進化論で知られるダーウィンは、生物が生き残る条件として、「変化に適応できること」を挙げています。ダーウィンの学説が正しいかどうかは、私には判断しかねますが、変化に適応できない者が衰退、滅亡していくことは、長年経済をウォッチしていれば、経験則として理解できます。
テレビや新聞では年初に国内の大企業のトップやエコノミスト、アナリストなんかに今年1年を予想してもらい、特集していますが、総じて「バラ色」ですよね。「欧米の景気回復」という蜃気楼のようなものを信じているようです。もちろん、中には「日経平均7000円割れ」みたいなやや辛めの予想をする人もいますが、所詮はその程度です。
表面上、明るい予想をしつつ、本音では「欧米相当やばいよ」と思っている人もいることにはいるのでしょうが、基本的には、そこまで深刻に考えている人はそんなにはいないでしょう。
欧米の問題を突き詰めて考えると、結局、欧米が世界をしてきたことの矛盾に突き当たるわけで、今なお、欧米中心に世界が回っていると考えている人たちが主流派である限り、この問題について本気で向き合うことは“タブー”にほかなりません。
タブーに触れることは世界秩序に対して、反逆することを意味し、タブーを設けることで、欧米による世界支配がかろうじて続いているのです。
日本の財界人や知識人は、タブーであることすら分かっていないんでしょうね。あまりにも従順になりすぎてしまい、現在の状況に何の疑問も持たない人がほとんどでしょう。新年の経済団体の互礼会なんかのニュースを見ていても、この期に及んでも平和ボケしているというか、まぬけ面を下げています。
陰謀論者とか面倒くさい人たちもいますけど、個人投資家は厳しい相場環境に直面しているので、割と冷静かつ客観的に物事を見ていますよね。
年賀状でもそうですが、世間一般の人に「世界恐慌が起きる」と言っても、真に受け止めてもらえないし、逆に変人扱いされてしまいます。タブーにまともに向き合う人間に対する世の中の反応なんてそんなものです。
ただ、「金融恐慌」や「欧米の没落」が冗談ではなく、目の前に迫っているということは、この半年の金融市場の動向をみてもわかりますね。なぜ日経平均は安値圏に低迷するか、ドル、ユーロに対して円高が続くか、ということをつきつめて考えれば分かることです。
世間の人にはなかなか信じてもらえませんが、真実を知っている分、私たちにはアドバンテージがあるということです。何としてもうまく活用したいものですね。単に金融恐慌を予想するだけなら誰でもできますが、それをチャンスに結び付けられないなら無意味です。だから変化に的確に対応する力が求められますね。
陰謀論者の人たちが頭が悪いと思うのは、欧米が破綻状態であるという認識では、タブーに向き合っている個人投資家と一緒なわけで、同じようなスタートラインに立っているわけですが、そこから自分が生き残るためにどうすればいいのか、混乱に乗じてひと儲けできないか、せめて資産へのダメージを減らして恐慌後に何かを始める原資にできないか、と考えるべきなのを、訳のわからない聖書の難解な言葉を持ってきて講釈をたれたり、うじうじとマイナス思考のスパイラルにはまっているところですよね。
前にもお話ししましたが、東日本大震災なんて陰謀論者の絶好のネタでしたよね。「地震兵器がどうの」とまさにお祭りだったことでしょう。でも、陰謀論者の言うとおりの事態になったとしても、災厄に巻き込まれた人は生きていかなければならないのです。今日のご飯をどうするか、明日以降、どうやって食いつないでいくか、という問題は切実です。
今までは安全地帯にいて危機をあおってきただけの輩が、自分の身にふりかかった場合、どうするのか? そういう想像力がないところがバカですよね。
金融恐慌が起きて、世界経済が大混乱に陥っても、生きていかなければならないのです。そして、その後の経済状況は一変しているでしょう。だから、生き延びるには、いち早く新しい状況に対応していかなければならないのです。
未来の予想がある程度できているのだから、あとはそれぞれの判断で、世間の人より先回りできるアドバンテージを生かして、有効な手を打っていく必要があります。