スタンスの切り替えを

  トレーダーとして、ここからのキーワードは①勝ち逃げ②乗れる時だけ乗る-の2つです。これだけはしっかりと頭に刻んでおけば負けることはないと思います。昨日の米雇用統計、その後の金融市場の動きを見て確信しました。
  皆さん大丈夫だと思いますが、2月14日の日銀の金融緩和発表以降、ここまでそれなりに値幅を伴った上昇を続けてきたのでロングでそこそこ設けていると思います。そのアドバンテージを失わないようにしてください。
  とはいうものの、日経先物は直近10220まで上昇しましたが、確定のしどころが難しかったと思います。私も1万円台で確定はしましたが、何となく「降ろされた」感があり、腑に落ちないものを抱えつつ、新年度相場入りということで、「ロング」でのエントリーチャンスを探っていましたが、現時点では完全にニュートラルです。
  というよりは、本来「ショート」なのですが、素直に下げないので、取りつく島がありません。金融緩和期待相場で、いつ何時、上昇に転じてもおかしくはないという特殊事情によるところが大きいです。
  昨日は欧米、香港、シンガポールはグッド・フライデーの祝日でした。だからお祭りモードで、無茶な動きはしない、あるいはご祝儀相場と踏んで、雇用統計は基本的にはロング目線でしたが、下げ幅はそれほどではないものの、容赦なく落としてきました。
  相場が余裕をなくしている様子がうかがえます。リーマン・ショック前もそうでしたね。祝日だろうがお祭りだろうが、そんなことは関係なく、落ちる時はハンパない値幅を伴って落ちました。普通は、どんな局面であっても祝祭日に余計なストレスを抱えるような値動きはしません。
  ただ、金曜日は市場が休場、あるいは半日休だったので、週明けはまず、後始末をどうするか? 欧米のダメ人間どもを救済するために、戻りを入れたり、日経先物、ドル・円の崩壊がなかったかのように、値を維持して始まる可能性があります。また、4月9、10両日は日銀金融政策決定会合があり、追加緩和期待が高まっており、日本に圧力を加えて何らかのアクションを促すこともあり得ます。
  ズドンと落ちて、9000円割れ、1ドル=80円割れまで進めば、霧が晴れたようにさわやかになるのですが、強引に崩壊を回避する可能性は否めないので要注意です。
  多くの人が理不尽を感じているのは、この期に及んでもNYダウが13000台を維持していることです。各国に金融緩和を強要し、資金を集めることで、不当に値を吊り上げています。ドル・円や日経先物同様、25日線なんかにからみ、沈み込む局面になれば分かりやすいのですが、しつこく高値で推移しています。
  要は、いったん値崩れしたら収拾がつかないので、無理やり買い支えしているということでしょうね。すでにご覧のとおり、日経先物にせよ、ドル・円にせよ、25日線あたりが一つの調整の目安になれば、分かりやすいのですが、そんな甘い状況ではありません。
  さすがにドルは米国が管理しているので、25日線にからめて調整的なそぶりを見せましたが、所詮は破たん国通貨ですから、値を維持することができませんでした。
  健全な相場なら好材料、悪材料を吟味しながら、しっかり調整(下落)して、しっかり上昇する(戻す)というのが、本来の姿です。
  ところが、昨年夏に米国の債務問題がクローズアップされて、ダウが目先の底をつけてからの上昇一辺倒の動きは「異常」の一言につきます。調整なんか入れようものなら、売り倒されるので収拾がつかなくなってしまうからなんでしょうね。だから無理やり値を維持する以外に方法がありません。
  米国株の値を高止まりさせる、ドルの価値をむやみに減価させない(日本に為替介入させて買い支えさせる)ことで成り立ってきましたが、どこまで続くのか? このままでは限界が見えつつあるというのが、この数週間、数日の動きから見えてきたことです。
  基本的には、放っておけば本性が表れ、本来あるべき位置に戻ってしまうことでしょう。すなわち「暴落」の2文字しかないわけですが、不穏なムードになった時点で何らかの手を打ってくる可能性があるので、ショートという選択肢は非常に取りづらいです。
  それでも、ゆるゆるの局面があるので、その時は売ってみると、何がしかの利益は得られるでしょう。逆に政策介入が入れば、相場の雰囲気は一時ではありますが変化するので、そこはロングを狙っていくのがいいでしょうね。
  今年は年初来、値動きが全く見えず、1月はほぼノートレードでした。分かりやすいトレードチャンスは激減しています。1カ月に1度あるかないか、昨年夏以来、3カ月に1度確実に稼げる場面があれば、御の字です。だから、気長に臨むしかありません。
  もはや、「乗れれば乗る」というような中途半端なスタンスでは、下手にポジションを取って足をすくわれかねません。「(確実に)乗れる時だけ乗る」。これしかありません。とにかく、トレードに適した地合いではないので、過度な期待だけは禁物だということを強調しておきます。