています。
  マイナスの気を払しょくするためには、自然のプラスの気を受けるしかありません。人間の小賢しく、浅はかな考え、行動、営みなど超越し、素直で純粋な生命活動の息吹を感じることで、癒され、活力を得るのです。私たちだって自然の一部にほかならないわけですから、自然が発するプラスの気を受ければ、いい影響があるに決まっています。
  ということで、冬場に活動力が落ちたこともあり、体全体を目覚まさせるために、時間を見つけて、都内各所の桜の名所をできる限り訪れてみました。




  上野公園、深川(門前仲町、森下)、隅田川周辺、浅草、井の頭公園、国立、芝・大門、六本木、飛鳥山公園、新宿御苑といったところです。
  急に思い立って行動したので、事前にいろいろと調べていれば、都内に限らず、近郊の名所などにも行けたでしょうが、これは来年の課題ということで。
  桜がどのように咲いて、満開になり、散っていくか、つぶさに観察したのは、初めての経験でしたし、普段、見過ごしてしまいますが、「さくら通り」「さくら街道」「さくら広場」「さくら公園」などなど、「桜」を関した地名、ランドマークがいかに多いか、そしてそういう場所は名前にたがわず、桜が咲き誇り、印象的です。こういうことに気付くのも桜のシーズンならではですね。いろいろ勉強になりました。


  桜が咲いているのは10日ほど、遅咲きのつぼみも含めればせいぜい2週間といったところでしょうか。1年のほとんど、300日以上は、桜には無関心だし、蛾が好んで卵を産み付けて毛虫がわいたり、私の祖父母が住んでいた空き家は、庭先の桜にシロアリが棲みつき、結局、昨年取り壊す羽目になるという、実は面倒くさい植物なのです。
  それでも、桜はパッと咲き、パッと散っていき、その様がとても潔く、日本人の心情にとても訴えかけるものがあります。
  来年まで桜が咲き誇る風景を見ることができないと思うと、さびしい限りですが、名残惜しさがまた桜の美しさを引き立てるのでしょうね。
  桜に限らず、これからは、いろんな命が輝く季節ですから、いろんな風景を楽しみながら、季節の移り変わりを楽しみたいものです。そして自然からたくさんの気を受け取りましょう。