新展開

  ユーロ問題について、解決期待から、NYダウ、日経先物、ドル・円、ユーロ・円はいずれもリスク回避方向に動いています。上昇基調が続くのか、もしそうなったとして、どのくらいの期間、値幅になるのか、まったく見当が付きませんが、久々に胸のすくような分かりやすい動きを見せてくれました。
  為替も先物も7月上旬にピークをつけて以来、軟調な動きが続いてきましたが、下げ渋りながらの下落で、ショートではとりにくい局面でした。私の先物ミニ1枚チャレンジも、ほとんど下げたところをロングで拾うという感じだったと思います。
  売りにくかったので、リーマン・ショック前みたいに下げ渋って、ある時、ズドンとさげる展開かとも思いましたが、下値を売り崩す動きは限定的で、2カ月近くにわたってやっかいな動きが続いた後、上昇に転じました。
  売りにくい局面は、二つの意味合いがありますね。大暴落の予兆か、下落から上昇に転じる兆しのいずれかです。今回は前者のような感じで、私もそう信じて疑いませんでしたが、結局後者でしたね。
  一昨日深夜、相場の変化に気づいたのは、スロバキア云々がクローズ・アップされ、さかんに危機を煽っているにもかかわらず、悠長な動きを続けていることや、ここ1、2か月の動きを見ていて、下値を攻めるには、そろそろタイム・オーバーかなぁというテクニカル的な理由からです。
  私は一昨日深夜、77.74でロングをかけ、一応逆指値でロスカットを指定した上で、放置していました。昨日夕方に76.31まで下げるのも織り込み済みです。先物は「どうやらアク抜けしたのかなぁ」というチャートの形状をしていましたが、ドル・円はチャートからみて、まだもう一度、下値を確認しないと落ち着かなさそうな形勢でした。
  下げるのを待って、ロングを仕込めば、より値幅を稼げたのですが、昨日日中は予定(遊びに行く)があったので、乗り遅れると嫌だったこともあり、さっさと仕込んで放置していました。日中、時々、スマホで先物、ドル・円をチェックしていましたが、動きが悪く、歯がゆい思いでした。それだけに動いてくれた時は喜びもひとしおでした。
  上昇を予測できた、もう一つの理由は、季節性ですね。毎年、秋口は比較的、株もドル・円も上昇しやすい時期です。それに、世界的に景気の先行き不透明感は強まっていますが、企業業績にはまだ波及しておらず、また、このところの米国の経済指標なんかみていても、まだ余裕がありますからね。
  ここでわざわざ、半年先に景気が大幅に落ち込むということを織り込む必要があるのか? マーケットはもう少し様子を見たいのではないか? と思いました。
  まだ、軽々に予測するのは早計だとは思いますが、今後、1~2か月は上昇基調で時間稼ぎをするのではないかと思っています。でないと、価格の持っていき場がありません。いつまでも日経平均8500円、1ドル=76円台中盤あたりでうろうろすることはできないでしょう。
  どうしようもない状況に変わりはないのですが、米国はしばらくは悪あがきして、破綻を回避したいみたいです。それもこの1、2カ月の動きから何となく感じられましたね。
  このところ米国の要人がユーロ危機に対して、けん制する発言が多く聞かれ、欧州各国に対して、「何とかしろ」と、対処を促す動きが続いていました。クリスマス休みあたりまでは、崩壊は回避したいというような意図が垣間見られました。
  まあ、今月20日あたりですかね。ギリシャ支援の具体策が打ち出されるみたいですし、近々に、金融情勢が切迫した状況に陥ることは、やや考えづらい状況です。
  ただ、株価が上昇し、ドルやユーロに対して、円安になってはいるものの、問題は何一つ解決しておらず、解決する見込みもありません。単に先送りしただけの話です。これはギリシャ問題だけでなく、他の欧州各国の財政、そして大御所米国財政についても同様です。
  誰も欧米のソブリン問題を解決できる妙案を持ち合わせておらず、いずれ何らかの形でひずみが表面化すると思われますが、それはいつになるかわかりません。
  上昇局面が続くと、つい気が緩み、安易なトレードに走ってしまいがちですが、常に気を緩めず、感性を敏感に研ぎ澄ませておくことが大切ですね。