危機の人災化を防げるのはリーダーだけ(田村耕太郎の「経世済民見聞録」)
常に状況認識をあたらにせよ
この連載で指摘し続けているように「危機は進行する過程で必ず人災化する」。最初からそのように想定するのが世界の危機管理の常識である。米国の専門家は「福島の原発事故は人災化の典型例ではないか」と言う。ハーバード大学でも多くの専門家が「原発事故への対応をはじめとする政府の危機管理全般について、“人災化過程”を研究したい」と強い関心を寄せている。この件については次回以降で書いていきたい。
結論から言えば、危機の人災化を防ぐことができるのはリーダーシップだけである。「ハーバード流危機管理の要諦」と題した一連のコラムの冒頭で「最も愚かなリーダーが指揮を執ることを想定して危機管理を構築するのが最先端の危機管理の哲学である」と紹介した。