カテゴリー別アーカイブ: 経済ニュース

世界各地、日本など経済関連のニュース・情報です。

震災で明らかになった政治の深刻な構造的課題(小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論)

 3・11ショック(巨大地震、大津波、原発事故)は、人命救助、被災者支援、原発施設の安定化、放射能からの避難、食品の汚染など、次々に緊急対応の課題を突きつけている。それぞれに応えていくことはもちろん重要だ。しかし、日々の短期的な対応に追われていればこそ、長期的な課題について考えておくことも必要だ。  今回の3・11ショックは改めて構造的な課題を考える契機ともなっている。これにはいくつかのタイプがある。例えば、「今回の災害があって改めて鮮明になった構造的課題」がある。原始力発電所の安全性、災害弱者としての高齢者の存在などがそれである。また、「災害からの復興を新しい日本の姿につなげていく」という視点も必要だ。

金利につられる為替相場(宿輪先生の通貨のすべて)

 金利と為替レートには相関性がある。  ドル円、ユーロ円、ユーロドル、豪ドル円、豪ドル(ドル)のそれぞれの為替レートについて、当該国の2年物の国債の金利差の動きのグラフを作ってみた。ほとんどの局面で相関性を認識できるのではないか。  なぜ、2年物国債の金利かというと、1年以内の短期の金利は年末とか期末は、経済以外の資金需給の影響を受けやすいので、経済の状況を表しにくい。また国債の代表たる10年物は財政状況の影響を受けやすいからである。そのため為替レートの分析では2年物金利を一般的に使用する。 画像のクリックで拡大表示 画像のクリックで拡大表示 画像のクリックで拡大表示 画像のクリックで拡大表示 画像のクリックで拡大表示  為替レートの分析や予想をするモデルにも、流行がある。

「切り花型」技術革新には限界がある(「頭脳大国」中国の真実)

 浜松ホトニクスは光技術分野で世界をリードする日本屈指のイノベーション企業である。特に有名なのは東京大学名誉教授である小柴昌俊博士によるノーベル物理学賞を陰で支えたことだ。素粒子「ニュートリノ」の観測において、浜松ホトニクスが開発した大口径の「光電子倍増管」が大きく貢献した。  同社も2008年秋のリーマンショックにより一時的に業績が減益基調になったが、早くも医療分野や通信分野などで光レーザー半導体などの需要が回復し、今年度も20%程度の売上高営業利益率を見込む。この会社を第2次世界大戦後の創業以来、リードしてきたのが創業者の1人である晝馬輝夫会長だ(現在は病気療養中)。  晝馬会長は長く、中国での光産業の育成も支援してきた。

「復興庁」は補助金の窓口が一つ増えるだけ(復興への道)

 今回の震災は最初にマグニチュードの大きさに驚き、津波被害の甚大さに言葉を失い、そして福島第1原発の放射能汚染の広がりに怯えた。被害の全容がまだ明らかにならず、被災者の捜索も続いている段階だが、この震災に対する国の対応にはどのような問題があったのかを省み、これから国と自治体はどのように対応したらいいのかを考えることが時期尚早だとは思わない。  この未曾有の大震災は日本の防災システムの弱点をすべて露顕させてしまった。原発事故の全容がいつまでたってもわからず、被災地域への物資補給が遅れて被災地や避難場所での犠牲が拡大したのは、災害の規模が国の対応能力の限界を超えてしまったからではなく、災害の規模にかかわらず、そもそも国が防災の現場に直接かかわることを想定していないからなのである。

ボリビアでは中国に負けられない(「頭脳大国」中国の真実)

 日本は現在、約13万人の留学生を抱えている。この大半は中国人である。日本の大学で学び、中国の有力大学で活躍する研究者も増えてきた。日本と中国の大学における人材育成面における協力関係は今後、どのようにしていくべきなのか。  これまで中国を中心に海外の若手研究者を育ててきた京都大学大学院の平尾一之教授と、その門下生であり、中国でも活躍する邱建栄・華南理工大学教授に聞いた。まずは平尾教授のインタビューから始める。 (聞き手は佐藤紀泰=日本経済新聞産業部次長) —— 平尾教授は1990年代半ばから、中国人など海外の若手研究者を数多く育てられていることで有名です。 リチウムを大量に含んだボリビア・ウユニ湖の水を持つ京都大学大学院の平尾一之教授  平尾 実は今、ボリビアの研究者も2人指導しています。