移動平均線

  以前にも、たしか日経平均(先物)が75日線を上抜けようとしているか、上抜けたときだったと思いますが、移動平均線について整理しておきました。日経平均に加え、ドル・円が同時に200日線を超えるという何年に一度かの大きな出来事なので、再度、触れておきたいと思います。
  テクニカルについて、一家言ある、通ぶった人たちは、移動平均線を頭から否定しますが、大口のマーケット参加者の間では、注目度が高いテクニカル・ツールです。たしかに日常、頻繁に役に立つというものではないですが、ある程度注目度が高ければ、意識され、暗黙のコンセンサスになるので、きちんと吟味しないまま、全否定しまう連中の方が馬鹿だと思った方がいいです。その辺は柔軟に考えたいところです。
  ぶっちゃけると、リーマン・ショック前までは分足レベルで、移動平均線が意識されていたんですよね。1分足の75本線(5分足の15本線にほぼ等しい)とか、200本線は、デイトレードをする上で、知っていて当然のツールでした。1分75本線を抜けると半日くらい、堅調あるいは軟調が続くし、さらに200本線を抜けるときは、かなりのエネルギーが発生し、一気に相場が活気づきました。
  今よりも相場参加者、流入資金が多く、相場全体に余裕があった時代の話です。時間稼ぎや値幅調整のために適当に相場が動く必要があり、その基準として分レベルの移動平均線が意識されていました。日中の値幅が100円以下のことが多い、現在は通用しません。
  その当時、「移動平均を使っている奴はクソ」みたいなことをいう人がいましたが、「頭悪いなぁ」と思って見ていました。移動平均さえ使いこなせば、ラージ1枚で1日10万円くらいは余裕で稼げる時代があったのです。
  私は現在は、ポジションをオーバーナイトしますが、かつては取引時間が午後3時10分、あるいは後にイブニング・セッションができて午後8時までと短く、しかもギャップや窓を開けて何百円も上下したので、危なっかしくて仕方なく、よほどの根拠がある時か、ポジションの手じまいを忘れた時以外は、デイトレードに徹していました。日中、安全に100円以上値幅を獲れたので、あえて、リスクを取ってまでスイングをする必要性が全く感じられませんでした。
  前にも指摘したと思いますが、移動平均の使い方として適切なのは、上昇が続いている時や、下落が長期にわたるみたいな時に、逆張りの指標とするのがいいでしょうね。日柄計算の参考になります。
  例えば、いったん75日線を抜けたら、平均して75日くらいは、離れていくのです。だから75日間上昇が続いたら、そろそろ下落モードに転じるかなぁという視点で、今度は75日線をどういう形で下抜けるかというシミュレーションをすればいいし、200日線についても同様。
  ただし、75日とか200日というのは一つの目安であって、抜けてから75日過ぎたから、200日過ぎたからといって、必ずしも相場が反転するわけではなく、100日たってから75日線を抜けることもあれば、わずか3、4日で再び、元の線をまたいで元の位置に戻ってしまうといったこともあり得ます。
  ほかのテクニカル指標と同様に確実に結果を保証するものではなく、あくまでも相場について考える根拠、材料の一つ程度の軽い気持ちで考えるといいでしょうね。ただ、繰り返しますが、75日線、200日線、あと5日線、25日線は、かなり注目度が高いので、毎日、毎日そればっかりあてにはできませんが、定期的にチェックしておきたい指標です。
  今回、日経平均、ドル・円ともに久しぶりに明確に200日線を上抜けつつありますが、あらためて株価とドル・円はかなりの相関性があるのだなということを認識させられます。
  ともに、一時的にピョコンと抜けたことはあっても、すぐに頭を押さえつけられ、本格的に200日線を抜けるのは数年ぶりのことなので、さすがに「そろそろ上昇相場」に転じてもいいだろうと、否応なく期待は高まります。それに、これも何度も指摘していますが、月足もいい形状になっています。
  偉そうにテクニカルだなんだと言って、いろんなものを持ち出しても、チャートの形からイメージする部分も大きく、そこから考えても、ショートよりもロング目線で見たいものです。
  いまだにショートで踏まれている人がいるみたいですが、この人たちは、研究が足りないとか、知識、経験が不足している云々ではなく、単にトレードのセンスが極端に欠如しているということです。人それぞれ才能、才覚、資質の有無があるでしょうから、トレードには向いていないと自覚し、違う道を模索するのも賢明な判断でしょう。