最悪の愚者が指揮官となる事態を想定せよ!(田村耕太郎の「経世済民見聞録」)

 4月10日の日曜から、危機管理を学ぶ最高の機会を頂いている。ケネディスクールの危機管理合宿に招待されたのだ。これは毎年1回、世界中から危機管理の専門家が集まり、世界の最新の危機をケーススタディ中心に皆で分析し学びあうもの。 ケネディスクールで危機管理の合宿に参加  初日の最大の学びは「我々を苦しめてきた危機は、最初が天災であっても最後は人災。最悪の愚か者が危機管理の指揮権を持つと想定することから危機管理は始まる」という教えだった。  我々日本人は完璧な指導者の存在を妄想し、神風が吹いて事態が好転することを期待する。この姿勢が真っ先に否定された。「想定外の危機は必ず起こる。事態はますます悪い方向に進むもの」という開き直りから危機管理の議論は始まる。

2011年4月14日のマーケット予想

株:NYダウ反発
13日の米株式市場は、米金融大手JPモルガン・チェースが発表した第1四半期決算の内容が市場予想を上回ったこと、3月米小売売上高が前月比+0.4%と9ヶ月連続プラスとなったことを好感し、上昇して始まった。ただ、その後は、オバマ大統領がブッシュ減税の廃止など緊縮財政案を発表したことなどが嫌気され、徐々に値を削る展開となった。ダウ工業株30種平均の終値は、前営業日比7.41ドル高の12,270.99ドルで引けた。
本日の東京市場では、米株式市場は反発しているものの、シカゴ先物市場の日経平均先物が9,580円と、前日終値の日経平均株価の水準を下回っていることなどが、株式市場にとってマイナス材料となりそうだ。市場の予想レンジとしては9,450円−9,700円となっている。

為替:ドルが上昇
13日の外国為替市場では、オバマ大統領が12年以内に4兆ドルの財政赤字削減を目指すために、ブッシュ減税の廃止など緊縮財政案を発表したことを好感し、ドルがユーロなどに対して上昇する展開となった。NY終値ベースで、ドル円は83円台後半、ユーロドルは1.44ドル台半ばとなっている。
本日は、週間新規失業保険申請件数(予想:38.0万件)、米3月生産者物価指数(予想:前月比+1.1%)などの経済指標の発表が予定されている。本日のドル円の市場の予想レンジとしては83.20−84.20円となっている。

商品:NY原油反発
13日のNY原油先物取引は、EIAの週間在庫統計において、原油在庫は前週比160万バレルの増加となったものの、ガソリン在庫が前週比700万バレル減と市場予想を大幅に上回る取り崩しとなったことなどを材料に反発し、中心限月の5月限の終値は、前営業日比0.86ドル高の1バレル107.11ドルで引けた。
NY金先物取引でも、原油価格が反発したことなどを背景に、買いが優勢となり、中心限月の6月限の終値は、前営業日比2.00ドル高の1オンス1,455.60ドルで引けた。      

                                                                                          

高齢化と人口減少という被災地の厳しい条件(復興の経済学)

 東日本大震災から1カ月余りが経った。原発事故は収束の見通しすらたっていない。余震も広い範囲にわたって続いている。一方、津波被災地でも岩手県や宮城県では、復旧に向けた取り組みが始まっている。また、各方面で、被災地の復旧・復興のための議論形成や提言づくりに向けた動きが広がりつつある。  震災から日が経つにつれ、首都圏の電力不足問題、部品の供給(サプライチェーン)問題、放射能漏れに伴う風評被害などの二次的被害が顕在化してきているが、原発事故による被害を除いた地震、津波による直接的被害さえ、その甚大さから、全貌が明らかになるには、もうしばらく時間を要するだろう。しかし、「今後大幅に増加する見込み」といった条件付きながらも明らかになる各分野の被害状況等から、今回の被害が1995年1月の阪神・淡路大震災の被害を大きく上回ることは明らかだ。

「電力不足先進国」中国に学べ!?(坂田亮太郎のチャイナ★スナップ)

 東日本を巨大地震が襲ってから1カ月が経った。大津波の被害はいまだに全容がつかめないほど大きく、今も余震が続く。また、東京電力の福島第1原子力発電所の事故は一進一退の攻防が続いている。改めて思うのは、「東日本大震災」は現在進行形の大災害であるという事実だ。  産業界にとっては、むしろこれからが正念場かもしれない。日本政府は4月8日に電力需給緊急対策本部を開催し、東京電力による計画停電(輪番停電)を原則として終了させることを決めた。また、電力需要が増える夏場に向けて、工場など大口の電力需要家(契約電力500キロワット)に対しては25%程度の削減目標を課すことになった。今後は企業や業界単位あるいは地域ごとに、電力使用量の削減計画をまとめる必要がある。

震災後の今だから知りたい「ガバナンス」の意味(社会を映し出すコトバたち)

 最近「ガバナンス(governance)」という言葉を、新聞や雑誌、テレビ、ネットの震災関連記事で見かけるようになりました。「復興に当たって国民をけん引すべき政府にガバナンス能力が足りない」とか「震災後にはガバナンスの効いている企業サイトへのアクセスが増えた」などの用例があります(具体例は後述します)。  このガバナンスの「意味」を説明できる日本人は少ないのではないでしょうか。国立国語研究所が2004年10月に発表した「第3回『外来語』言い換え提案」という文書でも「ガバナンスの意味を理解する人が、国民全体の25%に満たない」と指摘しています。  そこで今回の「社会を映し出すコトバたち」は、「ガバナンス」の意味について掘り下げてみることにしました。

金融・証券・FX情報専門のまとめサイト