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マイレージ

  アメリカン航空経営破たんのニュース。めちゃくちゃ慌てました。もちろん、株式マーケット全体に影響があるわけではなく、トレードにも蚊が刺すほどの影響もないのませんが、問題は私が持っているマイレージです。
  なんと、昨日時点で、アメリカン航空のマイレージプログラムでためたマイルが27万4千マイル。経営破たんとはいっても、従業員のリストラや年金支給を減額するための、「計画倒産」っぽく、マイルの扱いも従来通りとのことですが、国家レベルで荒廃が進んでいる米国のことです。何が起きるかは分からないので、早急に手を打つ必要があります。
  なぜ、アメリカン航空のマイレージを持っているかというと、一時期、旅行好きの友人に触発されて、中南米にはまったことがあり、その時に中南米路線に強いアメリカン航空を頻繁に利用し、大量のマイルが発生し、そのまま放置していました。さらに、クレジットカードもアメリカン航空のマイルがたまるものにしたため、最近10年間で、年間7千~8千マイル近く加わり、これだけのマイルが集まりました。
  アメリカン航空のプログラム自体、結構、マイルをためやすいと評判でしたからね。ファーストクラスでニューヨーク往復くらいできるかなと思っていましたが、状況が状況だけに、米国に行っても、楽しいと思えることはないし、行く用事もありませんのでね。過剰な入国手続きで、不愉快な思いをさせられるのもむかつきますしね。まあ、国家破綻後、“戦勝国”の国民として、冷やかしで米国旅行でも行ってみようかなとは思っていますが(笑)。
  5、6年くらい前は、米国や中南米の方に最低年1回は旅行に行っていたんですけどねぇ。ブラジルで巨大な滝を見たり、アマゾン川でピラニア釣りをしたり、リオデジャネイロのビーチでのんびり過ごしたり(目の前で殺人事件があり、しっかり目撃するという“ハプニング”もあったのですたが・・・)、ペルーでマチュピチュ遺跡やナスカの地上絵を見学したり、ジャマイカでレゲエ三昧、キューバでラテン音楽に狂ったり、イースター島を隅々まで探索したり、チリで新鮮なウニをライスにのせ、「ウニ丼」を堪能したり・・・。
  メキシコなんて毎年のように行ってましたからね。カンクンやアカプルコから、メキシコシティー郊外、オアハカのマヤ文明の遺跡などなど、こうやって、振り返ってみると、自分でも「クレージー」と思えるほど、狂ったようにいろんなところに行っているし、多分、並みの旅行好きとはレベルが違うと自負します。(まあ、上記友人をはじめ、私なんか及びもつかないレベルの人はたくさん知ってますけどね・・・)
  アメリカン航空はダラス・フォートワースとか、マイアミがハブで、地理的に中南米に近いところに拠点がある上、路線が充実しているので、本当に重宝しました。
  中南米を訪れた帰りに、ニューヨークに立ち寄り、昼間、シェースタジアムでニュヨーク・メッツのデーゲームを見た後、夜はヤンキースタジアムでヤンキース戦をはしごして見るという、豪華な、罰当たりなこともしたこともあります。ダフ屋から全米オープンのチケットを買って、プロテニスも見ました。当時はバブル絶頂で、ニューヨークの街は本当に活気がありました。
  ホテル代も高かったですね。ニューヨークの汚いホテルでも1泊最低350ドルなんていうのはざらで、当時は1ドル=110円とかだったので、よくよく考えると、本当にぼったくられていたんだということが良くわかります。今だったら、日本のビジネスホテル並みの価格でそこそこのレベルのホテルで泊まれますよね。円高ですし。
  まあでも、衰退する街に行ったってつまらないですからね。景気がいいころの米国にいくのは、ワクワク感がありました。ニューヨークの街をショッピングしていても、「おや!」と思うようなものが売っていて、楽しかったですね。
