未来予想と後講釈

  欧米各国が国家破綻し、金融恐慌が起きるという未来予想の下、私は発言していますが、予想なんてだれでもできるんですよね。大きな方向性は分かっていても、うまく流れに乗って行動し、結果を出すことができなければ何の意味もありません。
  反原発のパイオニアだった人たちがまさにそうですよね。京都大原子炉研究所の小出裕章さんとか、ジャーナリストの広瀬隆さんとか、東京電力福島第1原発事故が起きる前から、「原発やばい」「やばい」言い続けてきたわけですが、彼らはキワもの扱いされて、事故前は相手にもされず、結局事故を防ぐことはできませんでした。
  事故が起きてからもてはやされて、脚光を浴びてはいますが、果たして彼らにとってそれは本意だったのでしょうか? というか、原発事故が起きてから悟ったのではないでしょうか? 「実はちやほやされる今の方が実はおいしい」と。広瀬さんあたりは、そこそこお金も入っているでしょうから、反原発なんてもはや目的ではありませんよね。“反原発”のふりをして、教祖様のようにあがめられる状況に満足してしまっているのではないでしょうか。
  彼らは瓢箪から駒というか、ひょんなことで“幸運”をつかんだわけですが、大多数の筋金入りの反原発派は、事故があって盛り上がってはいるものの、彼らの言うことなど、事故から時間が経って風化すれば、そのうち誰も耳を貸さなくなるでしょう。
  何よりも、原発事故が起きたらとんでもないことが起きると思われていましたが、福島事故の規模は大きいことは大きかったですが、結果は実はたいしたことはありませんでした。東日本大震災があった3月11日の直後は、関東地方全体が放射能汚染で逃げなければならないと、私も覚悟しましたが、事故の影響が少しずつ明らかになるにつれて、実は“しょぼい”ということが分かりました。
  この期に及んでなお、放射能が危険だとさわいでいる人たちも、うすうす気づいているのではないでしょうか。反原発で大騒ぎしたくて、放射能の影響を言い立てているにすぎないでしょう。
  そんなことを翻って考えると、欧米が国家破綻すると、騒いでいる私なんかも、同じような状況なんですよね。世の中のほとんどの人は、うすうす何か起こりそうだということを感じつつも、まさか欧米がつぶれるなどとは、信じきってはいないんですよ。
  そして、3・11のような大きな衝撃が起きてはじめて事態の深刻さに気付く。それで、私みたいなのは、「だからずっと欧米がやばいと言い続けてきたでしょう」としたり顔で偉そうに講釈を垂れますが、大して利益も上がらず、しかも世の中全体がパニクっているので、それにおつきあいして右往左往せざるとえないという・・・。
  小出さん、広瀬さんクラスなら、評論や講演活動をしてお金儲けできるでしょうが、私のようなマイナーな人間はそんな器用なことはできません。
  だから、うまく未来予想を活用できない限りは、何の意味もなく、未来予想も後講釈も大して変わらないことになります。
  今まで何も手をこまねいて漫然と過ごしてきたわけではなく、一応、未来予想を生かすべくそれなりに行動はしてきたつもりですが、どこか、まだまだ将来の話のような感じがしていて、認識が甘かったと思います。実際に金融市場の動きも緊張感をまひさせるほど緩慢な動きでしたからね。
  ただ、そろそろ気を引き締めなおす時期に来ていると思います。どういう結果を出したいのか、たとえそれが皮算用にしても具体的にイメージし、行動を起こすべき時なのだと、あらためて自らに言い聞かせようと思っています。