金融帝国の中枢、米ニューヨークのウォール街でのデモは、遅きに失した感はありますが、一般の米国人がまともな感覚を完全には失ってはいないということでしょう。参加者はどういう背景で、何を考えてこのデモに参加しているのかは、分かっていませんが、米国の身勝手な金融資本主義が世界に破滅的な影響をもたらしたことを考えると、評価すべき部分は大きいと思います。
私たちが考えなければならないのは、果たして米国人と今後、付き合っていけるのかどうかですね。金融危機に陥った原因は、金融ばくちに興じた寄生虫どもや、戦争屋の果たした役割が非常に大きいですが、一般の米国人の罪も大きい。
ほとんどの米国人は景気のいい時は、イケイケ、ドンドンで、くだらない連中と一緒になって金融ばくちや戦争に、むしろ積極的に加担してきたわけです。しかも、住宅バブルの恩恵を受けたり、好景気で向う見ずな消費を続けてきたりしたきたのです。そうした行動を省みずに、ウォール街だけを責めるのは、あまりにも虫が良すぎます。
テロとの戦いのためにブッシュ大統領を支持したわけだし、永遠の好景気が続くと信じて、FRBやグリーンスパンに、白地手形をゆだねてきたのです。基本的には、米国人は連帯責任で地獄に落ちてもらうべきでしょう。そうしないと、あの国は変われません。まあ、地獄に堕ちたが最後、二度と這い上がれないという話もありますが・・・。
そもそもあの国には健全な民主主義などなかったわけで、自由、自由と言いながら、強制収容所のような中で国民は生活し、当の本人たちは「アメリカンドリーム」とか「ナンバーワン」だと信じて疑っていなかったので世話はありません。
一部の支配者層が働きもせずに分不相応な収入を得て、贅を尽くした生活を享受する一方で、一般人の多くは脂肪や毒物の塊のような食物を与えられ、借金の鎖でつながれ、偏った教育や情報で洗脳され、シティ・バンクや、ボーイング、ロッキード、マイクロ・ソフト、マクドナルド、コカ・コーラ、ウォルマート、アマゾンに飼いならされて、「生かさず殺さず」の劣悪な条件で暮らしてきたわけです。
それと比べると、欧州にせよ、日本にせよ、はるかにましなライフスタイルを確立しているわけですが、米国人は、自分たち以外の価値観を認めようとしないので、やっかいです。今なお「世界一」だと信じ込んでいるわけですからね。
もちろん、アフガニスタン、イラクでの大義のない侵略戦争に反対し、金融資本の在り方に疑問を呈し、戦っている立派な米国人だって少なからずいます。最近は変な人も入って変質していますが、昨年の中間選挙で一躍注目を集めた草の根保守の「ティーパーティー」なんかがそうですね。
ティーパーティー運動を支える、良識ある米国人にとって、まさに“希望の星”であるロン・ポールの言論を見ると、非常にまっとうで、共感できる部分は多い。
日本人は、寄生虫にさらに取り付いている、人間のクズのような米国人(例えばアーミテージとか、マイケル・グリーンとか、最近ではケビン・メアなんかもその類い)と訣別し、常識的な感覚を持った米国人と交流し、ゆがんだ世界観を改める必要があります。
ただ、こうした立派な人たちがいる一方で、どうしようもな輩も多く、当たり前のことを当たり前にすることが妨害されてきました。だからそういう意味で米国人を信用しきれるかというと、やはり距離を置いて、冷ややかに見ざるを得ない面もあります。
現在行われている抗議行動はいつまで続いて、どういう展開、結末になるのか分かりません。もしかすると、ロシアのシンクタンクなどが予想するようにこのまま騒乱、内戦に発展するかもしれませんし、州兵なんかが出動し力であっけなく制圧されてしまうのかもしれません。
なるようになるしかないわけですが、これがきっかけで米国が崩壊するなど、思わぬ方向に動くかもしれず、市場のかく乱要因にもなる可能性があるので、注意深く見守る必要があります。