  でも、それもこれも皆、虚像だったということですね。当時、純粋だった私は米国にだまされていることなどつゆ知らず。この繁栄は永遠に続くんだろうな、みたいなことを漠然と思ったりしていました。
  ただ、その一方で、米国の学校を卒業しているので、米国人の醜さ、ダメっぷりもよく知っていますし、小学校の時に「はだしのゲン」シリーズを読破し、一時期は小林よしのりさんに傾倒していたりもしていたので、覚めたところもあって、常に「反米」「嫌米」みたいな意識はありました。初めてベトナムを旅行した時、米国の蛮行に対して激しい怒りがこみ上げました(笑)。
  良くも悪くも米国ですね。私の人生に大きく影響しているのは。これは世界帝国である米国と、属国の日本との力関係を考えると仕方のないことです。私だけでなく、皆さんをはじめ、すべての日本人の人生にも、目に見える見えない、意識するとしないとにかかわらず、米国の影響というのは何かしらあると思いますよ。
  現在の状況は、米国の国家破綻待ちですからね。さらに米国が破綻したら破綻したで、その後始末をつけなければなりません。米国発の史上最悪の金融恐慌で勤務先が倒産したり、ビジネスがとん挫して、生命、財産の危機に陥る危険性が出る人もいることでしょう。
  黒船来襲以来、さんざん迷惑をかけてくれるわけですが、米国との関係もこれで終わりでしょうね。おそらく。単なる食料生産がさかんな、オーストラリアみたいな国になってしまうのでしょう。その前に激しい内戦なんかもおきそうですけどね。
  アメリカン航空とのかかわりは、私にとっての米国との関係そのものでした。しばらくはクレジットカードは保有するので、ちょこちょことマイルはたまるでしょうけれど、これを機にほとんどのマイルを使い切ってしまおうと思っています。
  ホームページを見ると、マイレージをペイ・パルのポイントに転換し、現金化できそうなので、そうしようかと思っています。27万マイルだと、1100ドル分くらいになりそうで、ちょっとした臨時収入なのですが、1ドル=100円感覚で、「10万円か、でかいなぁ」と思いきや、8万円ちょっとにしかならないんですね。
  最後の最後まで、本当に迷惑な国でした。

陰謀?

  先週、風邪をひきましたが、今年のはタチが悪いですね。毎年、この時期に一度は体調を崩すので、「いつものやつ」かなと思って甘く見ていましたが、意外と重症でした。
  特にひどかったのがのどで、普段からのどをやられないよう気を付けていたはずなのですが、ディフェンス網を完全突破して、荒れに荒れました。
  風邪薬のコマーシャルを見ていると、今年はのどからくる風邪が流行するのをあらかじめ分かっていたのでしょうか? どの風邪薬ものどの痛みや不快感を和らげる成分を強調したものが目立ちます。
  「つばを飲み込むのもつらいのどの痛みに効きます・・・」。なんて宣伝文句もありましたが、思わず、テレビに向かって「そう、そう」なんて、うなずいてしまいました。
  これは根拠があやふやなので、妄想のレベルだと思って、話半分に受け止めてほしいのですが、製薬業界なんて、インチキあるいはマッチポンプで成り立っていますよね。風邪が流行しなければ商売が成り立たないのです。まあ、深くは語りませんので微妙なニュアンスは察してほしいのですが、今年はのどに症状が出る風邪がはやることになっていたということでしょう。じゃあ、来年は鼻か? 頭痛か? ということです。
   世の中には、ウイルスバスターソフトというビジネスモデルがあります。ウイルスバスターとは、ご存知の通りパソコンを狙うウイルスから、データを防御したり、ウイルスを駆除したいるする機能のことです。ウイルスバスターソフトが売れるには条件が必要で、ウイルスを作って、他人のパソコンに送り込む、不届きな輩が存在しなければならないのですが、ウイルスバスターソフトを作る会社が、ウイルスをばらまいていたとしたら?
