紅葉の秋~日光を訪れる 前編

  今年の秋は平年よりも気温が高く、季節感があまりないですが、四季を感じるために日光を訪れてみました。昨年も同じ時期に行ったのですが、今年は東日本大震災で全体的な観光客が減っている上に、放射性物質の風評被害なんかも追い打ちを掛けているようなので、どうなっているのか興味があったのと、地域活性化の支援のつもりで訪れてみました。


  前日に雨が降り、朝の東京スカイツリーは展望台にもやがかかっていました。やや不安な空模様でしたが、日中は回復するということだったので、「まあ、何とかなるさ」と思い、東武・浅草駅に向かいました。






  事前にネットで調べていたつもりだったのですが、日光行きの直通の特急に乗りそびれ、30分後の鬼怒川温泉行きに乗ります。


  浅草駅は一応ターミナルですが、東武の電車はほとんど日比谷線や半蔵門線と東京メトロの地下鉄線に向かうので、ほとんどターミナルとしては機能しておらず、ラッシュアワーにもかかわらず、ホームは閑散としています。
  スペースが狭く、しかも、カーブしているので、列車との隙間がハンパではなく、いつも転落する人がいるんじゃないかと、ついついいらぬ心配をしてしまいます。


  浅草を出ると、車窓から隅田川沿いの景色が見えますが、東京らしい風景で、何となくいいなと思えます。




  新今市で日光行きに乗り換え、1時間40分ほどで日光に到着しました。ここからはバスで移動します。昨年は平日にもかかわらず、バス乗り場に行列ができ、いろは坂も大渋滞だったのですが、今年は拍子抜けするほど人が少なかったです。
  紅葉シーズンのピークは過ぎてはいますが、ちょっと落ち込み方が大きいですね。特に外国人観光客が減っているようでした。まあ、震災とか放射能どうのこうのよりも円高とかギリシャ問題の方が大きいでしょうね。貧乏な欧米人なんか相手にしなくてもいいと思います。時代は変わるのです。




  天気も少しずつ回復し、気温のせいもあって、紅葉の鮮やかさはいまいちだったものの、山々の美しさに見とれます。
  途中で視界が開け、パノラミックな景色が広がる場所では、路線バスなのですが、「わぁー」という歓声が車内で上がります。




  40分ほどで目的地、中禅寺温泉に着きました。いろは坂が混んでいると、1時間以上かかることもあります。週末などはさらにひどいでしょうね。
  この日の東京の日中気温は18度でしたが、さすがに山奥だけあって10度を切っていました。それなりに厚着をしていたのですが、思わず寒さで身震いしてしまいます。
  

  雨上がりで、なんとなくどんよりとした部分も残るのですが、雲が切れると、秋らしい青空が広がり、男体山もきれいに見えました。






  山の木々はすでに枯れ始めているところもありましたが、中禅寺湖畔のもみじはまさに紅葉の盛りといった感じで、まぶしいくらいでした。




  次に華厳の滝に向かうのですが、その前にちょっと寄り道。滝を見学するエレベーター乗り場の近くに、すいとんを売っている屋台や売店があり、つい誘惑されてしまいました。
  野菜たっぷりで300円。七味唐辛子をかけ、よく煮こまれた具と、汁をすすると寒さも吹き飛んでしまいます。




  遠足か修学旅行か分かりませんが、小学生の団体客に交じって、華厳の滝の展望台へ。米国とカナダの国境のナイアガラの滝や、ブラジルのイグアスの滝など、“ワールドクラス”の馬鹿でかい滝も見たことがありますが、これはこれで風情があっていいではないでしょうか。
  トレッキングや登山の専門家の方もおっしゃっていましたが、日本には繊細な自然と地形があり、希少さでは海外の有名な景勝地に決してひけをとらないと。まさにその通りだと思います。




  滝の景色をすっかり堪能して、昼食をとることにしました。日光名物は手打ちそばと、湯葉ですが、この日は「そばが食べたいなぁ」と思って、手ごろそうなお店に入りました。
  そしたら、「湯葉せいろそば」というメニューがあり、渡りに船とばかり、注文しました。二つの名物を単に組み合わせただけかと思いきや、さにあらず。
  大豆の糖分が持つ、まろやかな甘みが、そばつゆや香り高い打ち立てのそばと絶妙にマッチし、実においしかった。
  犬も歩けば棒にあたる。こういうのは、思いがけず、いいものとめぐり逢えるという、あてもない遠出や旅行の際のだいご味ですね。
  満足感いっぱいで、次の目的地に向かうことにしました。(続く)