昨晩の「マルモのおきて」の最終回視聴率は23.9%。TBSが開局60周年記念で総力を結集した、JIN-仁-の最終回が26.1%だったことを考えると、記録的な高視聴率を記録したと言えるでしょう。わざと最終回を1週ずらし、視聴率の底上げを図った部分もあるのでしょうけど。
先ほど、マルモの最終回を見終えましたが、ストーリー自体は、評価できる部分も少なくないですが、大人のいやらしい計算高さが随所に織り込まれ、作品全体の良さをやや傷つけてしまったかなという気がしました。
私の考えるいいドラマの条件は、最初から見ていなくても、途中からちょっと見るだけで、引き込まれてしまい、「最初から見ておけばよかった」と後悔するようなドラマです。JIN-仁-の裏番組で、「マルモ、何それ?」という感じだったこのドラマが徐々に人を引き付けていった様子は、とても痛快でした。ただ、最終回を含め、最後の2~3回は、一見さんを引き付ける力が弱かった。昨日の最終回は、JIN-仁-の視聴者を呼び込まなければならなかったのに、ちょっと力不足な感じでした。
JIN-仁-最終回の2時間SPもそうでしたが、90分は長すぎます。75分にして、もう少しコンパクトにして中身を濃くした方が印象に残ると思います。どうしても途中で間延びしちゃうんですよね。
あと、これは本編とは関係ないのですが、バラエティーなど他番組での番宣が多いことや、最終回直前の特別番組など、視聴至上主義の弊害が露骨に出ていた。それにドラマ中に後継番組の宣伝みたいなことをしなくてもいいでしょう?これが今のフジテレビの体質なのでしょうね。そんな小細工をしなくとも面白いものは面白いのです。
先日、刑に服すため収監されたホリエモンがフジテレビの経営権を握るために、ニッポン放送株の争奪戦を繰り広げた際、役員報酬など無駄をカットして、番組制作に回せば、もっと面白いコンテンツを作れるんだと、力説していましたが、まったく同感です。力を入れるべきところに入れれば、そのうち結果はついてくるはず。子供たちののびのびとした演技とは裏腹に、大人のあざとさがやたら目につきました。
ただ、ストーリーとしては、最後の部分が割ときれいな落とし込み方をしていたと思います。最後の締め方は、映画とドラマとでは違うんだと思います。映画だったら、父親を亡くして、それぞれ親戚に引き取らればらばらになりそうだった双子のきょうだいを、ひととき家族として受け入れてくれた、父親の親友のやさしいおじさん(マルモ)との思い出話として、最後はバス停の別れのシーンでいいと思います。
ドラマだと、それだとどうしても視聴者が悲しみを引きずってしまうので、やっぱり結局、おじさんの元に戻ってきて、また、一緒に暮らすという。あまり現実的ではないとは思うのですが、これでいいのだと思います。
とてもきれいだなと思ったのは、人間の言葉を話す犬(ムック)の最後の仕上げ方です。実は亡くなった双子の父親がムックに降臨して、しゃべっていたという、正直やや意表を突かれ、ちょっと感心しました。マルモが犬に向かって「お前、笹倉(双子の父親)だろ」と、正体を見破った瞬間、犬が人間の言葉を話さなくなり、ただの犬に戻ってしまう。現実世界ではありえない話なのですが、このドラマの一番肝の部分であり、ほろりとさせられました。
フジテレビは2匹目のどじょうを狙い、このドラマの続編というか、2時間スペシャルを予定しているようです。だから、やや最後の最後でつじつま合わせをするため、ばたばたとした展開になってしまいました。正体を見破られた犬がまた、人間の言葉をしゃべるという。せっかく、着地をばっちり決めたのに、わざわざ、取り消すのかという・・・。
もっと素朴でストレートな作りにしてほしかったのですが、まあ、いろいろとしがらみもあるでしょうから、仕方ないのでしょうね。
子供たちの演技が、非常に素直で、なかなか魅せるものだったので、総括としてはよかったと評価します。