初日、ススキノの狸小路商店街にある、旭川ホルモンの有名店「炭や」で、塩ホルモンを堪能し、翌日早朝から仕事がある友人と別れた後、私はホテルに戻ろうかとも思ったのですが、酒も入っていい気分で道すがら、大好きなラーメン店を見つけてしまい、「〆(しめ)」の味噌ラーメンを食べることにしました。
炭やと同じ狸小路商店街の「喜来登(きらいと)」というお店です。実は、今回の北海道滞在中、いずれかのタイミングで昼食として訪れることを予定していたのですが、たまたま、「目と目が合った」ので、酒の勢いもあって、そのまま直行することにしました。ここで、味噌ラーメンを食べておけば、後日、別の食べ物を楽しめるという、計算もありました。
喜来登は以前は、商店街の別の場所にあり、2年前に札幌を訪れた時も、そこにあったのですが、今回、場所が変わっており、それが目を引いたことも、「早速食べないと」という気持ちになった理由です。
実は正確には覚えていないのですが、炭やを出たのが午後10時半過ぎ。どうしようか、逡巡する時間があり、おそらく、店を訪れたのは11時前だったと思います。「食べログ」を見ると、ラストオーダーが午後10時半ということなので、すでに営業時間を過ぎていたはずなのですが、快く店内に入れてもらいました。金曜日ということもあるんでしょうけれども。
ただ、この店の接客の気持ちよさは特筆すべきものがあります。非常に丁寧だし、「おいしいラーメンを食べてほしい」「短い間でも楽しいひと時を過ごしてほしい」という心遣いが伝わってきます。
北海道の人は、ややぶっきらぼうなところがあって、かつては観光地でありながら、「客商売が苦手」という評価もありましたが、この喜来登に関しては、昔から気持ちのいいお店でした。私がずっとこのお店をひいきにしてきた、大きな理由の一つです。
ここで是非食べたいのは、味噌ラーメン(700円)です。メニュー自体、味噌、醤油、塩(各700円)の3種類のラーメンと、大盛り(100円増し)、ライス(100円)だけと、非常にシンブルなのですが、私は味噌ラーメンしか食べたことがありません。
この味噌ラーメンは、食べ進めていくうちに、だんだん味が変わってくる、店主の思い、工夫が伝わってくる一品です。最初はあっさりした味なのですが、徐々に味に深みとコクが増していきます。その味の変化が楽しくて、はしが止まらなくなり、あっという間に間食してしまうんですよね。
私は醤油ラーメン好きですが、味噌についても一時期、はまったことがあり、東京でも札幌でもいろいろと食べ歩いたことがありますが、このタイプの味は探せばあるのでしょうけれども、ほかに知りませんし、珍しいと思います。ほとんどのお店は最初から最後まで同じ味です。
トッピングも、もやしが好きなのですが、特に味噌との相性は最高ですね。この点でも、期待通りの味噌ラーメンです。味噌ラーメンにはチャーシューよりもひき肉が合うような気がするのですが、喜来登はひき肉も入っています。すべてがばっちり、はまっています。
東京は若い店主が、夢と野望を抱いて、新しいラーメン店が次々と開店し、味も洗練されていて、非常にレベルが高いですが、変わらないベーシックな味もいいですよね。札幌のラーメン店を知り尽くしているわけではありませんが、皆さんそれぞれ好みもあると思いますので、「ここは」という一店をと出会えれば、幸せだと思います。喜来登は私にとって、幸福になれる店です。
こうして、楽しい気分で、北海道旅行の初日は終了しました。(続く)