今年も親しくしている人から年賀状を交換しましたが、東日本大震災があり、まだ自粛ムードが強いのか、みなさんからいただいた年賀状は地味で簡素な内容が多かったですね。こちらから出した年賀状も、東急ハンズで買ったのですが、ごあいさつ程度で、デザイン、内容ともに例年と比べるとそっけないものとなりました。
  ただ、せっかく年賀状をもらっておいてなんなのですが、「震災で人との絆の大切さを実感しました」とか、「なでしこジャパンから勇気をもらいました」とかいう内容のものは、どんなに親しい人からであっても、背筋に悪寒が走るような感じでなんか嫌な感じがしました。
  逆に宮城や岩手からの年賀状で、「励ましてもらって本当に力づけられました」とか「温かい目で見守ってください」という内容のものは、字面だけをみると、野暮ったいのですが、大きな災害を経験し、身内にも被害が出たという背景もあるので、何か伝わってくるものを感じました。
  やはり、他人ごとか、そうでないかでは、大きな違いがありますよね。本当に苦しい状況にある人や、困難に直面した人の話は実感として伝わってきます。
  逆に震災も原発事故も関係のない、安全地帯にいて、テレビとか活字でしか、震災のことを知らない人から「絆」とか「日本人の団結、底力」とか言われても、歯が浮いているようで、全く心に響きません。むしろ偽善的な感じがします。関西や九州から来た年賀状はそんな感じでした。
  3年前の正月の年賀状から、私は、金融恐慌、経済パニックについて注意喚起してきました。特に昨年は金融危機が目前に迫っているという感じがあったので、「金融恐慌が起きると、何があるかわからないので、災害対策も兼ねて現金や食料、医薬品、日用品の備蓄をすることをお勧めします」と書いたのですが、3カ月後に震災が起き、結構、「あなたの予言が当たりましたね」とか「信じておけばよかった」とか感謝されました。
  正月早々、嫌なニュースなど知りたくないし、「米国が国家破綻する」といっても、普通の人はにわかに信じないでしょうけど、他人に嫌われようと、気が狂っていると思われようとも、現実を直視しなければいけないと思うので、差し支えのない限り、多くの人に警鐘を鳴らすようにしています。
  今年の年賀状でも、「このまま金融恐慌に突入するか、戦争を起こして景気浮揚を図るのか、いずれにしても大変なじだいです」と書いておきました。さすがに今年は好意的な反応も少なくなかったですね。その一方で、ものすごく親しい人から来た年賀状は、本当にそっけなく、「かなり嫌われているんだろうな」と思われる内容のものもちらほらありました。まあ、世の中そんなものでしょう。
  とにかく、今年2012年はどういう形で事が起きるか分かりませんが、激動の年になりそうです。イランに戦争を仕掛けて一時的に景気は浮揚するのかもしれませんが、早晩、金融恐慌は不可避でしょう。そうなると、震災の時は東北地方と関東の一部で被害はとどまりましたが、北海道から沖縄まで、もちろん世界規模で、一人一人に災難が降りかかることになります。
  そんな時になお、「絆」がどうのこうの、きれいごとを言っていられる余裕はあるのか? 安全地帯にいるのと、災厄にいるのとでは、立場が全然異なります。苦しい中にいてこそ、本当の人間性が試されるわけで、そういう時にこそ、前向きでありたいと思いますね。
  来年の正月の年賀状は果たしてどんな言葉が書かれているでしょうかね。