金融も実体経済も、国家あるいは中央銀行の介入なしには動かなくなりつつあります。生み出される財やサービスが、金や貴金属のように安定した価値を持つものによって、その実力に応じて正当に評価されるのではなく、各国の中央銀行が刷り散らかした紙幣を無理やり流通させ、それよって値打ちが決まるという、要は無価値な紙幣の争奪戦によって経済が回り、優勝劣敗が決まるわけですから、その紙切れがいつどのような形で発行されるかどうか、情報を握った者が勝ちということになります。
すなわち、国家と内通していたり、さらにもっと踏み込んで政府に人材を送り込んで政策に関与したり、圧力をかけて誘導したりできる人たちが一番強いということになります。
これこそまさに欧米の金融機関(すなわち金融ユダヤ人とその仲間たち)の得意とするところで、世界支配のまさに核心部分であり、真髄であるといえるでしょう。この数百年間そうして世界は回ってきたのです。
欧米というと法制度がきちんと整備され、自由でフェアな経済活動が保障されているという錯覚をふりまき、日本人は劣等感を抱いてきたのですが、本質はそういうことだったのです。欧米にいる現在の世界の主導的な立場にいる人たちは、今なお、その事実を隠し通せていると思っているのか、それとも薄々「やばいな」と感じつつあるのか、それは分かりませんが、これまでの金融、経済システムが限界に近づきつつあり、崩壊するにつれ、不都合な真実が広く知れ渡るのは時間の問題でしょう。
それでも、ついこの間までは、経済は、まだ真っ当な動きをしていたのです。第2次世界大戦を機に欧州が没落し、1972年のニクソンショック、85年のプラザ合意で米国もすでに国家破綻はしていたのですが、それでもまだ、物やサービスの取引を主体とする実体経済の占める割合の方が圧倒的に大きく、ものづくりを得意とし、急速に台頭した日本や東アジア、東南アジア諸国の勢いはとどまることを知りませんでした。欧米の大多数の人たちだって、勤勉な価値観は持っていましたから、金融取引だけで経済が回るなんて思ってもみなかったことでしょう。
ところが、その状況をひっくり返そうと、アジア各国の通貨に攻撃を仕掛けたり、日本の金融機関を徹底的に叩くことで、勢いをそぐことに成功した(成功したかのように見えた)のです。
金融が経済を混乱させ、支配する力を認識した人たちは、そこからさらに増長します。不動産バブルを煽り、折から発展したデリバティブ取引を駆使し、金融セクターを肥大化させ、中央銀行に紙幣を増刷させることで、天文学的数字にまで金融バブルを膨張させてしまいました。
リーマン・ショックでいったん、このバブルはちょっとだけ弾けたのですが、あまりにも実体経済に対するインパクトが大きく、これではまずいということで、各国政府が公共事業やエコカー補助金などの形で政策介入したり、金融緩和を行ったりすることで、衝撃を和らげ、経済を小康状態に下支えし、現在の状況があるのです。
政策介入や金融緩和というつっかえ棒があって、かろうじて均衡状態を保っているわけですから、その効果が切れたら再び、バブル崩壊、どん底へ向かって突き進むだけの話なのです。
欧米の一部の金融利権集団はなかなか、覇権を手放したがらないので、各国政府に対して、金融緩和をして、利益をむさぼろうとしたり、少なくとも現状を維持して延命を図ろうとしています。
この状況は国家が疲弊し、本当に追い詰められるまで続くでしょうね。金融市場というのは、いろんな意味で情報戦なのですが、今後は各国政府に近いインサイダーが情報を制する立場にあるので、内情を知らない情報弱者を出し抜いて、生き延びるといった状況が続くでしょう。残念ながら世界は真の実力が評価されるのではなく、インチキを仕掛ける人が力を持っている状況なのです。
国家権力と、それを動かす金融利権集団のみが情報を握り、その他大多数が蚊帳の外に置かれる状況。情報デバイドを利用して、金融、経済を支配し、世界中から搾取しているという構図をしっかり認識しておく必要がありますね。
小泉政権時代に郵政解散で、劇場型の手法に踊らされ、自民党に票を投じた人たちを「B層」だとか「情報弱者(情弱)」とさげすむ人たちがいますが、その人たちだって、世界支配の構図から逃れられるわけではなく、結局は搾取されているということを考えると、「情報弱者」にほかならないのです。
もっとひどいのは、政治家や官僚、ビジネスエリートですね。自分たちは「勝ち組」だと思っているのでしょうけど、幻想を抱かされているにすぎず、結局は、欧米の一部の支配層のコマとして動かされているにほかなりません。そして、真実に気づき、反抗的な姿勢をとろうものなら簡単にあらゆる手段で抹殺されてしまうのです。
日本の場合、インテリ層がこの単純な支配構図に気づかず、狭い島国で足の引っ張り合いをしているだけなので、本当に絶望的な状況です。