思わぬところで「不安特需」(時事深層)
カセットコンロから家庭教師まで、震災後に特需が起きた。財布のひもを締めるはずの不安感が、むしろ消費の原動力に。この需要、建材などの「復興需要」とはやや趣が異なるようだ。
小売業にとって、消費者の「不安感」ほど怖いものはない。先行きが不透明になれば、消費でなく貯蓄に回すのが消費者心理の常。ところが震災後の消費動向をつぶさに見ると、その定説とは正反対の動きがあるようだ。
オール電化のキッチンでは停電時に煮炊きができない。頼みの都市ガスも大地震では止まる。そんな現実を目の当たりにした消費者が買いに走ったのがカセットボンベや卓上コンロ。50%以上のシェアを持つ岩谷産業は「通常時の3倍以上」(同社広報)という需要に応えて増産に取り組む。