お天道様はみている



  地球上のすべての生物は太陽の光なしでは生きていけない-。欧米人の最も醜い部分は、自分たちが生き残るためには、なりふり構わず、何をやっても許されると考えられていることです。経済がうまく回っていた時代は、そういう野蛮な性質は鳴りを潜め、政治、経済システムは世界のお手本となり、文化的にも世界の先を行く“文明人”だと思われてきましたけど、この10年ほど、特にリーマンショック以降は行き詰まりがはっきりしてきて、再び本性を現そうとしています。
  彼らの行動原理はシンプルです。自分たちの保身のためには、他人から搾取することなど日常茶飯事だし、人を殺す(結果になる)ことだって平気です。自分さえよければいいのです。




  欧州全体、あるいは米国が復活するために、一丸となるというのであればまだしも、欧米の中でもほんの一部の指導者層、貴族、エリートが自分たちの立場を守ることだけに汲々とし、一般大衆を救済し、底上げを図ることで復活を図るという発想は皆無で、インチキを仕掛けて、あり得もしない“一発逆転”を狙っています。そんなことをしてまで生き残りたいのか、生き残った後どうしたいのか? 疑問ですね。
  ただ、いたずらに他人を支配したい、世界の主導権を握りたいという意地汚い思惑だけは見え隠れしますが、世界全体のことを考えて、どうすれば幸せになれるかという視点はみじんもなありません。果たして、支配欲を満たすだけで、当の本人たち自身が幸せなのか? 本人たちはそれが楽しくて仕方がないのかもしれませんが、根性がひん曲がっているし、やはり、本質的には精神的に問題があるか、頭が悪いのではないかと思わざるを得ません。






  最近の日本人は、欧米のスタイルに感化され、伝統的な価値観からすると、「恥ずかしい」と思われることも、違和感がなくなってしまい、本当におかしくなりました。
  貧すれば鈍するというか、冷戦終結で米国の外交方針が「日本叩き」「金融支配」に方向転換し、徹底的に経済が破壊され、国富を搾取された結果、間違った方向に欧米に感化され、あるいは洗脳、マインドコントロールされてしまいました。
  1997年に山一證券が経営破たんした時、「社員は悪くない」と涙ながらに訴えて、かばった社長は、「人前で泣くなんて、欧米のビジネス常識からは考えられない」と欧米人のみならず、日本人からも嘲笑の的となりましたが、実に立派でした。今、社員の生活のことまで考えて、涙を流せる経営者が世界のどこにいるでしょうか?
  リーマン・ショック後、山一の社長に卑しい笑いを浴びせていた連中は、虚業からの撤退を余儀なくされ、元々は能力がないので誰からも相手にされず、醜態をさらしています。
  モノづくり大国を掲げながら、リストラや派遣切りを断行した、自動車、電機メーカーの経営陣も罪深いですね。過酷な負担を弱者に押し付け、自分たちの経営責任は棚に上げ、高い報酬だけもらって逃げてしまうという、それこそ山一の社長の爪の垢を煎じて飲んでみてはどうか。
  ずさんな安全管理から、深刻な原発事故を起こし、多くの人の生命、健康を危機に陥れ、財産を奪い、日本経済を混乱させた東京電力の会長、社長は、史上最悪の不祥事を起こしながら、「切腹」(自殺)せず、のうのうと生き残り、組織の温存を画策さえしています。




  欧米の支配者層、それに盲従する日本の政治家、官僚、大企業トップは、天地神明に誓って後ろ暗いことはしていないと言えるでしょうか? 骨の髄まで荒廃してしまった彼らのことだから、その認識すらなく、何事も前向き思考でポジティブに考えてしまうんでしょうね。たとえそれが他人に害悪をもたらすことであっても。
  借金返済能力のない人に、無理やりローンを組ませたり、あるいは消費意欲をいたずらに煽って、住宅や車、家電製品を買わせて、それで売り上げや利益を上げることに対して、罪悪感とまではいかないまでも、違和感を感じなかったんでしょうかね。そんな経済が長続きするとでも思っていたんでしょうかね。もし、「そんなことはみじんも感じなかった」と言うのであれば、為政者、経営者としては失格です。
  民間がリスク抱えながら事業を行うのではなく、国が借金を繰り返して公共事業を行うことで、金融機関がほぼノーリスクで利子収入を得て、事業を受注した人たちが細々と延命していく、こんな経済体制をいつまで続けられるのでしょうか?
  後ろめたさを抱えながら、やっているのならばいいですが、日本のエリート層は何の疑問を感じない、無自覚な人がほとんどなので、救いようがないですね。米国に完全支配されたことによる最大の弊害です。


  何も聖人君子になれと言っているわけではありません。いつの時代も、生きて行くということは、大変なことだし、きれいごとだけではやっていけません。
  ただ、明らかにおかしいこと、自然の法則に反していること、むやみに他人、他者(物)に犠牲を強いることを続けているといずれは破たんが訪れます。
  さまざまな矛盾、歪みが積み重なり、にっちもさっちも行かなくなってしまったのが、欧米主導の現在の世界の現状です。本来あるべき姿、自然の状態、あるいは均衡点からかけ離れており、いずれ揺り戻しが起きるでしょうし、その過程で激しい波乱、混乱が起きることでしょう。
  自然の法則を無視してまで、現在の状態を続けることはあり得ないし、無能で他人に不幸を押し付ける欧米の指導者層がいつまでものさばっていられるほど甘くはありません。お天道様はちゃんと見ているのです。