異常相場
ドル・円は7月29日に1ドル=76円台に突入して以来、1カ月半以上にわたって76~77円のレンジ相場が続いています。5月から7月にかけても約2か月間80~82円のレンジで推移していたので、単純に日柄だけで計算すると、もうあと1~2週間すれば、レンジから上下どちらかに抜け出すということが予想されます。
為替の専門家と呼ばれる人の中には、実効レートも含めて、すでに歴史的低水準なので、「ボトムを形成している」という人もいますが、あまり過度な期待はしない方がいいでしょう。
ボトム圏にあるのならば、時間、値幅ともに十分調整したら、機関投資家、投機筋、一般投資家は放ってはおかないでしょう。何らかの反発の兆しが見られるはずです。
しかし、反発しようとする局面はあっても、すぐに頭を押さえつけられ、足を引っ張られ、再び直近安値圏に戻ろうとします。今が安値圏なら、買い場だと思うのですが、その時間帯が長く続くのは明らかに不自然で異常です。
そもそもドルが上昇する理由もよくわかりませんよね。9月第1週に発表された最新の米雇用統計は、一時要因はあったにせよ、決して好材料ではないし、このところ発表される経済活動や住宅・不動産、小売りに関する経済指標もことごとく、控えめな市場予想をも下回るさんざんな結果が続いています。
これだけひどい状況で、むしろドルが「よくもまあ、76円台なんていう高価格帯にあるよなぁ」と考える方が自然なような気がします。
5~7月の例から、80円は鉄板のサポートと考えていたら、あれよあれよという間に割り込んで、回復できなかったように、今回も同じパターンかもしれませんね。
さすがにこの辺は円の限界高値と思っていたら、ドルが見切り売りされ、一段下のステージにもぐり込んでしまうという感じでしょうか。
米国の経済、財政事情を考えると、すでにどうにも手の付けようがなく、1ドル=50円以下でもおかしくはないですから、ここから大暴落という可能性も頭に入れておかなければなりません。
8月下旬から77円台にいる時間が長かったので、投機ポジションがかなり、解消されているかとおもいきや、そんなに減ってませんね。
もちろん多少の円買いに対する巻き戻しは起きていて、おそらく、それがドルを上昇される要因となったのでしょうが、78円手前で止まってしまいました。
76円台から80円台に戻すとしてたかだか4円幅ですが、76円台から50円までは25円以上の値幅があります。欧米の金融情勢をかんがみると、どう考えても、ドル暴落の可能性にかけた方が有利です。
来週は注目の一大イベントFOMCがあります。前回もそうですが、期待を持たせた割には、大したことは起きず、市場の反応も限定的でした。今回も、FRBが中長期債を買い入れる新たなオペレーションが発表さえるようですが、劇的に相場が動くとは期待しづらいですね。
ただ、資金に余裕のある中国、ブラジルなど新興国の動向も注意深くみていかなければなりません。これに関しては正直、動きがまったく読めないですね。中国は現在の指導部は米国に対して冷淡ですが、次の指導部は上海閥の影がちらつくので、米国と強調する可能性があります。
また、今すぐに金融混乱が起きることを嫌って、とりあえず、それを避けるためになにがしかの支援策を打ち出すことも考えられる。そうなると、さっさとつぶれればいいのに、欧米は延命してしまう。
いずれにせよ、抜本的な解決策が打ち出されない以上は、緊急事態は続くし、相場の異常状態も続きます。難しい局面は長引きそうですね。