日本テレビ系のドラマ「家政婦のミタ」の最終回平均視聴率が40.0%と聞いてびっくりしました。放送翌日のフジテレビの朝の情報番組「知りたがり!」でも取り上げられるほどで、フジのアナウンサーも「うちも頑張ります」と、よほど悔しかったんでしょうね。
久々に話題のドラマが出たという感じで、一応、すべての回を見ましたが、ストーリー展開はやや強引でしたが、飽きさせなかったですね。最初は、松嶋菜々子さんが主演と聞いたときは、「野暮ったいドラマだろうなぁ」と思っていましたが、不気味キャラがおもしろかったですね。
ただ、最終回は意見が分かれるところでしょうね。家政婦のミタさんが最後に見せた笑顔。松嶋さんの演技がうまいのかどうか。私はただの素の笑顔のような気がしますが、あの場面であのようなきれいな笑顔を見せられたのはうまいと評価する人もいるでしょうね。それまでの展開を考えると、もうちょっとぎこちない笑顔を見せても良かったような気もしますが。
でも、このご時世に40%の視聴率ってにわかに信じられませんね。たかがドラマですよ。本当に4割の世帯が熱中したんでしょうかね? 平均視聴率も20%台で、水曜日のあの時間帯にしては、破格の高さでした。皆さんの周りでそんなに話題になっていましたか? 少なくとも私の周りでは、ジョークで「承知しました」みたいなことを言う人はいましたけど、そんなに盛り上がってはいませんでした。
確かに、面白いことは面白いのですが、正攻法のドラマではないですよね。「好きな人だけ見ればいい」って、その程度の話ですが、そんなものに、そこまで興味をひかれるものなのか?
主人公のキャラ設定がミステリアスで、少しずつベールがはがれ興味を引いた上に、家族の絆的なところも、うまく取り入れていたので、それなりに受ける要素はありました。他局のバラエティーなんかでもパロディーで取り上げられたので、それまで関心のなかった層も少しずつ取り込んでいったんでしょうね。
秋のドラマは結構、視聴率の高いものが多かったようですが、このところ、ドラマのヒット作があまり出なかったので、一極集中みたいな部分もあったのでしょう。
後講釈ではありますが、視聴率が上がる要素はそれなりに考えられるし、そんなものかなぁと納得できる部分もなきにしもあらずですが、やはり、腑に落ちない部分が多いですね。というより、気持ち悪いですね。あのドラマがあそこまで数字を取るのは。
今の日本の歪んだ部分を反映しているような気がしてなりません。逆に昼間、フジテレビなんかでやっている韓流ドラマの方が、ストーリーのつくりが素直だし、一定のファン層がいるのが理解できる気がします。
「アメリカはトモダチ」「高齢化社会を支えるため消費税増税はやむなし」「TPPは日本の成長のために不可欠」みたいな世論が簡単に受け入れられ、また、それらを批判する側も、大して頭を働かせることなく、論理性を持たずに表面的な、感覚的なものに終始するという、何ともやり切れない気がします。
考えに考え抜いて出した結論が結果として、まとまった数になり、マジョリティーを取るというならまだしも、一見正しそうだと思われること、もっともだと受け止められることが、実は大きな落とし穴をはらんでいて、はしごを外されると大変なことになるという点に気付かずに、安易に誘導されてしまうというのは怖いことです。
私の感覚が世間と相当乖離しているのかもしれませんし、逆に乖離していなければトレードなんてやってられません。何せマーケットは市場の予想を裏切る方向にしか動かないし、儲けようと思ったら、人より先回りしないと不可能だからです。
そして、最近は特にその傾向が強まっています。だから、世間の流れと違うことをすることに慣れていますが、それでもそれなりの根拠があってのことであって、支える柱がなければ成り立ちません。
今の日本に柱が感じられないんですよね。米国の属国として、存在してきたので、仕方のない部分はありますが、それでも、守らなければならないもの、大切なものがあることくらいは気づけよと。
まあ、これもそれも、立つ瀬がないような不安な時代に突入しつつあることに対して、どう反応していいのかわからないからこういうことになるんでしょうけれどもね。