2011年3月9日のマーケット予想

株:NYダウ反発
8日の米株式市場は、OPECが増産を検討しているとの報道を受けて、原油価格が下落したこと、バンク・オブ・アメリカが数年後に税引き前利益が年間400億ドルに拡大するとの見通しを示したことなどが好感され、幅広い銘柄が買われる展開となり、ダウ工業株30種平均の終値は、前営業日比124.35ドル高の12,214.38ドルで引けた。
本日の東京市場では、米株式市場が上昇し、為替市場でもドル高・円安が進行していることなどが、株式市場にとってプラス材料となりそうだ。シカゴ先物市場の日経平均先物は10,570円となっており、市場の予想レンジとしては10,500円−10,650円となっている。

為替:ユーロが下落
8日の外国為替市場では、前日発表された米格付け会社によるギリシャの信用格付けの引き下げを受けて、前日に引き続きユーロがドルなどに対して下落する展開となり、NY終値ベースで、ドル円は82円台半ば、ユーロドルは1.39ドル近辺となっている。
本日は、米国で10年債入札の動向に注目が集まっている。経済指標の発表では、独1月鉱工業生産(予想:前月比+1.8%)などが予定されている。本日のドル円の市場の予想レンジとしては82.00−83.00円となっている。

商品:NY金反落
8日のNY原油先物取引は、クウェートのサバハ石油相が、リビア産原油の減少分を補うためにOPECが増産を検討していると表明したことを受けて、過度な供給不安が後退し、一時103ドル台に下落した。ただ、その後、OPECのハティビ理事が増産を検討する必要はないと指摘したこと、11日にサウジアラビアで大規模なデモが計画されているとの観測などから、警戒ムードは依然として根強く、値を戻す展開となった。中心限月の4月限の終値は、前日比0.42ドル安の1バレル105.02ドルで引けた。
NY金先物取引では、原油相場が一服したことや、ドルがユーロなどに対して上昇し、ドル建てで取引される金塊に割高感が生じたことなどを背景に、売りが優勢となり、中心限月の4月限の終値は、前営業日比7.30ドル安の1オンス1,427.20ドルで引けた。     

                                                                                          

石油価格上昇コストの「公平」な負担とは(小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論)

 中東の政治情勢が緊迫する中で、石油価格が上昇している。石油価格の国際指標であるニューヨークWTI(West Texas Intermediate)の先物価格は、3月2日にはバレル当たり100ドルを越えた。2年4カ月ぶりの高値である。今後、史上最高値(147ドル)に達するという見通しもある。日本は原油輸入の87%を中東に依存している(2010年)だけにその影響も甚大である。  石油価格の上昇は日本経済にとってのマイナス要因であることは間違いない。これは経済的には「交易条件が悪化することによって、日本経済に悪影響が現われる」ということである。交易条件というのは、輸出価格と輸入価格の比率(輸入価格が分母)である。

民主党、自壊促す「解散風」(時事深層)

若手議員の反乱後、松木謙公氏が農林水産政務官を辞めた。小沢一郎氏の処分への抗議を理由に挙げるが、内情は異なる。永田町に吹き始めた「解散風」が民主党の自壊を促している。  鹿野道彦・農林水産相に辞表を提出した松木謙公・衆院議員は、その理由として、小沢一郎・民主党元代表の党員資格停止処分とマニフェスト(政権公約)見直しへの不満を挙げた。  「小沢元代表への党員資格停止は、本当に納得できない」  松木氏の辞職に先立ち、民主党の若手衆院議員16人も同様の理由で会派離脱を表明。いずれも小沢氏を支持する勢力だけに、菅直人首相周辺は「小沢氏がいよいよ倒閣に動き出した」と警戒感を強めている。  親分の窮状に身を賭した行動——。

仁義なき古書買い取り合戦(時事深層)

節約志向の高まり、環境意識の定着などを追い風に成長する中古品市場。新規参入者が相次ぎ競争が激化する中、焦点は「調達」に。売り場で買った瞬間に、通販の箱を開けた瞬間に、もう調達合戦は始まっている。  書店「文教堂」溝ノ口本店の売り場には、俳優・水嶋ヒロの処女作で、ポプラ社小説大賞を受賞した話題の小説『KAGEROU』が並んでいる。 文教堂では新刊本の一部に写真のような買い取りサービスを訴求するタグをつけている(写真:スタジオキャスパー)  定価は1470円。そこには黄色い見慣れぬタグが掲げられている(右写真)。「こちらの商品、定価の30%で買い取り致します!」。1冊購入し、数日後に同店に持ち込んだ。

このままでは日本人の所得レベルは下がってしまう(小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論)

 新しい連載が始まります。タイトルの「ワンクラス上」は、私がワンクラス上だという意味ではありません。世の中には経済の入門書がたくさんあり、ネットを調べれば、入門段階の情報を簡単に入手することができます。それはそれで大切だと思います。しかし、経済は「あと一歩踏み込んで考えれば新しい風景が見えてくる」ということが多く、「その一歩はそんなに難しくはない」というのが私の考えなのです。  常識的・表面的な知識に満足せず、もう一歩考えを進めてみたい。それがこの連載の狙いであり、私自身がその一歩を踏み出すつもりで書いていきたいと思っています。コメントも歓迎です。どうかよろしくお願いいたします。  最初に取り上げるのは、「GDPの日中逆転現象」である。

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