「経済成長すれば増税は必要なし」のウソ(復興の経済学)

ポイント ・レーガン大統領の「減税で財政再建」政策は失敗、クリントン大統領の「増税で財政再建」政策は成功 ・税率を引き上げても、労働供給や課税所得はそれほど縮小せず、税収は減少しない ・楽観的な財政再建計画は国際的に信用されない  前回の復興財源のあり方の説明した際、国債はいずれ償還しなければならないことを前提としたが、増税に反対する論者もいる。今回はそうした主張のうち、「増税すれば経済成長が低下し、減収になる」、逆に言えば「減税で経済成長が促進され、増収となる」との説の問題点について考察しよう。  増税の経済成長への影響は、ケインジアン的な意味での短期的な影響とインセンティブへの効果を通じた中長期的な影響が考えられるが、前者については、5月30日の社会保障改革に関する集中検討会議に提出された内閣府の研究報告書に、1997年の消費税引上げの影響を巡る議論も含め、よくまとめられているので、本稿においては、いわゆる上げ潮派の論者が重視することの多い後者のインセンティブへの効果を通じた中長期的な影響につき論じる。