レンジ・トゥ・レンジ

  日経先物、ドル・円ともに堅調だと思いますが、イケイケになるのかと思いきや、どうも動きがすっきりしません。材料が出る、あるいは材料を出すタイミングに合わせて、時間調整、小規模な値幅調整をしながらの上昇なので、レンジで推移する時間がどうしても長くなってしまいます。あるレンジから次の(別の)レンジへ移るという動きを常に繰り返しているにすぎないということです。
  月末で月足をどういう形に仕上げるか、月始で下値確認をどうするか、イベントにからめてどううごかすかなど、ところどころで重要なターニングポイントがあるので、レンジでの推移に振り回されないようにしたいものです。
  基本的には、重要なポイントでは、誤解を招かないようにはっきりした動きを見せます。先物だと上を目指すならば高値を更新する動きに出るでしょうし、逆に上昇に終止符を打って、下落に転じるならば、値幅を伴った長い陰線を引くでしょう。
  2月末の攻防が象徴的でしたね。先物もドル・円も月末をにらんで直近高値を更新してきて、いったんそれなりの値幅を伴って下落しました。先物は1万円あるいは200週線をにらんだ動きで、もし、相場が反転するなら、ズドンと下に落としてくる可能性が高かったのですが、底割れかと思った瞬間に猛烈な勢いで買い上げられ、再び高値を更新してきました。
  これが2月28日の動きで、翌29日はさらに高値を更新した後、調整に入りました。これは値幅とともに3月の月足をどう描くかということもからんで、時間調整を入れる意味合いもありました。さらに翌週には月に1度のビッグ・イベントである米雇用統計発表も控えており、あまり先走った動きもできない状況でした。
  だから、レンジで動いているときは、そんなに慌ててポジションを取る必要もなく、乗れるのならば乗せてもらうというスタンスでいいと思います。かなり力関係がはっきりした動きになるので、ある程度動いたところで飛び乗っても十分利幅は稼げますし、何より安全確実です。
  2月中旬の追加金融緩和決定の前後にもターニングポイントがありましたね。日経平均が9000円に乗せるか、ドル・円が昨年8月の為替介入ポイントである1ドル=77.10を抜けきれるかどうかに注目が集まり、どちらに抜けるかレンジで推移。2月14日の追加緩和発表で棒上げしました。
  とにかく上値が重く、9000円ではね返す動きが強かったので、市場参加者の目線はやや下向きでしたが、見事に裏をかいて、(値幅は伴わないものの最近にしては力強く)爆上げしました。
  そういうときに限って、みんな不安になるんでしょうね。「ショートを仕込んで放置しました」とか「プットを買いました」みたいな頭の悪いコメントを寄せてくれるので、じっと我慢して耐えていた私は、気が散って仕方がありませんでした。当時も強調しましたが、ああいう場面で決め打ちは大変危険です。
  はまればいいですが、大抵、思惑と逆に動くケースが多いです。仮に成功したとしても、決め打ちで仕込むのと、動いてから乗るのとでは、それほど値幅は変わりません。ほんの50円、100円多く獲れるぐらいのはなしです。だったら、保険と思って、気長に待った方がいいと私は考えます。
  レンジで推移して決着がつけば、ミツバチが花から花へと移動するのと同様、上なり下なり次のレンジで推移して、さらに別のレンジに移動するという状態が繰り返されます。上に行くか下に行くか判断がつきにくいところでは、むやみに勝負に出るより、静観していた方が賢明なのはこういう理由です。
  上(下)のレンジから上(下)のレンジ、さらに上(下)のレンジへと順調に進めばいいですが、上のレンジへ乗せた後、下のレンジに行ったり、下のレンジの後に上に行くということも往々にしてあります。全体として値の行き場がなく調整モードの時に起こりがちですが、そういうケースもあるので、できる限り、動くまで待つというスタンスが無難なのです。