  「コンピューターウイルス怖い、怖い」とあおり、実際にウイルスが感染して、データが破壊されたり、貴重なデータが盗まれる事例が発生すれば、みんなこぞって、防御に走るわけです。
  製薬業界に戻って考えると、新型インフルエンザ騒動なんかも怪しいですよね。一昨年あたりメキシコとか米国でブレイクアウトし、日本でも関西方面で、大騒ぎになりましたが、症状としては大したことはないのに、大騒ぎになりましたよね。「マスクが足りない」だの、「ワクチンが足りない」だの、製薬業界はにわかに活況を呈しました。しかも、バカ騒ぎをしたのは、日本だけという・・・。
  世の中、ある部分、マッチポンプでできているので、なあなあで、ある程度、お金が回るような仕組みが必要だと思いますが、人の生命や健康、財産に対して、必要以上に恐怖をあおって、暴利をむさぼったり、支配権を確立しようとしたりする、“欧米流”のビジネスはいいかげんやめにしませんかねぇ?
  人の不幸や、恐怖心に付けこんで、カネを儲けようとするあさましい精神こそ、欧米流の資本主義の神髄だし、多くの人から忌み嫌われるものです。そういう悪臭にすっかりそまってしまったのが、ほかならぬ日本人なんですけどね。
  絶対に金儲けの道具にしてはいけないものとか、分野とかあるはずです。そういうことを恥ずかしげもなく、平気でやってしまうのが、欧米人で、まともに自由競争すれば、負けるから、そういう道に走らざるを得ないんでしょうね。
  「コンプライアンス」とか、「モラルハザード」という言葉を一番、よく考えるべきなのがこの人たちでしょうね。

相場の怖さ

  ここ数営業日の金融市場の豹変ぶりに驚いている人は多いのではないでしょうか。私自身、「感謝祭明け」「クリスマス相場」と、この1か月か、1カ月半くらい、ずっと言い続けてきており、その見立てはほぼ当たっているし、潮目が変わる直前のタイミングで、動きは把握できているので、相場勘は冴えてはいるのですが、最近の動きは非常に気味が悪いです。
  毎度指摘していますが、長期的に見て、積極的に「買う」理由がまったく見当たらないんですよね。IMFによるイタリア支援が材料視されているんですが、具体的に決まっていることは全くないんですよね。おそらく、マーケットが催促する形で、当局は動かざるを得ないんでしょうけれども、かなりのボリュームの金融支援が行われるにもかかわらず、誰が資金をねん出するのか、金融不安の抜本的な解決につながるのか、何も示されていません。
  欧米は暦年ベースで、決算や会計が動く企業がほとんどなので、決算期に向けて、「お化粧」(まさに粉飾ですね)しておく必要があります。金融問題が表ざたになっている以上に深刻な状況であるにもかかわらず、目先の決算書やバランスシートを取り繕うために、株価を吊り上げよう、債券を安定させようという、コンセンサスができているものと考えられます。
  これは、今年に限らず、例年のことですからね。感謝祭からクリスマスにかけて、非キリスト教国である日本も含めて、世間は何となく浮かれたムードに包まれますが、せめてこの時期だけでも気分よく、楽しく過ごしたいというのは人情でしょう。
  それを重々理解しているからこそ、本来の経済状況を反映して下落が続いてきましたが、「相場が反転するかも知れませんよ」的なことをこれまで言い続けてきたわけです。
  でも、世界の経済状況を考えると、こんなに安易に相場が“好転”してもいいんでしょうかね? というような思いもあるわけです。日本人に限らず、マーケット関係者って、「空気」に弱いですからね。いったん弱気になるとずるずるとしつこく売り続けるし、逆に上昇基調に転じると、たとえ根拠がなくても、「バスに乗り遅れるな」的な雰囲気になって、イケイケになってしまう。
  米国の住宅バブルなんてまさにそうですよね。日本経済の動きを見ていて、ちょっと賢い人なら、バブルがはじけたらどうなるか、頭が働いたはずなんですけど、不動産価格、株価は永遠に上がり続けるような錯覚を持ってしまい、その結果、米国は二度と世界帝国として這い上がれないような破綻状況にまで陥りました。
  まさに「根拠なき熱狂」だった、バブルに比べると、最近の株価上昇、ドルの堅調ぶりなんて、かわいいものなのですが、先週後半に日経平均8100円台でしつこく売られ続けたのが、週が明けてがらりと雰囲気が変わり、強気に転じた、この豹変ぶりは一体何なんだろうかと思わざるを得ないですね。
