昨年の年初に小学校の時のクラスメートから年賀状が届き、「5月の連休前後に久しぶりに同窓会を開きます」とあり、「引っ越した人の連絡先が分かれば教えてください」と書かれていました。
私の通っていた小学校は新興住宅街と昔の市街地が混在する地域にあり、それほど、人と人との結び付きが強いとはいえず、小、中学校の同窓会なんて、卒業して数年後にちょこちょこっと開いたくらいで、あとはずっと何もなく、誰も気に掛けていませんでした。
そんな中で、同窓会の呼び掛けをするのですから、大したものですが、昨年は春先に統一地方選があったので、市議会議員選挙に立候補するか、それとも、自分が応援する候補のために名簿をつくって渡すか、といったところでしょう。
ほかの地域ではどうなのか分かりませんが、“同窓会”が唐突に出てくるって時には、大体選挙がからんでいます。某宗教団体なんて、名前も顔も覚えていない同級生から選挙前に「今度の選挙は・・・」とか「もう投票はお済みですか」みたいな電話がかかってきますからね。うさんくさいと思った方がいい。
結局、東日本大震災が起きた影響か知りませんが、一応、同窓会を開くのなら私も出席したい旨だけは伝えてあったのですが、その後はなしのつぶてで、今年は年賀状も来ませんでした。
まあ、選挙と関係ないにしても、今どき同窓会に喜んで参加しようという人はそうはいないでしょうね。不景気の洗礼を受けて落ちぶれて、人前に出られない人の方が多いのではないでしょうか。
私の通っていた学校は、新興住宅街の子は、親が公務員や大企業に勤めている人が多く、大抵は成績がよかったですが、旧市街の子は総じて勉強ができませんでした。
ただ、経済面でいえば、バブル崩壊前までは旧市街の子の方が家が商売をやったりなんかしていて裕福な子が多かったんですけどね。建設業関係なんかだと公共事業で相当潤っていたと思います。
でも、今では立場が逆転してしまっているでしょうね。旧市街は、日本経済と軌を一にしてじり貧状態となり、どんどん寂れていく一方で、新興住宅街に住んでいた子は、親と同様、公務員とかそこそこ大きな企業に勤めていて、安定した生活を送っていることでしょう。
旧市街に住んでいた子でも、普通の家庭の子は、バブル時代でもまともな就職口はありませんでしたからね。土木作業員か水商売くらいのものでしょう。演歌歌手になった子もいて、NHKに出たのを見たことがありますが、鳴かず飛ばずです。
そんなわけだから、久しぶりに集まろうといっても、人それぞれいろんな事情を抱えているでしょうから、おいそれと顔出しできるはずもないでしょうね。
小中学校だけでなく、高校、大学の同窓会、クラス会、ゼミOB会なんかもそうですね。特にひどいのは金融関係の人。破綻した大手銀行に勤めていた人なんかは、内定をもらった時は有頂天でしたが、今では消息がつかめなくなっているケースも少なくありません。
終身雇用も崩れているので、うまく転職したり、キャリアアップを図ったり、独立を勝ち取った人たちはいいですが、リストラに遭う人だっていますからね。
一番悲惨なのがニート状態の人たちです。私が大学を卒業した時点では、まだフリーターでも十分食べていけたので、それが逆にかっこいいともてはやされました。某大手航空会社を退社して、大学に再入学し、塾講師をやりながら世界を放浪しているしている人がいて、その人とは今でも年賀状をやりとりするのですが、年々、余裕がなくなっている様子がうかがえます。今どきフリーターなんて、好んでやるもんじゃないですからね。
これからはメーカーに勤めている人もどんどん状況が厳しくなるだろうし、欧米発の金融恐慌に突入すれば、金融機関やそれに付随するコンサルタント業みたいなやくざな人種も安穏とはしていられないでしょう。
同窓会でそういう人生模様を見ることができればおもしろいのですが、そういう人たちはなかなか顔を出せないですからね。結局、安定している者同士集まって、いつもの顔触れでなあなあで、やるしかありません。
バブルの残り香程度しかなく、私たちの時代も「就職超氷河期」と言われましたが、最近の若い人はもっと厳しい状況なんでしょうね。社会に出た時点ですでに勝ち組、負け組、決着がかなりついているでしょうから。こんな状況なので、いずれ、同窓会なんてものが死語になるのかもしれません。