クール・ダウン
長くて厳しかった冬を越え、ようやく春本番という気候になってきたのですが、金融市場の方は、逆に欧州債務問題が再び焦点となり、金融緩和効果もあっさりと切れてしまい、寒冷化しつつあります。
これから夏にかけ、気温がぐんぐん上昇し、北半球はプラスの気が満ち、生命活動も活発化する季節なのですが、マーケットに関しては、どうやって冬ごもりし、過酷な環境をやり過ごしていくかがポイントになります。
自然界の気の流れと逆行するわけですから、金融市場にかかわることが、いかにそれぞれの生命にとって、マイナスに働くか、そこのところをしっかり認識しておく必要があります。
みなさんそれぞれ目的があって、トレードをしているんでしょうけど、今の金融マーケットは最悪です。日光はほとんど差さず、寒風が吹きすさび、雑草すら育たない過酷な環境です。
2、3カ月に一回、顔を出すわずかな太陽の光を求めて、数少ないチャンスを追い求める以外に活路は見出せません。
2月中旬の日銀の追加金融緩和発表後の日経平均、ドル・円の動きは、近年まれにみる力強く、分かりやすい動きで、久しぶりに活気づきましたが、2カ月と持ちませんでした。
ついつい、次の展開に期待しがちですが、それも結局は、冷たい冬の日が続く中、1日、2日春めいた日差しに照らされたにすぎず、依然として、厳冬が続いていることに変わりありません。
過酷な冬が終わり、相場環境が好転したと、ついつい前のめりになってしまいますが、そういう場面こそ、冷静に考えた方がいいでしょうね。
リーマン・ショック後、何度このような場面があったことか。一瞬、期待を持たせておいて、結局はあや戻しにすぎず、崩れてしまうという、過度に期待を抱くと簡単に裏切る場面がこれからも何度かあることでしょう。
要は冬には冬の過ごし方があるということです。夏は多少無防備でも何とかやっていけますが、冬はそうはいきません。判断を誤ると、風邪を引いたり、最悪の場合、凍死してしまう恐れもあります。
恵み豊かな夏場は毎日のように収穫の機会がありましたが、何とも繰り返しているように、相場が冬の時期は1カ月に1回チャンスがあれば御の字と思っておいた方がいい。
為替介入やら政策介入はこれまでの経験則上、2、3カ月で効果が切れるケースが一般的なので、そのサイクルで当局がアクションを起こすと想定して、2、3カ月に1回、トレードのチャンスがあると思っておいた方がいいですね。
もうちょっと陰と陽のめりはりがはっきりしていてもおかしくはないのですが、金融ばくちを続けたい人たちが、逆に相場を守るためにゆがめてしまいました。
背伸びせずに、あるべき価格水準にいるならば、景気循環に合わせて、分かりやすく上下するのでしょうが、介入に次ぐ介入で、バイオリズムが狂ってしまいました。
無理に相場の活況を演出しようとするほど、どんどんおかしくなっていくのです。これから良い気を受け止め、テンションが上がる時期にもかかわらず、まともに金融市場を相手にしていると、ろくなことがないのはそのためです。
常に冷静な立場で、ほどほどに付き合うのがいいでしょうね。