  今年の米国のクリスマス商戦は、節約疲れの反動なんかも大きいんでしょうけど、例年にない盛り上がりのようですが、このところ発表される経済指標を見る限りは、決して楽観はできませんよね。先週発表された7~9月期のGDPは年率換算で前期比+2.0%で、速報段階から0.5ポイントも下方修正されましたし、今週末は月一度のビッグイベントである雇用統計がありますが、週間の新規失業保険申請件数の推移をみる限り、決して楽観視できない。
  さらに、本日なんかは、フィッチという地味な会社ですけど、米国の格付け見通しを引き下げですよ。強い下押し圧力は今のところ見られないにしても、上に向けて爆発するような要因は何一つ見つかりません。強いて言うなら、エコノミストやアナリストの皆さんが大好きな「自律反発」にすぎないですよね。
  盲目的に人の流れに安易に追従することこそ、恐ろしいことはないですね。まだ底値圏は脱していないし、クリスマスまでまだ日にちがあるので、上昇局面といっても、一筋縄ではいかないでしょうけども、今回の「強気相場」に怖さを感じるのはそういうところですよね。
  日本や世界の起業家、一流経営者の「武勇伝」で多くみられるのは、「人のすることの逆のことをした(あるいは人のすることに追従しない)」からこそ成功したというケースですが、現在の状況はまさにそんな感じですよね。
  もちろん、相場の流れに乗らないと、値幅は稼げないわけですが、果たして、いつまでその流れが続くのか、クールで冷徹な感覚を持っていないと、痛い目に遭います。先週後半はショートを確定した後、スタンスを転換し、「しつこく売ってんじゃねぇよ」と悪態をついていましたが、今度は、ある程度上昇し達成感が出たら、「しつこく買ってんじゃねぇよ」という局面が訪れると思います。そこは日々の売買動向、チャートの細かい機微をみながら判断していかないといけないですね。
  めったにないボーナス相場だとは思いますが、常に冷静な視点を忘れないようにする必要があります。相場や人の動きって本当に怖いですから。

未来予想図

  昨日の大阪ダブル選挙は、知事選、市長選ともに、橋下徹前大阪府知事率いる「大阪維新の会」の圧勝に終わりました。
  事前のマスコミ各社の世論調査では市長選が接戦、知事選は各党相乗り候補がやや優勢みたいな感じですが、ふたを開けてみると、知事選での圧勝ぶりが目立ちました。逆に市長選は、接戦とまではいきませんでしたが、予想以上に平松邦夫前大阪市長が強かったと思います。
  市役所の職員組合など、役所の権力が強く、同和問題や在日韓国人、朝鮮人問題など、これまで“タブー”視され、あまり正面から取り組まれてこなかった、やっかいな課題を抱える都市なので、市長選のこの結果は、なんとなくわかるような気がします。
  大阪という土地は、意外と保守的ですからね。昨日、フジテレビのニュースでやっていましたが、機種変更の時のスマホの購入率が東京では7割以上なのに対し、大阪は50%超と、お笑いや阪神タイガースなどイケイケのイメージとは裏腹に、進取の精神に乏しい土地柄ということがうかがえます。
  私はご案内の通り、、この結果は妥当と思いますが、橋下氏が、「胡散臭い」人物であるということも重々承知です。だからこそ、「大阪都構想(大幅な地方分権、大都市制度改革)」「市役所改革(官僚政治からの脱却と政治主導)」がきちんと行われるか、一票を投じた有権者と同じ視点で監視していきたいと思います。
  橋下氏を持ち上げた以上、これから4年間、私自身が思い描いたようにうまくいくのかどうか、とても不安な面もあります。これこそが政治家と有権者の間の緊張感でしょうね。
  だから、約束はきちんと守ってもらわないといけません。バカ首相が「(2009年衆院選の)マニフェストは守らなくてもいいんだ」みたいな発言をしていましたが、それこそ、民主主義の根幹を揺るがすものでしょう。政治家が約束を守れないのなら、私たちは何を根拠に投票すればいいのでしょうか? 公約はきちんと守る、あるいは守れるよう最大限努力をするというのが「憲政の常道」でしょう。
  私は、橋下徹という人物が、筋を通す人間と見込んだわけですが、人間って弱いですからね。約束を守れない、あるいはあらぬ方向に進むならば、その時点で見限るだけです。
  しかし、それにしても、橋下氏は選挙に勝ちましたが、あまり評判良くないですね。特に私が政治、経済で結構意見を参考にしている人たちに限って、批判的な見方が多いです。
  じゃあ、自民党から共産党までのっかっている平松さんってどうなのよ? と思いますけどね。争点とされている点に対して何ら明確な答えを出していないし、独自の政策があるわけでもない。逆にそんな人間を信じられますかねぇ?
