防災
ニューヨーク金先物相場は、9月6日の最高値(1923.7ドル)から反落して、取引時間中に一時、1500ドル台前半をつけました。この3週間で2割下落した計算になります。
金価格が上昇するということは、中央銀行が発行するお金の価値が下がることを意味しますから、恐ろしい勢いで暴落していた通貨の価値が反転したことになります。それでも、つい最近まで1000ドル突破するかどうかというところだったので、現時点で、まだまだ金価格の水準は高止まりしていると言えるでしょう。
この1、2週間の金融市場の動きを見ていると、以前とは趣が変わっていますよね。リーマン・ショック以来、ほぼ一貫して米国経済やドルに対する信認がテーマになっていたのですが、最近はユーロ不安一色です。金価格の下落と軌を一にするようにユーロが対円で一時101円台をつけるなど軟調になっています。
世界を混乱に陥れているのは、間違いなく米国です。欧州もそれに負けず劣らず、バブルに踊り、乱脈の限りを尽くしてきたわけですが、欧州が結束すればまだ、何とかなるレベルではあります。ただ、そのためにはかなりの代償を支払う必要があります。
ただそれも、各国の国民の世論が現時点では恐慌であるということもあって、なかなか踏ん切りがつかないだけの話で、せっぱつまった状況に追い詰められれば、ドイツやフランスはギリシャやスペイン、イタリアの救済に動かざるを得ないでしょう。ユーロ導入で南欧諸国は簡単に借金ができるようになり現在の状況に至ったわですが、それらの国々に安易に金を貸し付け、輸出を増やした点では、マッチポンプであり、同じ穴のむじなです。
世界中の関心がユーロに向く中、自らの立場をわきまえず、いけしゃあしゃあと、他人の問題に首を突っ込み、混乱を拡大させているのが米国です。人類史上最悪の水準までに積みあがった債務をどうするかという、自らの問題には何も手を付けようとせず、ユーロ圏財務相会談などにずかずかと乗り込んでいくわけです。
さらにユーロを暴落させ、金市場に攻撃を仕掛けることで、ドルの価格を維持し、自らの延命を図るという、非常にわかりやすい構図ですね。
ただ、そんな姑息な工作をしても、1ドル=76円台からなかなか脱出できませんね。ドル・円の日足チャートなど醜くてとても見られたものではありません。チャート・スクールの先生はどう解説するのでしょうか? 「ソーサー・ボトム」を形成しているとかいうのですかね。後講釈で。
以前にも金投資の可能性について考えてみましたが、ポートフォリオの一部として、金を買うのは悪いことではないと思います。現在が買い場かどうかというのは、金融市場の状況や、先述の通り、米国がユーロや金にちょっかいをかけるので、判断が難しいと思いますが、ナンピン、ナンピン、ナンピン・・・の覚悟があれば、分の悪いことではないのではないでしょうか。
東京にいずれ直下型の大地震が来るのではないかというのは、3・11以前より指摘されていましたが、それに備えて懐中電灯や食料、水をしっかり備蓄していた人はどれだけいるでしょうか。私も米やペットボトルの水はそれなりに持っていましたが、スーパーの棚から食料が一時、消えた時は、心もとない状況でした。
欧州各国の財政破綻、そして米国の国家破産は、いずれ確実に訪れるのです。「防災グッズ」として、金を買うという考え方もあるのではないでしょうか。