「インフレーション・ターゲティング」はうまくいくか(日本経済のゆくえ)
(前回から読む)
今回はテイラールールの話から始めましょう。
これまでお話してきた通り、現在主要先進国・地域では非伝統的な金融政策運営が行われ、政策金利は1%以下と極めて低い水準にあります。では、政策金利はどのような水準に設定するのが本来望ましいのでしょうか。
テイラールールとは
金融政策運営の方式として、テイラールールという考え方があります。これは、ジョン・テイラーという経済学者によるものです。テイラーは、1987年から92年に米連邦準備理事会(FRB)によって採用されてきた政策金利はテイラールールでうまく説明できると主張しました。
このルールの利点の一つはとてもシンプルなことで、政策金利は物価上昇率と景気の両方を考慮した水準に決まります。