ラーメン道 残念な店主 神田編1(続)

  できるだけ早いうちに再訪しようと思っていたのですが、時間がつくれず延び延びになってしまいました。9月12日に紹介した、神田の担々麺専門店「辣椒漢」に、また行ってきました。食べログの客の書き込みにブログ(http://lashowhan.exblog.jp/14462803/)で逆切れした店主のお店です。


  前回はオーソドックスな担々麺(日本風の汁あり)を食し、そこそこのレベルの高さであることが分かりました。この店の店主は、四川の担々麺を研究したということなので、本場・四川風の汁なし担々麺を食さずして、この店に対して公正な評価を下せないと思い、再訪の機会をうかがっていたのですが、ついに実現しました。
  店主のブログの内容は、結構過激で、はっきり言って、飲食業に携わる人としては「それを言っちゃあ、おしめぇよ~」という内容なのですが、うわさはツィッターでかけめぐって、かなりの噂となり、激しく炎上したこともあってか、最近はほとんどブログは更新されていないようです。反省したのでしょうかね。
  さて今回は、汁無しのプレミアム正宗担々麺(1000円)を頼みました。四川料理の特徴ですが、山椒をかなり利かせるので、食券を手渡す際、店主から「かなり痺れますけど大丈夫ですか?」と聞かれます。
  9月に訪問した時もそうだったのですが、この店主は結構、客に対して、細かく気遣ってくれる人なんですよね。ブログ炎上の件もあってか、より丁寧な感じもしました。
  食べログの客のコメントは非常にささいな内容なのですが、四川風の痺れる辛さというのは、慣れていない人には理解できないかもしれません。今回の騒動の背景には、その辺の誤解もあるでしょうね。
  午後1時半ごろ、店内は近くで勤務するサラリーマン風の人が4、5人。私の後に、若い女性が2人入店しました。


  出てきた担々麺は、こちらの予想通りの見た目。麺の上に肉みそと、トッピングのカイワレがのっていて、パスタのような感じですね。麺料理のルーツが中国であるということを感じさせます。
  具と麺をしっかり混ぜて、一口。「これだよ、四川の味」って感じでした。唐辛子の辛さと、山椒の舌に電気が走るような感覚。四川料理好きにはたまりませんね。
  この味になれると、山椒のない辛さが、何となく物足りなくなります。水を飲みたくなってしまうのですが、いったん水を口に含んでしまうと、食べるペースがだれてしまい、舌が過剰に麻痺してしまい、おいしさが半減してしまうので、ひたすら我慢。
  辛くてうまいというのはこういうまさにこういう状態で、次の一口、一口と食べ進めてしまいます。食べている時間は正味5分いや、3分もかからなかったでしょうか。自分でも驚くぐらいあっという間に間食してしまいました。
  店主が一生懸命、研究したんだなと思える味でした。率直においしかったと思いますし、「ありがとうございました」と言いたいです。


  かつては、おいしいラーメン店の情報を入手できるのは、時々、見かけるテレビや雑誌のラーメン特集くらいのもので、自力でいろんな店を訪れて、当たりはずれを経験しながら、開拓する以外にはありませんでしたが、今は情報社会で、どんな小さな飲食店でも、メニューや感想などを検索できるようになりました。
  店の経営者、客の双方にとって、いろんな可能性が広がるのですが、その反面、今回のようなトラブルも起きるわけで、便利だけれども、怖い面もあります。
  客はおいしい料理を求めて、ともすれば過度な期待感を持ってしまうし、店側は「これなら納得するだろう」と自信過剰になっているところがある。そこで、どちらかの思惑が外れると、あまりいい結果にはなりません。


  だからこそ、お互いが表面的な情報に惑わされず、コミュニケーションを深め、理解し合うことが大切になるでしょうね。
  おいしいと思える店や料理もあれば、そうでないものもあるわけだし、ある人がおいしいと思った自信作が、理解されることもあれば、そうでないこともある。お互い必要以上に相手に求め過ぎてしまうと、思惑が外れた時の落差が激しいですね。もちろん、双方がハッピーで終わることもあるし、その方が多いとは思うのですが。
  お互い、度量を持ち、少々のことでは、動じないくらいの心意気が欲しいものです。どんなに世の中進んでも、思い通りにならないことも多いわけで、そういう時に、さらりとかわせるというのが、粋で、ストレスのかからない、幸せな生き方ではないでしょうか。