  私は、「地方分権」「政治主導」の2点で共感するので、ぜひ、頑張ってほしいと思います。橋下批判の意見の中には、この二つに関して、「橋下がいうほど簡単に実現できるものではないよ」というものがあるし、もっともだと思います。
  でも、たとえ無理だとわかっていても、より政治を身近にするために、この2点だけは、何としてでも、何年かかってでも、やるべきだと思いますけどね。
  少数の限られた人が権力を持ち、利権をあさるという現在の世界のシステムはほころびが出つつあります。東日本大震災でも明らかになりましたが、国が何かしてくれるのを待つよりも、自分たちのふるさとをどうしたいか、熱い思いを持って行動する人たちの方が偉いのです。
  人間が大きな地域を組織をコントロールできるというのは思いあがった考えだし、それこそ現在の不幸の元凶です。地域のことを一番分かっているのは、その地域に住む人だし、事情が許す限り、その地域がどうあるべきかは、地元の人にゆだねるべきです。国の役人が、あるいは欧米の投資ファンドが、グローバル企業だけが決めることではありません。
  ただ一つ、今からしっかり考えておく必要があるのは、今後4年間に、米国が国家破綻し、ドル基軸体制がいよいよ終了します。経済環境が激変するので、最悪の状況に陥ることを想定し、さらにその後、どうやって生き残るか、復活するか、絵を描いておかなければなりません。
  大阪湾岸は、液晶、プラズマテレビのパネル、太陽光発電パネル、リチウムイオン電池、電子部品など、電子産業の一大集積地です。ただ、グローバル競争と驚くべきスピードの生産効率化と過剰生産で、価格下落が止まらず、商売としてはやっていけなくなっています。
  大恐慌に加えて、構造的にも厳しい環境をかかえており、今までの産業政策の延長上では、地域の発展はそう簡単にはできないということを頭に入れておく必要があるでしょう。
  そういう意味でも、昨日の記者会見で橋下氏がいみじくも言ったように「ゴールではなくスタート」にすぎないのです。

上げ潮?

  何年か前まで、自民党の中川秀直元官房長官(女性スキャンダルで官房長官をクビになった人)や、元財務官僚の高橋洋一氏(スーパー銭湯かどこかで他人の腕時計や財布を盗んだか、盗もうとしただかで逮捕されたことがある不思議な人)なんかが中心になって、増税ではなく、景気を良くすることで税収を増やそうという、「上げ潮派」といわれる人たちがもてはやされました。
  景気を良くして税収を上げようなんて、耳障りがいいですからね。結構、多くの人から支持されたのではないでしょうか? 錬金術で与太話、詐欺話のレベルなのか、本当に実行を移せば、この人たちのいうようになるのか、判断付きかねる部分があります。
  高橋氏が本人も記憶がないような、不思議な窃盗容疑で、(逮捕ではなく)身柄を拘束(!?)された後は、上げ潮派の勢いは、急速に下火になりました。
  高橋氏は需給ギャップを埋めるために、政府紙幣を発行して、経済を活性化させるべきだという持論も展開しており、おそらく、この辺が“奴ら”の癪に障ったのでしょうね。紙幣の発行権を政府から無理やり奪って、(ただの民間企業にすぎない)中央銀行に移管し、錬金術で利権を得てきた人たちがいますが、紙幣の発行権が政府に再び移れば都合の悪いことがあるからでしょう。実に分かりやすい人たちです。
  欧米で相次いで国家破綻が起きることで、その辺の仕組みにも、いずれメスをいれざるを得ないし、果たして、“金融犯罪人”たちを訴追し、処刑できるのか、そのあたりも注目したいと思いますが、そこまではできないかもしれませんね。
