金融引き締めで物価は下がらない(肖敏捷の中国観〜複眼で斬る最新ニュース)

 今から18年前の1993年10月7日、中国の政府系通信社である新華社は、香港の「明報」の席揚記者が逮捕されたと報じた。理由は、席氏が金融と経済にかかわる「国家機密」を大量に盗んだことだと伝えられていた。  新華社の報道は、席揚記者がどのような「国家機密」を盗んだかについては触れなかった。ただ、香港のマスコミによると、中国の中央銀行が外貨を購入するため保有している金を売却するとか、預金を引き付けるため預金金利を引き上げるなど、席氏が書いた経済政策に関する「独占記事」が、中国当局から疑われたのではないかとの見方が一般的だった。  この事件で、席氏は懲役12年の刑を言い渡された(1997年1月に釈放)。