民主党代表選は明日(27日)告示。週明けの29日に党所属の国会議員による投票で選出されます。大きなベクトルで動いているので、日本の新首相がマーケットを動かすとは思えませんが、ちょっとした仕掛けはあるでしょうから、若干の影響はあることでしょう。
当初は野田佳彦財務相に決まるのかと思われましたが、前原誠司前外相が出馬を表明し、鹿野道彦農相や海江田万里経済産業相も立候補の方向で、混戦模様です。
こうなると、日本の“宗主国”であるアメリカ様の御意向は、前原総理でしょうかね。米国は前原氏が期待したほど能力を発揮せず、英語も下手で、中国、ロシアの反発が強いので、一度は見限りましたが、ほかに人物がおらず米国にとって「ましな選択」であるということで、前原氏を支持することでしょう。
また、在日韓国人から献金を受けたという、脛に傷があるので、これが逆にいつでも総理の座から降ろせるということでもあり、総理に担ぎ上げるには、むしろ好都合という事情もあります。
私は正直、小沢一郎という人物は嫌いですが、彼のふるまいなど人間的に嫌いということであって、彼の政治理念とか、政策については、支持する部分は多いです。特に米国への従属を脱却し、自立した国をつくっていくという点では、長年の日本人の悲願であり、ぜひ頑張ってほしい。地方分権についても同様です。
鳩山政権下で、米国の年次報告書をつっぱねたことや、米軍普天間飛行場の移転について、正面から疑義を呈したことについて、激しい巻き返しに遭いましたが、評価できることだと思っています。
先月下旬から金融市場は、緊迫した状況が続いています。日本は欧米と比べ、財政を含め経済状況が健全で、中国、インドなど成長著しいアジアのマーケットと近接しているという、有利な条件に恵まれているので、一時的に、欧米の巻き添えを食らって、困難に見舞われるとしても、力強く立ち直れるものとばかり思い込んでいました。
ところが、そうは簡単にはいかないようですね。米国の差し金によって、唯々諾々と、大金を投入して為替介入をさせられるわけです。しかも、介入の効果は簡単に剥げ落ち、また、新たな対策を迫ってくる。
結局、米国は日本を道連れにするつもりなのでしょう。経団連やほんの一部の中小企業の声を聞くと、円高は切実な問題に見えますが、日本全体にとってこれほど歓迎すべきことはない。
もちろん、日本が抱える米国債などドル資産は目減りし、強烈なデフレ圧力にはなりますが、元々、戻ってくるカネではないのです。米国も踏み倒しが前提で、返すつもりはないでしょう。
それは仕方ないとしても、もうこれ以上、米国債やドルを買い支える必要はない。そうする義理ももはやないのではないでしょうか。米国と心中だけはごめんです。
小沢氏が前原不支持を決めたということは、米国に対して決別を宣言をしたにほかならないということです。現在の日本の政治家で、米国との関係をきちんと認識しているのは、小沢氏しかいないといっても過言でないでしょう。
日米関係は別に特殊なものではありません。帝国と衛星国の関係を歴史的に振り返ると、あり得ることで別に不思議でもなんでもない。ただ、一国が強大な軍隊を世界各地に派遣して、支配するという体制はもはや維持できないし、時代遅れの考え方です。
日本は米国に過度に依存することから脱却しないといけない。そして、日本の国益を常に考えるべきでしょう。
先日、紹介した中田安彦氏の「日本再占領」で存分に触れられていますが、日本の官僚機構が自己保身のため、米国に国益を差し出すという、あってはならないことが起きています。
それを政治主導で、あるべき姿に戻すのが、政治家の役割ではないでしょうか。これは誰がリーダーになっても重要なポイントです。リーダーを変えることですべてが直ちに解決するとは思いませんが、少しずつでも前進できるような人にリーダーになってほしいと切に望みます。