  まあ、上げ潮派が衰退したのは、高橋氏のスキャンダルだけでなく、自民党が下野し、中川氏自身も選挙区では敗北したことも大きく影響しているでしょうけれどもね。
  上げ潮理論をめぐっては、すったもんだの経緯があったわけですが、高橋洋一氏のツィッターなんかをフォローしていると、今でも、このような主張を続けているらしく、「筋金入りなんだなぁ~」だと感じさせられました。
  日本経済が抱える問題点としては、やはり「日米問題」があるので、高橋氏が訳の分からない破廉恥罪を帰せられたこととも併せて、その辺を考えないといけないでしょうね。
  基本的には、日本人が汗水を垂らしたお金を、日本国内で日本人のために使えることができれば、問題はほぼ解決すると思っています。それでも、経済上の矛盾は多少は残るのでしょうけれども。
  毎年、何らかの形で米国債を購入させられ、しかも、円高という“攻撃”を仕掛けて、米ドル建ての資産は目減りさせられ、それがデフレ圧力、不景気の原因になっています。失われた20年の元凶はそこにあるわけで、要は、そこを是正できるかがポイントなのですが、そこに踏み込もうとすると、“奴ら”の逆鱗に触れるわけです。
  日本の政治家が毅然とした態度をとっていれば、若者が就職難や低賃金労働で希望を失い、肩身の狭い思いをすることもなかったことでしょう。
  ただ、仮に政府紙幣を発行したり、高橋氏が最近強く主張するようにFRBが刷り散らかしたドルの量に合わせて、円を印刷して、通貨供給量を増やして、北海道の過疎の村から、沖縄の離れ小島まで、お金を行きわたらせることで、一時的に景気は良くなるかもしれませんが、インフレについても考慮しないといけないでしょうね。
  これだけ、世界的に資源価格、食糧価格が高水準で推移しているにもかかわらず、目に見えて、生活への影響が出ていないのは、インフレが抑制されていて、それが円への信認に結び付き、円高が続いている面も無視できないでしょう。
  ウォン安で一部輸出企業は、有利な交易条件を享受できても、庶民の生活は一向に改善しない、韓国経済のことを考える必要があります。
  今は円が強いおかげで、国際社会で一定のプレゼンスを維持していますが、通貨供給量が増え、インフレが起き、円の価値が下落することでによる弊害は十分検討する必要があるでしょうね。
  高橋氏の計算では、その辺も考慮されているのでしょうけれども、「1ドル=120円」などという聞き捨てならない“過激”な考え方も垣間見えます。破綻しようとしている国の通貨に対して、円安にすることの危険性をどのくらい理解しているのでしょうか?
  多分、その辺は認識していないんでしょうね。もう一度繰り返しますが、米国は近々、国家財政が破綻するのです。その国の通貨に合わせて、行動する意味はありますかね? それこそ抱きつき心中ですよね。
  何だかんだいってユーロは一体を維持し続けるでしょうから、対ユーロでは、中国や韓国などを意識しつつ、通貨価値をどの辺に設定すべきか考える必要があるでしょうけれども、ドルに合わせる必然性は全くない。円安だろうが円高だろうが、米国は近いうちに経済が壊滅状態になり、まともにビジネスができないような状況に陥るのです。
  そんな国とお付き合いして円安にしても、中国やロシア、ブラジルなど、勢いのいい国の買収の格好の餌食にされるだけのことです。
  日本全体を活性化、あるいは来たるべき大嵐に対して、どうやって被害を最小限に食い止めるためにはどうしたらいいか考える必要がありますが、世界的には経済的な大変動が近いうちに起きるわけですから、安易な通貨政策はとるべきではないでしょう。