何年か前まで、自民党の中川秀直元官房長官(女性スキャンダルで官房長官をクビになった人)や、元財務官僚の高橋洋一氏(スーパー銭湯かどこかで他人の腕時計や財布を盗んだか、盗もうとしただかで逮捕されたことがある不思議な人)なんかが中心になって、増税ではなく、景気を良くすることで税収を増やそうという、「上げ潮派」といわれる人たちがもてはやされました。
景気を良くして税収を上げようなんて、耳障りがいいですからね。結構、多くの人から支持されたのではないでしょうか? 錬金術で与太話、詐欺話のレベルなのか、本当に実行を移せば、この人たちのいうようになるのか、判断付きかねる部分があります。
高橋氏が本人も記憶がないような、不思議な窃盗容疑で、(逮捕ではなく)身柄を拘束(!?)された後は、上げ潮派の勢いは、急速に下火になりました。
高橋氏は需給ギャップを埋めるために、政府紙幣を発行して、経済を活性化させるべきだという持論も展開しており、おそらく、この辺が“奴ら”の癪に障ったのでしょうね。紙幣の発行権を政府から無理やり奪って、(ただの民間企業にすぎない)中央銀行に移管し、錬金術で利権を得てきた人たちがいますが、紙幣の発行権が政府に再び移れば都合の悪いことがあるからでしょう。実に分かりやすい人たちです。
欧米で相次いで国家破綻が起きることで、その辺の仕組みにも、いずれメスをいれざるを得ないし、果たして、“金融犯罪人”たちを訴追し、処刑できるのか、そのあたりも注目したいと思いますが、そこまではできないかもしれませんね。
まあ、上げ潮派が衰退したのは、高橋氏のスキャンダルだけでなく、自民党が下野し、中川氏自身も選挙区では敗北したことも大きく影響しているでしょうけれどもね。
上げ潮理論をめぐっては、すったもんだの経緯があったわけですが、高橋洋一氏のツィッターなんかをフォローしていると、今でも、このような主張を続けているらしく、「筋金入りなんだなぁ~」だと感じさせられました。
日本経済が抱える問題点としては、やはり「日米問題」があるので、高橋氏が訳の分からない破廉恥罪を帰せられたこととも併せて、その辺を考えないといけないでしょうね。
基本的には、日本人が汗水を垂らしたお金を、日本国内で日本人のために使えることができれば、問題はほぼ解決すると思っています。それでも、経済上の矛盾は多少は残るのでしょうけれども。
毎年、何らかの形で米国債を購入させられ、しかも、円高という“攻撃”を仕掛けて、米ドル建ての資産は目減りさせられ、それがデフレ圧力、不景気の原因になっています。失われた20年の元凶はそこにあるわけで、要は、そこを是正できるかがポイントなのですが、そこに踏み込もうとすると、“奴ら”の逆鱗に触れるわけです。
日本の政治家が毅然とした態度をとっていれば、若者が就職難や低賃金労働で希望を失い、肩身の狭い思いをすることもなかったことでしょう。
ただ、仮に政府紙幣を発行したり、高橋氏が最近強く主張するようにFRBが刷り散らかしたドルの量に合わせて、円を印刷して、通貨供給量を増やして、北海道の過疎の村から、沖縄の離れ小島まで、お金を行きわたらせることで、一時的に景気は良くなるかもしれませんが、インフレについても考慮しないといけないでしょうね。
これだけ、世界的に資源価格、食糧価格が高水準で推移しているにもかかわらず、目に見えて、生活への影響が出ていないのは、インフレが抑制されていて、それが円への信認に結び付き、円高が続いている面も無視できないでしょう。
ウォン安で一部輸出企業は、有利な交易条件を享受できても、庶民の生活は一向に改善しない、韓国経済のことを考える必要があります。
今は円が強いおかげで、国際社会で一定のプレゼンスを維持していますが、通貨供給量が増え、インフレが起き、円の価値が下落することでによる弊害は十分検討する必要があるでしょうね。
高橋氏の計算では、その辺も考慮されているのでしょうけれども、「1ドル=120円」などという聞き捨てならない“過激”な考え方も垣間見えます。破綻しようとしている国の通貨に対して、円安にすることの危険性をどのくらい理解しているのでしょうか?
多分、その辺は認識していないんでしょうね。もう一度繰り返しますが、米国は近々、国家財政が破綻するのです。その国の通貨に合わせて、行動する意味はありますかね? それこそ抱きつき心中ですよね。
何だかんだいってユーロは一体を維持し続けるでしょうから、対ユーロでは、中国や韓国などを意識しつつ、通貨価値をどの辺に設定すべきか考える必要があるでしょうけれども、ドルに合わせる必然性は全くない。円安だろうが円高だろうが、米国は近いうちに経済が壊滅状態になり、まともにビジネスができないような状況に陥るのです。
そんな国とお付き合いして円安にしても、中国やロシア、ブラジルなど、勢いのいい国の買収の格好の餌食にされるだけのことです。
日本全体を活性化、あるいは来たるべき大嵐に対して、どうやって被害を最小限に食い止めるためにはどうしたらいいか考える必要がありますが、世界的には経済的な大変動が近いうちに起きるわけですから、安易な通貨政策はとるべきではないでしょう。