1カ月か2カ月ほど前に、埼玉県東松山市でマンション改修工事現場で作業用の足場を崩れて、近くを歩いていた保育園児が死傷する事故がありました。業者が足場をきちんと固定せず、強風にあおられたのが原因で、「人災」との見方が有力のようです。
いろいろな可能性を秘めた幼い子がなくなるという、とても痛ましい事故(事件)で、一義的には、いいかげんに足場を組んだ業者の責任がきちんと追及されるべきだとは思いますが、工事現場のそばを通行させた大人の責任もあるのではないでしょうか?
新聞報道によると、「保育士2人が付き添い、園児22人で列を作ってドッジボールの練習のため別の保育園に向かっている途中だった」とのことです。
街を歩いていると、道路工事やビル、マンションの新築、改修していることがよくあります。歩道にかかるところでは警備員を配置して、注意喚起や安全な通路に誘導しているところもありますが、私は結構、こういう現場のそばを通るときは、身構えます。
もちろん事故に遭遇する確率なんて限りなくゼロに近いと思うのですが、まったく事故が起きないわけではありません。この事故のように足場が崩れたり、外壁や工具など物が落下したり、クレーンや杭打機などの建設機械が倒れたりするニュースを時々目にします。
遊園地もそうですよね。事故なんてまずありえないのですが、ジェットコースターが突然止まったり、大阪の方では脱線する事故が起きて死傷者が出ています。
人間がつくっている物であり、人間のやることであり、「完璧」なんてものはありません。一見、うまく行っているように見えても、どこに落とし穴が潜んでいるかは分からず、運悪く、不幸な事故に遭遇、巻き込まれてしまうことだってあるのです。
考えすぎだと思われるかもしれませんが、私は新幹線に乗るときだって、頭の片隅には事故の可能性を考えています。最高速度で走行中に大地震に遭遇することだってないわけではありません。現に、東日本大地震や新潟県中越地震の時には走行中の新幹線が緊急停止しています。幸い人身事故はありませんでしたが、もし、今度、大きな地震が起きたとして、大事に至らないという保証はあるでしょうか?
もちろん、新幹線に乗る前に事故の可能性をほんの少しでも考えたところで、事故に遭うときは遭うし、事故に遭っても無事でいられるケースもあれば、そうでないケースもあるでしょう。あくまでも万一の時に少しでも冷静でいるための心づもりの問題です。
それに、いつもいつも、最悪のケースばかり想定すれば、マイナス思考で委縮してしまうし、精神衛生上よくありません。昨今の「放射能怖い」「怖い」みたいな、醜態をさらしていまうことにもなりかねません。
だから、ほどほどに考えるのがいいのですが、目に見えやすいリスクはなるべく回避したいですよね。埼玉県東松山市の足場の事故では、現場写真を見る限り、回収現場のそばに駐車場があり、保育園児が通ったとみられる歩道からは少し距離があるので、頭ごなしに引率の保育士を責められない面もありますが、事故のあった日は関東地方に強風が吹いた日でした。
だから、工事現場に限らず、歩いていて何か物が飛んで来たり、何かのはずみで物が落下したりする危険性を考慮する必要はありました。この季節にしては台風並みの異例の強風が吹くわけですから、大勢の園児を連れて外出するのが適切なのか、考える必要があったのではないでしょうか?
刑事、民事上の責任を考えると、やはり業者の負うべき責任が一番重いとは思いますが、人間のやることであり、どんなに慎重にやっても落とし穴があったり、ついついルーズでおざなりになってしまう部分もあります。引率の保育士にもそういう部分はあったでしょう。
私たちの日常生活でもいろいろと落とし穴はたくさんあるはずです。東松山市に限らず、足場をしっかり固定しないで作業をしている現場なんてそこらにあるでしょうし、今住んでいる住宅の内部、電車、バス、タクシーなど交通機関や、飲食店、スーパーで提供している食材、電機製品などなど、一見しっかりしているようで、何らかの大事故に結びつく潜在的なリスクは否定できません。
毎度毎度、卑近な例で恐縮ですが、ソブリンリスクなんかもそうですよね。ことこの期に及んで、「アメリカ合衆国がつぶれるわけがない」と信じている人が世の中大多数なんですよね。でも、所詮は人間がつくったものであり、一種の幻想とも言える。完全、完璧などありえず、強風で足場が倒壊したように、何かのきっかけで米国が破綻する可能性は否定できません。
根拠のない信頼感を基に、現在の国際関係や経済システム、金融市場が成り立っているわけですが、もし、それが崩れれば、世界中が大パニックに陥る可能性は否定できません。
まだまだ、荒唐無稽だと思われているようですが、米国の状況を総合的に考えると、あり得ない話ではないと私は考えているし、常々言っているように、米国がいずれ破たんするという最悪の事態が起きる前提で、未来予想をしています。しかも、新幹線で事故に遭う確率より高いとみています。
何度も強調しますが、人間のやることに完璧なことはありえません。どこかに限界があるし、あちらこちらにほころびもあります。すべてにうまく適応できるわけでもありません。だから、常にそのことを頭に入れ、物事を考えたり、行動する必要があります。