3泊4日の今回の北海道旅行でしたが、いよいよ折り返し地点。ここまで万事順調にいき、まさに佳境でした。旭川の海鮮が絶品の居酒屋「サロマ湖」で、新鮮な魚介類に感動した後、〆のラーメンを食べに行くことにしました。
本当はサロマ湖でもう1、2品食べてもよかったのですが、前日、札幌で塩ホルモン、味噌ラーメンの黄金リレーをしたので、やや胃袋にダメージがあったので、腹八分目というか、余力を残すことにしました。おいしいものを食べた後は、いい形で余韻を残しておきたいですしね。
午後9時前の気温は8度。旭川は盆地にあるので夏は30度を超す日が多く、道内でも有数の暑い地点で、逆に冬は冷え込み、マイナス10度以下なんてこともざらにあります。生ビールが効いて、店を出てすぐにトイレに行きたくなり、パチンコ屋のトイレを拝借。
旭川は前回ご案内の通り、一大歓楽街を擁する街で、夜はかなり遅くまで営業している店が多く、午後9時なんて宵の口と思っていたのですが、旭川ラーメンのシンボル的存在、「蜂屋」「天金」の中心街の2大ラーメン店は閉店していました。
ちなみに旭川のラーメンというと、皆さんは旭川が本店の「山頭火」をよく御存じではないでしょうか? 全国各地に支店がありますからね。
でも、山頭火は豚骨ですが、普通の旭川ラーメンは魚介ベースの醤油味が圧倒的で、むしろ山頭火は異端児といってもいいでしょう。山頭火の味は洗練されていると思いますけれど、純粋にご当地ラーメンを食べたいということであれば、やはりまずは、蜂屋、天金をお勧めします。
お目当てのラーメン店は翌日に回すことにし、知らないお店に行ってみることにしました。旭川の歓楽街「3・6街」の中心部をぶらぶらし、自家製麺という文字が目を引いた「一蔵」というお店に入ってみることにしました。
後でネットを検索すると、全国のデパートで北海道物産展なんかを開催する際に、一蔵も出店しているということで、割と有名店のようでした。私は知りませんでしたが・・・。
店は明るい雰囲気で、若い店員の方がきびきびと応対してくれ、新宿なんかの新興店の雰囲気がありました。
ここ数日、やや野菜不足でもあったので、どんぶり一面が青ネギで覆われた、一蔵らーめん(醤油味、950円)を注文しました。
蜂屋、天金をはじめ、私がよく行っていた旭川ラーメンのお店は魚介スープが強く主張し、やや荒削りで、それでいて素朴な感じの味のラーメンが多いですが、一蔵のラーメンは、上品な感じにまとめられていました。
全体的にあっさりしていて、飲んだ後の〆のラーメンにぴったりでした。物足りなさを感じなくもないのですが、多くの人に受け入れられやすい味だと思います。麺はやや粉っぽさが残っている感じでした。
長期間のダイエットで、胃袋が縮小しているのか、ラーメン一杯を完食すると、結構、お腹がきつくなりました。
軽く酔った頭には、冷たい夜風が心地よく感じられました。一蔵を出て、ホテルまで500メートルほどの道のりを歩き、2日目の夜はふけていきました。
翌朝はやや早めに目が覚め、旭川市内を散歩。旭川は石狩川の源流となる川の合流地点にあり、川がきれいな街でもあります。
私が旭川に住んでいたのは1年にも満たなかったのですが、「こんなきれいな街に住んでいたのか」とあらためて思わざるを得ませんでした。
小1時間ほど散歩して、ホテルをチェックアウト。荷物を預かってもらって、午前11時開店の蜂屋に向かいました。
旭川駅前から北側に向かって「買物公園」と呼ばれるオープン・エア型の商店街が広がっています。旭川の目抜き通りと言ってよく、種々のお店が並ぶのですが、路地裏には昔の名残で、独特の雰囲気を醸し出す雑多な飲食店街があります。闇市の流れを引き継いでいるのでしょうかね? 今度、きちんと調べておきます。
蜂屋はその雑多な飲食店の集まりの一角にあります。ごちゃごちゃとしたところにある割には、店内は広々としています。
新横浜のラーメン博物館にも出店していたようですが、私は行ったことはありません。でも、この店を「博物館」に収蔵することは大賛成です。
天金もそうですが、旭川ラーメンのまさに原点の味だからです。最近は起業として、若い人がラーメン店を開店し、研究熱心で味も洗練され、サービスもいいですが、ルーツをたどれば、ラーメンの味を開拓した先人の努力に行き着くわけで、蜂屋はその一つだと思います。
人の味覚は時代が進むにつれ、変わるので、なかなか、原点のお店が生き残っていくのは、厳しいものがありますが、ぜひ、時代の流れに負けず、頑張ってほしいと思います。
ここに来たら、シンプルにラーメン(700円)を頼みたいですね。「とげとげしい」という表現がぴったりくるほど、醤油らしさ、魚介風味がストレートに出るラーメンです。
このラーメンに初対面の人は、面くらう人が多いと思うのですが、しばらく経ってから、「あの味また食べてみたいな」と思うようになれば、もうツボです。すっかりはまってしまいます。とにかく記憶に残る味なのです。
某「天下一品」のラーメンと同じような感じでしょうかね。いったんはまると、抜けられなくなるほどやみつきになります。もし、もう少しマイルドさを求めるのであれば、今回は行きませんでしたが、天金をお勧めします。天金は東京ラーメンに近いですね。
蜂屋を出て、ホテルに戻って荷物を受け取り、レンタカーに乗って3日目が本格的に始動。お世話になった人のところへあいさつ回りのついでに、市内をさらに散策します。
スタルヒン球場は工事中であまり近づけませんでしたが、ここは日本野球の聖地のひとつ。球場の売店のかけそばが「スタルヒンそば」として、知る人ぞ知る味なのです。
スタルヒン球場の国道をはさんではす向かいが陸上自衛隊の駐屯地で、これも旭川らしい、北海道らしい風景ですね。懐かしい思い出が次々とよみがえってきます。(続く)