それはそれ

  トレードをやっていて難しいのは、どうやって視点を切り替えるかということです。上昇するのか下落するのか、長期的な視点でみるべきなのか短期で割り切るのか、ファンダメンタルかテクニカルか、などなど。特に最近は、自然な景気循環や相場のバイオリズムを無視した値動きで成り立っているので、その辺の兼ね合いが非常に難しいくなっています。
  ここ1、2年の値動きを考えると、一つの局面が長続きするということはなさそうです。大体、1カ月長くて2、3カ月も、ある動き、相場環境が続けばいい方ではないでしょうか。一つだけ長続きしていることがあるといえば、相場全体がインチキで成り立っており、そのインチキ度合いがさらに加速しつつあり、どこに値を持っていくか、決断できず、限られたレンジでランダムに動く時間帯が長くなっているということです。
  端的に言うと、「偽りの相場」であり、今、私たちが直面しているのは虚偽の値動きにすぎないということです。だから、相場全体の動きが見えにくくなってなっています。
  ただ、そのような中でも、上昇局面や下落局面があり、雇用統計、金融政策決定会合など重要イベントがあれば、それをにらんだ(胡散臭い)値動きをするし、SQ、配当落ち前後も駆け引きがえげつなくなります。
  そんな相場でも、大きな値幅で動いてくれれば、チャンスは多いのですが、基本的には動いて100円、200円程度のもので、いろいろとしがらみをつくるので、ポジションに利益が乗ってきても、安閑とはしておられず、常にプレッシャーにさらさらます。
  もし、長きにわたって相場とかかわっていくのであれば、「これもまた相場」と達観できるくらいでないといけないですね。
  リーマン・ショック前に金融市場からどんどん参加者や資金が流出すれば、ボラティリティーがなくなって、いずれ取りつく島もなくなってしまうのかなと思っていましたが、もしそうなるなら、それはそれで自然の法則なので、日経先物やドル・円相場とかかわるのをやめればいいと思っていましたが、現在の状況は、人為的に相場をつくっているので、もっとタチが悪いですね。
 でも、たとえそうであっても現実を粛々と受け入れなければならないのです。「それはそれ」「あれはあれ」として、与えられた環境に適応して、乗り切っていかなければなりません。
  常々、「欧米はいずれ破たんする」と言い続けていて、いかに金融恐慌の際に、ショートを仕込んで、一儲けするかということを考えていますが、もし、仮に日経平均が15000円に戻すならば、その上昇気流に乗って、したたかに稼がなければなりません。それはそれ、あれはあれとして対応しないといけないのです。
  だから、内心、今の金融市場はインチキ、虚偽、欧米はもう終わっていると思っていても、涼しい顔をしてロングで儲ける芸当が必要です。短期と長期はしっかり区別すべきです。テクニカルよりやはりファンダメンタルが重要なのですが、そうであってもテクニカルに沿ってトレードしないと、稼げるものは稼げません。
  なかなか、頭を切り替えるのは難しく、一つのトレンドや考えに取りつかれてしまうと、恋々とこだわってしまうのですが、そういうところに落とし穴がひそんでいます。ちょっと変化球やつむじ風を起こせば、か弱い個人投資家や、頭の弱い日本の機関投資家なんかは、簡単にだまされてしまうでしょうからね。
  柔軟にといえば聞こえはいいでしょうが、おそらく右顧左眄、こうもり、風見鶏などなど、あまりうれしくないレッテルを貼られてしまうでしょう。、それくらいしたたかにがめつくいかないと、このインチキ相場は乗り越えられないのです。